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岩田聡氏が示したもうひとつのサクセスストーリー【オールゲームニッポン 第23回】

ゲームクリエイターで角川ゲームス代表の安田善巳氏と、ゲームアナリストの平林久和氏によるトーク番組「オールゲームニッポン」。23回目の今回は話題の国立競技場から、突然の死に世界が悲しみに包まれた、任天堂の岩田聡前社長の功績についても話が展開します。

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ゲームクリエイターで角川ゲームス代表の安田善巳氏と、ゲームアナリストの平林久和氏によるトーク番組「オールゲームニッポン」。23回目の今回は話題の国立競技場から、突然の死に世界が悲しみに包まれた、任天堂の岩田聡前社長の功績についても話が展開します。



縮むゲーム市場



土本
 
暑い日が続いています。2015年7月、さっそくですが今月はどんなテーマを取り上げましょうか。

平林
 
今、私たちはインサイド編集部の近く、新宿にいますが東京都庁、オリンピック準備で盛り上がっていますね。

土本
 
つい先日、開幕まで5年のイベントがありまして庁舎がライトアップされるなんて演出も行っていました。

安田
 
オリンピックといえば、新国立競技場。結局、今までのプランを見直すことになりましたね。

平林
 
見直すならば日本らしい建築にしてほしいです。東京スカイツリーの設計は法隆寺・五重塔の心柱(しんばしら)を参考にした、とか。首相官邸の建築も正倉院の校倉(あぜくら)つくりのイメージを取り入れた、とか。そんな感じで日本の歴史とつながりがあるデザインが見たいです。

安田
 
屋根をつけないデザインになるそうで。ともあれ、膨れ上がったコストが削減できるのは良いことだと思います。2500億円もかかるそうですから。

平林
 
そういえば今月はCESAゲーム白書が刊行されて、恒例の市場規模の発表が行われました。日本国内のゲーム専用機・ソフトウェアパッケージ販売額が2356億円、ダウンロード販売額が165億円。合わせると2521億円で、修正前の新国立競技場の建設費と同じだ、なんて勝手にふたつの数字をつなげていました。1年間売られたゲームの販売額と同じ建設費というのは、さすがに高すぎる。1年間で売れたゲームの販売額は、競技場ひとつ分しかないのか。2500億円という数字が、頭の中をグルグルと回ってました。

土本
 
そんな比較をしていたんですね。ネットのニュースなどでは「7年連続で減少」とか、これはハードウェアも含んだ数字ですが、「2007年の約7113億円から市場規模は半減した」とか。ネガティブに受け止めた報道が多かったです。

平林
 
はい。数字はウソをつけません。確かに数字は半減しました。そこで悲観論がワーッと出てきたわけですが、特に驚きはないです。こう言ったら語弊があるかもしれませんが、残念だとも思いませんね。家庭用ゲーム市場が落ち込むぞ……なんてことは10年以上まえから予測してきましたし、覚悟してきたことでもあります。今さら騒ぐことでもないな、というのが正直な感想です。

土本
 
予想の範囲内ということですか。

平林
 
慣れてしまった、という感じでしょうか。今回の発表では2007年と比較されることが多かったですが、市場規模の下落はもっと昔からはじまっています。2007年よりもまえに国内ソフトウェア市場はピークを迎えているんですが、いつだったか覚えてますか?

安田
 
ピーク、つまり過去最高売上ということですよね。それはかなり昔のはずです。

平林
 
はい。1997年が国内ソフトウェア市場のピークでした。97年といえば、初代プレイステーションの全盛期です。当時はソフトだけで6000億円弱(5833億円)ほどの市場規模がありました。以来、途中でデコボコはありましたが、「去年よりも今年は下がった」という発表を何度も聞いて現実を受け入れてきました。はじめのうちは市場規模と一緒に気分が落ち込んだこともありましたけど、もう、ここ数年は開き直った心境になっていますね。ですから、市場規模が下落したと知らされても、悲観や驚きを通り越して「かわいい」とさえ思えるようになってきました。

土本
 
「かわいい」って?(笑)

平林
 
小さくなったから「かわいい」という意味ではないですよ。まさにオールゲームニッポンの趣旨の通りで、他の国とはまったく違うゲームばかりが売れて積み上がった2500億円市場じゃないですか。その様子が数字の落ち込みなんかすっ飛ばして、愛おしく思えるんです。

安田
 
「かわいい」とは違うかもしれませんが、悲観していないという感覚は僕も同じです。マクロの市場動向には振り回されないで、今はやりたいことに没頭する気持ちで、ゲーム開発ができています。ところで、市場規模の数字ですが、日本の場合は数字の読み方も他の国とは違っていていいと思うんですね。

平林
 
といいますと?

安田
 
日本市場は日本でつくったゲームが売れてできている市場です。たとえば、ヨーロッパの国々と比べてみるとわかりやすいと思うんですが、他の国の市場規模というのは、また別の国でつくられたゲームが売れてできているんじゃないでしょうか。

平林
 
あ、その通りです! 確かに日本で生産したゲームを日本で消費しています。ゲームソフトの地産地消をしているのが日本、ということですね。英国もフランスもドイツも、自国でつくったゲームよりも他国、おもにアメリカでつくったゲームのほうが売れています。あまり馴染みがありませんが、「ゲームの自給率」という概念があるとすると。自国で生産する割合=自給率が高いのが日本市場の特徴です。

安田
 
一時期、日本のゲームは外国に比べて遅れている、という論をよく聞きました。ですが、最近は鳴りをひそめてきたと思うんです。日本は特別なものづくりをする、と敬意を払ってくれる雰囲気が広がっています。ですから、市場規模という数字は落ち込んでいますが、日本のゲームの世界での存在感は、再び高まっていると感じているんです。


《平林久和》

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