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【e-Sportsの裏側】「e-sports SQUARE」店長に聞く、日本e-Sportsの未来

第2回目の【e-Sportsの裏側】を飾るのは、日本初のe-Sports専用プラットフォームとして、2014年に鳴り物入りで秋葉原に拠点を構えた「e-sports SQUARE AKIHABARA」の店長を務める本田亮輔氏に、その笑顔の裏に秘めた熱い思いを語って頂きました。

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―――話は変わるのですが、以前は千葉県の市川にe-sports SQUAREがあったと思うのですが、立上げ当初はいかがでしたか?

本田氏:当時店舗オープンのアナウンスをした際は、インターネット上ではすごく盛り上がっていました。「遂に日本にもe-Sportsの波がきたかっ!」といった具合で色々なユーザーさんがオープンの話題に触れてくれていました。私はまだ入社前でしたが、お店ではネット上の反響を見てワクワクしながらオープン日を心待ちにしていました。実際蓋を開けてみるとオープン初日は1名のお客様しか来店してもらえませんでした…。その後、1週間くらいは誰一人、来店しませんでした…。お客様の来店数が0と聞いております。

―――なるほど…。2011年から3年程度、市川の方で店舗を運営していたと思うのですが、どうでしたか?

本田氏:最初の1年目は、非常に苦戦しましたね。お客様もほとんど来ませんでしたし。ただ、自社でのイベントやメーカー様のイベントを市川のe-sports SQUAREで開催していったということもあり、月日が経つにつれて名前は浸透していきました。おかげさまで3年目の最後の方は、イベントを開催すれば人が集まってくれるし、企業やコミュニティの方々にもご利用頂けるようになりました。あとは海外からのお客様も数多く足を運んでくれていました。徐々にお客様が増えていっているな、と感じていけるお店ではありましたね。

―――海外から足を運ぶユーザーは「プレイヤー」として訪れる人でしょうか?

本田氏:プレイヤーとしてもそうですが、日本の市場を視察に来ている海外のメーカーさんもいらっしゃいました。日本のe-Sportsの盛り上がりや「日本のe-Sportsってどうなの?」という部分は気にしていたみたいですね。


―――2年間市川でお店を運営して、そこから秋葉原に移転した理由を教えてもらえますでしょうか?

本田氏:色々な要因はあります。国産のe-Sportsジャンルと言われるタイトルの競技人口が伸びていること。国内のゲームメーカー各社の中でe-Sportsという単語が浸透し、取り組み始めた企業が現れたこと。WEB配信の環境が整い始めたことでゲームを観る機会が増えたこと。海外では非常に有名なe-Sportsタイトルが日本に進出するといった話が出始めたこと。それと、市川店にくるお客様から秋葉原での出店を望む声が多かったこと。そういった様々な要因が重なりあって、日本の情報発信の地である秋葉原にお店を構えて「2年間市川店で培ったものを一気に爆発させるには今、このタイミングだろう」ということで昨年秋葉原に移転致しました。

―――今、3代目e-sports SQUARE店長として本田さんが務めていると思うのですが、「店長やりたいです!」と自ら手を上げたのか、はたまた会社から任命されたのか。どちらでしょう?

本田氏:両方ですね。元々SANKOに入る前から、こういう形であれば日本のe-Sportsは盛り上がるだろうという構想は持っていて、「いつかは自分でお店を持ちたいな」という思いがあるなかで、代表の鈴木から「どう?やってみない?」と打診を受けまして。

―――店長に任命された時は、どのような心境でしたでしょうか?

本田氏:うーん…。

―――「楽しみ!」という気持ちはもちろんあると思いますが、それ以上にけっこうなプレッシャーだと思うのですが。

本田氏:そうですね…。それでいうと、仰るとおり嬉しいと思う反面、不安も非常に大きかったです。まず一番の不安は、私自身が今まで店舗運営をしたことがないということがありました。その経験のなさから、「勝負の年である」というプレッシャーや、この施設って見た目以上にコストがかかっていて、それなりの収益を上げる必要があります。そういった数字のプレッシャーもそうです。またスタッフに対しても、今、数十人のスタッフが働いてくれているのですが、彼らに「このお店で働けてよかった!」と感じてもらえるかどうかも不安でした。ただ今は、自分が店長をやっていく上でこれだけは達成したいという、持論と言いますか決意を持ちながら店長業務に勤めています。

―――と言うと?

本田氏:「将来、e-sports SQUAREで働くスタッフが、e-Sportsを更なる発展に導くリーダーになってほしい」という気持ちを強く持っています。梅崎さんへのインタビューにもありましたが、今のe-Sportsに何が足りないかと言うと「人」が足りないと思います。それはプレイヤーも勿論のことですが、「牽引していく人」が圧倒的に足りない。例えば「e-Sportsに携わる」と一言に言っても色んな携わり方があると思っています。貴社のようなメディア様もそうですし、チーム運営やイベント運営、我々のような施設の運営、もっと言うとe-Sportsで収益を上げる為に営業といった携わり方もあります。私は店長としてe-sports SQUAREを通じて、上記にあげたような様々な分野において、人が人を育てるサイクルを作りたい。その為に、各分野でリーダーシップを取れる人間を育てたいと思っています。

――――外から見ていると非常に華々しいと言いますか、盛り上がっているように見えますが、見えないところで色々な葛藤があったんですね。

本田氏:そうですね。それは、今でも思っています。自分の志を達成するために「どうすればいいんだろう…」と日々頭をフル回転させていますね。会社との衝突やスタッフとの衝突ももちろんあったりします。

―――話をe-sports SQUARE自体のお話に戻します。そもそも店長って何をやるんでしょう。

本田氏:店長の仕事ですか(笑)。基本的には、マネジメントですね。e-sports SQUAREの目標と方向性を考え、それに準じた形で、どのように収益を上げていくのか、スタッフが志高く働くにはどのような環境にしたらよいのかといったことを考え、具体的な戦略や手段に落とし込んでいきます。あとは、営業したり、ユーザーさまと接したり、スタッフの愚痴を聞いたりしてます(笑)。ただ私自身の考えとしては、ただお店の運営をするだけでなく「スタッフやe-Sportsプレイヤーの道を作っていく」ということも店長の大切な役割だと考えています。今のe-Sportsプレイヤーに「e-Sportsでもちゃんとした仕事になるんだよ。生活できるんだよ」といった「夢」や「希望」にあたる部分を、私自身、パイオニアとなって立証していきたいと考えています。だって悔しくないですか?

―――なるほど。

本田氏:ゲーム好き、ということだけで「あぁ、オタクの人なのね」って思われることがありますが、私はそれが非常に悔しいんです。自分もそうでしたが、面接で「自分はゲームで世界大会に行きました!」と胸を張って伝えたとしても、今はまだプラス評価になりにくいじゃないですか。それが悔しいんです。実際、ゲーム好きの方って建設的な話もしやすいし、ロジカルに物事を考えたりできる方が非常に多いと思うんです。「ゲーム好き」ということだけで、普通の人とは違った目で見られるのが悔しい。言い方が難しいですが「こういった世の中を見返してやる!」という気持ちも、自分を奮い立たせている要因のひとつですね。

―――昨年鳴り物入りで秋葉原に移転してから、お店の調子はいかがですか?

本田氏:そうですね、当初はかなり話題にもなりましたし、予約もたくさん入っていました。今は結構落ち着いているタイミングですが、固定客も付いて週末はほぼイベントで埋まっています。ただ今の状況に満足せずに、まだまだ躍進をさせていきたいのが本音です。

―――たしかに。SANKOさんがe-sports SQUAREを秋葉原に移転されて、一気に「e-Sports」のムーブメントを作った印象はありますね。逆に言うと、いまは「e-Sportsの地力」が試されている時期かなと。

本田氏:そうですね。今年に入って、e-Sportsに興味関心をもつ新たなユーザーが増えてきましたね。


―――要因はなんでしょうか?

本田氏:そうですね。我々は2014年はe-Sports元年と考え、e-sports AKIHABARAをリニューアルオープンし、2015年は飛躍の年と考え、PRの専門部隊を作るなど様々な手を打ったことも要因と考えております。時を同じくして、東京アニメ・声優専門学校様のプロゲーマー学科が話題になったり、その他、ゲーミングハウスの設立などのニュースがありましたが、多くのマスメディアがe-Sportsに興味関心を持ち始めました。それと先にお伝えした通り、WEB配信の環境が整ったことも大きな要因としてあげられると思います。世界的にみても、e-Sportsを観るユーザーが年々倍増しているといったデータが出ています。e-Sportsを観る機会が増えることで、興味関心を持つ方々が増えたのではないかと思います。

―――ゲームに限らずですが、ITだったり、音楽や映画とか何かのムーブメントが海外で流行して、遅れて日本にやってきたりするじゃないですか。「e-Sports」もいまそんな感じなのかな、と思っておりまして。やっと日本に「e-Sports」という言葉が届いたなと。昔に比べて、日本のプレイヤーが海外の大会に出場するということに対してもそこまで抵抗もなくなってきましたしね。

本田氏:ロジックでは説明できませんが、業界で働いていると謎の「e-Sports今年来そう!」といった空気感みたいなものはありますね。取材していて、どうですか?

―――そうですね。2014年はみなさん「様子見」という感じでしょうか。今年は非常に動き始めてきたな、という印象を持っていますが。

本田氏:先に上げている要因の他にも、私たち世代のゲームに理解がある方々が多くの会社で役職に就いている、というのも理由のひとつとして有るのか、と考えています。e-sports SQUAREに来てくださるお客様も、30代の方とかもけっこういます。

※次ページ: 本田氏が考えるe-Sportsの未来

《Game*Spark》
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