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映画「バイオハザード:ザ・ファイナル」監督インタビュー…原点である“ホラー”に立ち返った

2016年12月23日から日本での世催促公開が決定している『バイオハザード:ザ・ファイナル』。本作で監督を務めているポールW.S.アンダーソン監督に作品の魅力や見どころについてうかがった。

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2016年12月23日より日本で世界最速公開を迎える『バイオハザード:ザ・ファイナル』。カプコンが発売したサバイバルホラーアクションゲームを原作に、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演で実写映画化した最新作だ。シリーズ第1作目は2002年に公開され、14年を経て6作目となる今回、遂に“ファイナル”を迎える。ヒロイン・アリスと世界をアンデッド化した元凶アンブレラ社との壮絶な戦いの行く末に注目だ。
第1作目からすべてのシリーズの製作と脚本、そして本作で監督を務めているポールW.S.アンダーソン監督。この14年の月日の間にアリス役のミラ・ジョヴォビッチと結婚し、仕事でもプライベートでもパートナーとして歩んでいる。そんな監督に、本作の魅力や見どころをうかがった。

『バイオハザード:ザ・ファイナル』
http://www.biohazard6.jp/
2016年12月23日(金)全国公開

■ 『バイオハザード』が大好きだから、ここまで継続できた

―『バイオハザード』シリーズは本作が“最後”と言われていますが、今回で終わりを決められた理由はありますか?

ポールW.S.アンダーソン監督(以下、ポール)
いくつか理由はあるんですが、やはり6本のシリーズを手掛けられたということは、いわば3部作を2回できたわけで、それは非常に大きな達成感があります。すべてのものは終わらなければならないわけで、このシリーズが強いうち、皆さんに愛されているうちにスペクタクルな形で終わらせたかったのです。それに加え、僕はこの15年、アンブレラの真の目的、レッドクイーンの正体、これらの秘密を抱えて生きてきました。それを観客の皆さんに明かしたいという強い思いもあり、今がフィナーレの時だと考えました。

―いよいよシリーズ完結編ということで、企画や制作ではどのあたりがポイントになりましたか?

ポール
物語の面でいえば、「ハイブ」そしてラクーンシティ、つまり1作目の地に戻るという部分と、アリスが自分の正体を遂に知るという部分がポイントになりました。制作に関して言えば、アフリカで撮影するという選択をしたことです。アフリカで撮影すれば、単純に場所として素晴らしいだけでなく、エネルギーやスペクタクルな部分もクリエイティブなかたちで注入できるのではと思ったんです。

―「バイオハザード:ザ・ファイナル」は1作目が公開された2002年から14年かけての完結作になりますが、その間に一番進化したと感じている映画のテクノロジーと、それによって実現できるようになったシーンや表現があれば教えてください。

ポール
ゲーム・映画に共通してバイオハザードの世界観の中には“犬(ケルベロス)”というものが印象的な存在として登場します。当初はCGだけではリアリスティックなものは出来なかったので、本当の犬の撮影をし、そこにCGを加えるというハイブリッド的な表現でした。現在の技術では遂に100%CGでも作れるところまで達しています。これまでもフルCGで描かれたクリーチャーというのはいろいろな映画で登場してきましたが、どうしてもファンタジー臭が溢れてしまうクリーチャーが多かったです。それがよりリアルな表現ができるようになったので、これまでは5匹くらいしか登場されられなかったケルベロスが、今回50匹くらい一気に登場してアリスを追いかけるシーンを撮ることができました。最高ですよね!
他の技術では、僕が3Dが好きなのは皆さんよくご存知かと思います。3Dを上手く使うことができれば、観客にとって没入感を生み出すことができて、特にこの映画の場合は世紀末のワシントンDCや「ハイブ」の中の閉塞感をさらに楽しんでもらえるようになっています。これまで僕は4本の3D映画をつくり、今回が5本目ですが、今回初めてコンバージョン(2Dカメラで撮影して編集で3D作品にする方式)に挑戦しました。それを選択したのもコンバージョンのレベルが素晴らしいものになってきているからです。3Dカメラでの撮影は、カメラが大きいのでカメラワークに制限が出てしまうこともあります。2Dカメラではより動きのある画を様々なアングルで撮ることができて、それを質の良い3Dにできるようになってきたのです。さらに、今回の撮影監督は、何度も3D映画を手掛けているグレンさんです。彼は3D映画がどういうものか分かっている上で2Dで撮影しています。これまでコンバージョンであまり良いものができないと言われていたのは、技術のレベルだけでなく、3Dのイメージで撮らずに2Dカメラで撮影してしまったものをコンバージョンしていたからという理由もあると思っています。今作は、3D作品としても革新的な作品になると思っています。


―毎シリーズアクションが見どころです。本作での注目ポイントは?

アンブレラの黒い兵士を運搬するための装甲車が登場するんですが、その上でのアリスとドクター・アイザックスのバトルシーンがあります。動く車両の上で、スタントは最小限しか使わずに俳優本人たちがアクションをしています。撮影はアフリカで非常に暑い中だったし、車もある程度スピードが出ている状態で、アクション自体も部屋の中で普通に撮っても大変なレベルの複雑なものでした。さらに、車の上から落ちてしまうと、周りにはゾンビの大群が待ち構えていて襲われてしまう、というエキストラもたくさん登場するシーンだったので、撮影は本当に大変でしたが、間違いなく作品のハイライトになっていると思います。

―監督ほど同じシリーズに長い期間を関わっている人は少ないかと思うのですが、シリーズを続けていく中で一番意識したことや楽しかったこと、難しかったことはなんですか?

ポール
確かに一つのシリーズに同じ人がここまで関わっている例はあまりないと僕も思います。このシリーズに参加し続けたのにはいくつか理由があります。多くのシリーズものというのは、作り手が変わることでその作品がそもそも持っていた成功の理由やビジョンが崩れてしまうということがよく起こってしまいます。実際に僕も『モータル・コンバット』と『エイリアンVSプレデター』で体験しています。『バイオハザード』に関しては最後まで見通したいと最初から強く思っていました。自分のキャリアの中でも何か素晴らしい記念碑的なシリーズ作品を作って残したいという想いがあったからです。
ミラもかなりまれな例ではないでしょうか。同じシリーズの主役を6本も続けた女優さんはなかなかいません。僕と彼女が一緒に作っているというのもこの作品が成功している理由ではないかと思います。僕は脚本も書くし、監督もするし、ミラという女優と仕事をすることも大好きで、一緒に楽しんでいるので作り続けることができたのだと思います。ミラは僕の監督作には7本出演してもらっていますが、間違いなく僕のミューズです。他の人とも映画を撮るけれど、ミラと再タッグを組むたびに新たにエネルギーを感じるし、新しいチャレンジがあります。
また、ゲームがそもそも持っていた終末的な世界観というのが、若いころから大好きなんです。(英国人ですが)英国のティールームを舞台にしたロマンティック・コメディなんかを撮るよりは、よっぽどこういった廃墟のような場所で撮る作品のほうが好きです(笑)。映画を作る理由が『バイオハザード』が大好きだからというピュアなものだったから継続できたのだと思います。

(次ページ「演じきった彼女には「次は何をしようか?」と声をかけようかな」)


■ 演じきった彼女には「次は何をしようか?」と声をかけようかな

―2年前に『ポンペイ』(14)で来日された際、「5とは、そうとう違う作品になりそうだよ。ビジュアルの点も含めて、もっとハイテンションで、恐怖も倍増。たぶん、これまでのファンはショックを受けて、驚くと思うよ。本当に心底“最高のバイオになると思う」とおっしゃっていましたが、実現しましたか? 

ポール
100%実現できたという自信があります。ビジュアル的にも目を見張るものがあるし、ロケーションの選択もばっちりだったと思います。今までの作品に比べれば、よりザラザラしたリアリティを感じるような映像になっていますし、よりエモーショナルな作品に仕上がっているので、ファンにとっては新鮮なのではないかなと思います。遂にアリスの物語の終わりであり、彼女やアンブレラの真実が明らかになりますからね。それによってエモーショナルな内容になっています。また、1作目はホラー色が強い作品だったと思いますが、その要素がまた戻ってきます。壮大な世界観ではあるんですが、最初の作品が持っていた閉塞感、そしてそこから湧き出る恐怖感というものも感じられます。アクションは今まで手掛けたどの作品と比べても最高のものになっています。それらのコンビネーションできっと満足していただけると思います。

―今回は日本からローラさんが参加しています。起用された理由は?

ポール
『バイオハザード』シリーズにはそもそものDNAに「日本」というものが色濃くありますので、映画を作ってきた中でも日本との絆を大切にしてきました。中島美嘉さんとの渋谷でのシーンでもその絆をより強めることができたと思っています。今回の作品は北米が舞台になっていますが、日本とのリンクは続けたいと思って、ローラを起用することになりました。しかし、彼女が現場に来たときは、おそらくショックを受けたと思います。というのも、中島さんのシーンは、白い空間の中でおしゃれにスタイリングをされた衣装に身を包み、ゾンビにしては髪型も最高にキマっていたし(笑)、そういうキレイな環境の中で撮影ができたんですが、一方ローラが来てくれたアフリカの地はスタジオのセットではなく、ロケーションで土や埃にまみれながら、血塗られた大きな刀を持ってもらっての撮影でした。最初は驚いたと思うのですが、仕事ぶりは最高でしたね!文句ひとつ言わず、乗り越えてくれました。アクションシーンもかなり良いシーンがあるのでお楽しみに!


―今回の作品は、ミラさんとはどういう会話を重ねて、どういう想いで作りましたか? また、アリスにイーストウッドのイメージを重ねていると言われていましたが、今回は?

ポール
今回のルックスが、かなり地に足のついたリアリティ溢れるものになっているのは、よりキャラクターと向き合って、彼らの感情を観客の方にも感じてほしいと思うところからできあがったもので、それはミラとの会話の中から生まれてきたものです。アクションの上では、今回も間違いなくミラはイーストウッドですが、加えて今回は、今までの作品に比べるとびっくりするくらいエモーショナルな作品に仕上がっています。アリスが自分にまつわる真実を知るシーンのミラの演技を見て、あまり感情的にならない僕もすごく心を動かされました。今回が最終章で、彼女の物語がここで完結するということもあるのですが、なんといっても自分が誰であるかを知ることによってもたらされる感情には本当にグッときます。観客の方もそれを知って、改めてこれまでの『バイオハザード』を違う目で見直したくなるのでは?そういうミラの演技が作品に新しさをもたらしてくれていて、シリーズにとってとても良かったと思います。

―アリス役を演じきったミラ・ジョヴォヴィッチさんに、監督として、夫としてかける言葉は?

ポール
「次は何をしようか?」と声をかけようかな(笑)。

―映画界でこれだけの超大作のシリーズを、パートナーと共に作ってきた映画監督というのは稀有だと思います。あなたの監督人生において、『バイオハザード』はどういう存在ですか?

ポール
そうですね。6本の作品に同じ映画監督がここまで関われたというのは本当に稀有だと思います。さらに作品としても成功していて、同じ役者が主演で、というのもシリーズとしては珍しいのではないかな。例えば『ワイルド・スピード』なんかもオリジナル・キャストのヴィン・ディーゼルが最後の30秒しか出てこないなんていう回もあったりしますよね。僕らがこの作品で達成できたことというのは、すごく誇らしく思っています。しかも、1作目のときはドイツと日本の出資だけで作られ、アメリカでの公開も実際に撮影が終わってからやっと決まるというくらいで、成功への期待も非常に低いものでした。そんな中で見事に成功を収めることができたことも誇りに思います。関わった人々が100%コミットして、自分たちが作りたいからという熱い想いで作っていたからこそ、これだけのものができたのだと思います。僕自身、1作目ではギャランティが決まらないうちに脚本をすべて書き終えて、そのあとで脚本代を決めたんです。監督料もあとからもらうようにしています。ミラを含め、クリエイティブな人々が純粋に作りあげたシリーズなのです。

―ありがとうございました!

「バイオハザード:ザ・ファイナル」ポールW.S.アンダーソン監督インタビュー シリーズ原点である“ホラー”に立ち返った

《animeanime》
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