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【レポート】トイボックス和田康宏らが「インディー」と「世界」を濃密議論

「東京インディーフェス 2015」で行われたパネルセッション「日本発、世界へ ~ ゲーム開発者としてどう海外と接すべき?」のレポートをお届けします。

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5月9日に東京・秋葉原の「東京インディーフェス 2015」で行われたパネルセッション「日本発、世界へ ~ ゲーム開発者としてどう海外と接すべき?」。そのレポートをお届けします。

今回のパネルゲストには、Toybox Inc.の和田康宏氏、木村祥朗氏が登壇。そしてDot Warrior GamesのAlvin Phu氏、Friend and FoeのMatt Smith氏の4人で、「インディーゲームのローカライズ」に向き合う議論が交わされました。


本パネルで最初の議題となったのは「国内向けではなく、敢えて海外向けゲームを作る理由」。和田氏は、国内/海外に向けたゲーム開発について、「ほぼ意識していない」と語ります。日本と海外ではグラフィック/演出の好みに差があるものの、ゲームが持つ「面白さ」自体は世界共通のものであるとのこと。これについて木村氏は、自身が手掛けている作品において「誰もが直感的に遊べる」ような作りを志していると伝えました。

日本語の読解が必要となる演出やメッセージを避け、日本/海外を隔てないフレンドリーなゲームの魅力を強い口調で語りながらも、現在開発中の『Million Onion Hotel(ミリオンオニオンホテル)』では「ひらがなの文章を当てている」と告白。『ミリオンオニオンホテル』は“味”がある作品にしたいとのことで、まずは国内向けリリースを目標として、米国向けローカライズを含めた販売は保留状態にあると話しました。Matt Smith氏は木村氏が語る“味”に注目しながら、言語の壁があったとしても「基本的なゲーム性は伝わる」と、和田氏が伝えた「世界共通の面白さ」の重要性を更に強調。

そして木村氏は、自身がこれまでに公開してきた『ミリオンオニオンホテル』における海外ゲーマーからの反応を明かします。同氏によれば、住んでいる国や年齢に関わらず、「(『ミリオンオニオンホテルに登場する』)アスパラガスのキャラクターを気に入ってくれる人はいる」とのこと。マーケティングの拡大を主軸にした「世界向けリリースには抵抗がある」「そのようなことをするくらいなら、誰にでも分かるような“3つ揃えて消すパズル”を作ればいい」と語りながら、「好きなモノを主張」することが大事であると、クリエイターならではの熱のこもった姿勢を示しました。


そして議題はゲームのパブリッシングに移ります。「海外に向けてどうやって宣伝・販売するのか」「リリース後のサポートはどうするか」との話題を振られた木村氏は、開口一番に「出してみてから考えればいいんじゃない?」と率直にコメント。宣伝・販売はインディーデベロッパーにおいて大きなハードルであるとの認識に対しても、「売れているインディーゲームは実際全部面白い」と、テーマ自体を丸ごとぶった斬る発言を見せます。Alvin Phu氏も宣伝における「マーケティング意識は苦手」であると語り、木村氏に同調。Matt Smith氏と共に「ゲーム開発実況」と言った、TwitterやYouTubeを用いた新たなアイデアを広げました。

「ゲーム開発中に、後から“こうして作っておけばローカライズが楽だったのに”と後悔したことは?」との議題において、和田氏は「(テキストデータなどの)管理は楽になった」と、ゲーム開発環境の「過去と現在」を比較。マイクを渡された木村氏はこの議題について「どうでもいい」「根底が面白くないと、ローカライズしても関係ない」と、またもや一刀両断しました。Alvin Phu氏は美しい日本語フォントの存在に惹かれたことや、Matt Smith氏は「ローカライズを必要なくする戦略もある」と、序盤で語られていた「ゲームが持つ面白さそのもの」に繋がる発言を見せていました。

再びマイクを渡された木村氏は、「海外に発信するからローカライズの手間を下げよう」という論調に批判的な姿勢を見せます。海外のゲーマーも昔は「日本語のゲームをそのままプレイしていた」と語りながら、BitSummit主催人のジェームズ・ミルキー氏が昔の日本産ゲームを好んでいると例を挙げていました。


他にも海外のゲーマーから「最近の日本のゲームってどうなってるの?」と問われる機会が多いとのこと。「Appleのストアランキングを見ると、ガチャガチャガチャガチャいうゲームばかり出てくる。そういうの、外国の方も見てるんだよ。“日本って今こういう感じなのか”って。嫌じゃない、それって」と激しいメッセージが送られたところで、和田氏が木村氏を宥めながらマイクを奪う一幕も見られました。

開発者達の熱気が渦巻くパネルセッションの中で、最後の議題となったのは「インディーゲームデベロッパーに向けた“一歩前進できるアドバイス”」。和田氏曰く「自分が何を“面白さ”とは何であるか見つめ直す」ことが大事であるとのこと。木村氏からは「すげー長い間部屋にこもって、黙々と作り続けてたまにイベントに出展して、またモクモク閉じこもる」と、自戒も込めた助言が見られました。


Alvin Phu氏は、現代における「ゲーム開発環境」の身近さについて触れながら、「Make games,それだけです」とコメント。最後に、Matt Smith氏が「一歩進む為には一歩を進む。必ず出来ることはある」と、目先の目標を達成することの重要性について語り、インディーゲーム開発者達によるパネルセッションの幕が降ろされました。

記事提供元: Game*Spark
《Game*Spark》
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