ゲームなどで活躍を続けてきたアルルやカーバンクル、アミティにりんごなど、お馴染みのキャラクターたちが舞台上で生き生きと動き回る一方で、今出番のないキャストの方々は舞台脇で台本を読み、動きをチェックし、そしてPS Vitaを握っています。
もちろん、サボっているわけではありません。ゲームが原作となる舞台だからこそ、台本だけでなくゲームを通して、キャララクターや世界観を自身の中に消化しているのです。また舞台上では、ゲームでも多々行われてきた「ぷよ勝負」が再現されており、対戦の様子を収めたモニターを表示させつつ、連鎖が決まるとりんご役の河村唯さんやシェゾ役のルウトさんが威勢のいいかけ声を放ちます。
非日常的な楽しさを与えてくれる舞台の中でも、『ぷよぷよ』を舞台化するという更なる非日常に踏み込んでいる舞台「ぷよぷよ」。24(ぷよ)周年を記念するプロジェクトの一環として行われる本公演は、発表時から多く方を驚かせ、また高い注目を集めてきました。
ゴールデンウィークの連休に行われる公演の幕開けに向けて熱心に稽古へと励む現場では、これまでゲームやドラマCDなどに登場してきた魅力的なキャラクターたちが、生の声と躍動感溢れる身体を伴って表現されています。まさに「そこにいる」という感覚は、舞台ならではの醍醐味でした。
サタンとの勝負に負けたばかりのアルルや、それを励ますアミティとリンゴ、そして相変わらずマイペースなカーくん。そこにシェゾが現れ、「お前が欲しい」とお馴染みの台詞を繰り出すと、やはり「ヘンタイ!」と一蹴。原作のポイントもしっかりと織り込まれており、りんごvsシェゾのぷよ勝負や、そんな二人をよそにどこかに行ってしまうカーくんの奔放ぶりなど、それぞれが持つイメージが舞台という新たな形で表現されています。
ちなみにカーくんは、着ぐるみや擬人化などではなく、二本の棒から伸びる糸を駆使して動かしており、いわば操り人形のような形で登場します。そのため、カーくんの可愛らしさも健在。また、そんなカーくんを動かしているキャストの方は、「カーバンクルのイメージに合う人を探しました」とのこと。制作陣の太鼓判も押されたカーくんのキャストさんも、本公演を見る楽しみのひとつと言えるでしょう。
他の場面の稽古では、因縁の対決とも言える、アルルとルルーのぷよ勝負も繰り広げられました。りんご達が助太刀とばかりにルルーに直接襲いかかるといった、ゲームとはひと味違うハプニングも起こるものの、更に乱入してきたサタンによって動きを封じられてしまうことに。圧倒的なぷよ捌きを見せるルルーの前に、アルルは次第に劣勢へと追い込まれ、モニタの画面もぷよだらけに。ここからアルルは、「ばよえ~ん」と盛り返すことができるのか……と期待が高まったところで、今回の練習は一旦終了。残念ですが、この続きは開幕までお預けとなりました。
本公演の脚本・演出を担当するのは、幅広く活躍する斎藤栄作氏。ゲームを原作とした舞台だけでも、『サクラ大戦』や『PHANTASY STAR ONLINE2』などを手がけており、舞台「ぷよぷよ」を生み出すための盤石の布陣と言えるでしょう。
当時、この舞台化の噂を小耳に挟んだ斎藤氏は「まさかな…」と思いつつも、正式なオファーの時には「(やっぱり)きたか!」との第一印象だったとのこと。その後、脚本を手がけるために『ぷよぷよ』をプレイしたら、ハマるほど没頭したそうです。ゲームもやり込まれた上での脚本化・舞台化というのは、ファンにとって嬉しい話です。
そしてプロデューサーを担当する中山雅弘氏は、斎藤氏に白羽の矢を立てた人物でもあります。『サクラ大戦』の舞台で一緒に仕事をした経験などもあり、「(斎藤氏は)イメージを膨らませるのが上手い」と、オファーの理由を語ります。
加えて『ぷよぷよ』と言えば欠かせないのが、シリーズ総合プロデューサーの細山田水紀氏。本公演に関しては、モニタに表示させる映像の編集なども手がけており、』ぷよぷよ』を様々な形で盛り上げる細山田氏らしい姿勢はこの舞台でも健在の模様です。『ぷよぷよ』初の舞台化に対し、「24周年だからこそ、新しい手法に挑んでみた」「(この公演は手法は)今後の『ぷよ』にとってプラスになります」と、更なるチャレンジに対する意欲と期待を露わとします。
「puyo puyo My mind」などの新曲の歌も用意されており、そちらも見どころのひとつとなる舞台「ぷよぷよ オンステージ」。24周年の記念としてだけでなく、「ひとつひとつを成功させて、25周年へと繋げていきたい」と語る細山田氏。まず舞台を見てもらい、そして意見を出してもらってフィードバックしたいと自身の想いを綴り、「来年もやりたい。どうぞご期待ください」と、いつものにこやかな笑みを浮かべます。
『ぷよぷよ』の舞台化。その発表に、衝撃を受けた方も多いことでしょう。ですが思い返してみれば、古くは「ぷよまん」、近年でも『ぷよぷよテトリス』と、本シリーズが驚きの提案を行うのは今に始まった話ではありません。「これまで通り」に安住せず、新たな挑戦を続けてきた『ぷよぷよ』にとっては、この非日常は「ぷよぷよらしい日常」の一幕なのかもしれません。ゲームとファンが、舞台と観客が、それぞれ交差する舞台の開演は目の前。どうぞ、お楽しみに。
(C)SEGA
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