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【TGS2015】『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』プレイレポ ― 単語に至るまで原作を尊重、余計なものを足さない本質を垣間見た

様々な名作ゲームを生み出した、ゲームクリエイター・菅野ひろゆき氏。その代表作のひとつとして知られている『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』が、このたび新たに生まれ変わることは、既にご存じの方も多いことでしょう。

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様々な名作ゲームを生み出した、ゲームクリエイター・菅野ひろゆき氏。その代表作のひとつとして知られている『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』が、このたび新たに生まれ変わることは、既にご存じの方も多いことでしょう。

1996年にデビューを果たした本作は、壮大な物語と特徴的なゲームシステムが融合し、ADVゲームの新たな可能性を切り開いた一作として、当時多くのユーザーに衝撃を与えただけでなく、現在活躍しているゲームクリエイターの中には、菅野氏や本作の影響を受けたという方もいるほどです。


そんな名作ADV『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』をMAGES.がフルリメイクすると発表し、大きな話題を呼びました。また先日行われた東京ゲームショウにて、プラットフォームと発売日も判明。無数に存在すると言われる並列世界を渡り歩き、隠された謎を解き明かす物語を、PS4およびPS Vitaで楽しむことができます。

本作のキャラクタービジュアルも公開され、また一新されたキャストも徐々に判明。懐かしくも新しい『YU-NO』の登場に、かつてプレイしてユーザーも熱い視線を送っています。ですがその中には、今回の新生『YU-NO』がどのような形となるのか、気になる声も少なくありません。

ゲームに限らず映画などでも、リメイク作品は数多くあります。その中には、新たな要素を加えてしまったことで、オリジナルの持ち味を損なってしまったり、ファンにとって複雑な出来上がりとなるケースも0ではありません。PS4/PS Vita版の『YU-NO』がその二の轍を踏んでいないか、試遊プレイを通してその一端を確認してみました。なお、今回触れた試遊版はPS Vitaでのプレイとなります。


今回の試遊版では、全6シーンを体験することができました。1~3までが連続したシーンとなっており、残り3つはそれぞれ個別の場面。一般的なADVゲームの視点でみると、ブツ切りでの構成とも見えますが、本作は並列世界を行き来するシステムが中心にあるため、この体験の仕方も『YU-NO』らしい一面と言えます。

登場人物の台詞や主人公の独白がウィンドウ部分に表示され、テキストを読むことで状況や物語が展開。この辺りは、標準的なADVと変わりません。ゲーム的な部分としては、左上にアイコンが並んでおり、例えば今回のシーン1ならば「見る」「移動」「アイテム」らしきものが表示されており、十字キーで選択し○ボタンで決定。選んだ後は対象物(「移動」ならば移動する先)へと自動的にカーソルが切り替わるので、操作におけるストレスは感じません。

対象物が複数ある場合は、十字キーで切り替え可能な上、対象部の隅に「1/5」などの表示が出るので、何ヶ所の候補があるのかも一目瞭然。説明するまでもないかとは思いますが、「1/5」の場合は全部で5ヶ所あり、その一つ目にカーソルが合っているというワケです。

ゲームプレイの操作感に関しては、シンプルかつサクサク動くので、ストレスなく楽しめます。今回は、任意での並列世界の移動などは盛り込まれていなかったものの、現時点での感触から想定すると、全体的に遊びやすく落とし込まれている印象を受けました。

反面、グラフィックの大幅な向上はやはり目を引きます。キャラクターのみならず背景もしっかりと描かれており、本作が持つ独特な雰囲気を高めるのに大きな役目を果たしていると言えるでしょう。また会話はフルボイスで行われるため、こちらも没入感を手助けしてくれます。スピーカーで堪能するのもよさそうですが、ヘッドフォンなどで集中して聴くのも一興かもしれません。


ですがADVゲームのリメイクで最も気になるのは、やはりシナリオ。オリジナル版の登場が約20年前と考えると、言葉のイメージひとつをとっても大きく変化しているものもあります。それを今風に変えることはもちろん可能ですが、変えすぎてしまっては「らしさ」を失う場合も多々あります。

試遊プレイの前に行われたステージイベントでは、「極力シナリオは弄らない方向で進めています」と、嬉しいコメントが浅田誠プロデューサーから飛び出していますが、これが実際にどれほどのレベルで実施されているのでしょうか。もちろんその全容を知るためには、製品版をまたなければなりませんが、今回試遊した範囲の中だけでも、“女学生”という単語を確認することができました。

解説するまでもなくこれは、女性の学生を指す言葉ですが、ちょっと古めかしい言い回しです。昨今ならば「女生徒」という表現が一般的でしょう。少なくともリアルでもゲーム上でも、現代において多用されるワードとは言い難いというのが率直な感覚です。

固有名詞の差し替えくらい、置換ひとつであっさり変更できるのは皆さんご存じの通り。しかしそれを行わず、ともすれば「古い(今風じゃない)」と受け手側から言われることも承知の上で貫き通すというのは、徹底した「オリジナル版シナリオの準拠」が行われている証拠なのかもしれません。


もちろん、試遊版だけでその全てを断言するのは早急です。が、シナリオに無粋な変更が入っていない可能性を感じ取ることができる試遊体験になったのもまた事実。今後、体験会の実施や体験版の配信などが行われるかはまだ分かりませんが、もし発売に触れる機会があれば、遊びやすいシステムと変わらぬ魅力の一端に直接触れてみてください。あなたが求める古き良き一作が、そこにあるかもしれません。

『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』は2016年2月18日発売予定。価格は未定です。

(C)MAGES./5pb.
《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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