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【レポート】e-Sports専門学校で開催されたプロゲーマー梅原大吾による特別講義

4月19日、東京アニメ・声優専門学校ではプロゲーマー梅原大吾氏による特別講義が開催されました。ここでは梅原氏のトークショーをリポートします。

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4月19日、東京アニメ・声優専門学校ではプロゲーマー梅原大吾氏による特別講義が開催されました。本イベントは同校e-Sports専攻コース「e-sports プロフェッショナルゲーマーワールド」の入学説明会を兼ねたもの。入学希望者向けに学校の施設案内や進路相談も行われました。ここでは梅原氏のトークショーをリポートします。



司会は格闘ゲーム大会「闘劇」の総合司会などで知られる郡正夫氏。まずは梅原氏の紹介が行われました。1981年生まれの梅原大吾氏は日本初のプロゲーマーとして世界的に知られています。2010年には「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」としてギネスに認定。近年は大会だけではなく、著書執筆、講演など多彩な活躍を見せています。

郡氏とは闘劇のステージで何度かすれ違ったことがあるそうです。しかしながら、当時の梅原氏は非常にぶっきらぼうなキャラクターで、とてもトークに向いているとは思わなかったと郡氏は振り返ります。他方、梅原氏は当時は若かったが、プロとして活動する近年は積極的にトークする機会が増えていると語っています。

◆プロゲーマーとはなにか




次に話題はプロゲーマーに移りました。梅原氏ははっきりした定義はないながらも、自身がプロという意識を持ったのは2010年のマッドキャッツ所属以降だと語ります。つまり、企業によってスポンサードされることがプロゲーマーのひとつの基準です。しかしながら、現在ではゲーマーとして生活する手段は他にもあります。例えば、有料のゲーム実況配信などで生活している人もプロゲーマーと言えないわけではありません。

ではプロゲーマーとしての梅原氏は普段どういう仕事をしているのでしょうか。梅原氏は基本は格闘ゲームの練習だと答えます。さらに年に数回ある大きな大会に出場して実績を残すことがメインの仕事です。実際にはCM出演などの仕事の割合も多いですが、「プロ野球選手がどれだけCMで稼いでもCMはメインの仕事ではない」と説明。あくまでも大会で戦うのが一番重要というわけです。その他には、今回のような講演や著書の出版、新作ゲームのプロモーションなども行っています。

そういった仕事の中で先日、4月1日に発表された「クラウド会計ソフトfreee」の動画は話題を集めました。動画は梅原氏は格闘ゲーマーの引退を宣言、会計士としての道を進むというもの。もちろんエイプリルフールにちなんだネタですが、以前は断っていたような種類の仕事も、本業に支障がない限り、積極的に受けていると語っています。」

◆勝つのではなく、勝ち続ける




次に2012年に出版された著書『勝ち続ける意志力』に話題は移りました。本書は梅原氏がプロとしての仕事術を語った内容であり、ビジネス書として大ヒットを記録。今回は若い入学希望者のために、今後の人生で勝ち続ける秘密を語りました。

最初に本書の根幹になる「勝つ」と「勝ち続ける」の違いについて。格闘ゲーマーとして20年以上のキャリアがある梅原氏にとって、単発の試合で勝つことはそれほど重要ではないといいます。むしろ継続的に勝ち続けられることが、プロゲーマーに求められることです。逆に単発の試合での大きな勝利は、その後のキャリアに悪影響を及ぼすこともあります。

勝ち続けるために一番必要なのは、自分自身が成長を続けることです。単発の勝利に安住すると、その後の自分自身の成長が止まります。継続的に成果を出し続けるためには、成長することが大前提。そのため、時には負けることすら必要だといいます。成長のためには目先の勝利を捨てる勇気も時には求められるのです。

一方、成長が実感できない、伸び悩むといったスランプは誰にも訪れます。そういった時をいかに乗り越えるのでしょうか。梅原氏は成長が実感できない理由ははっきりしており、それは周囲と自分を比べるからだと答えます。相対的な尺度で成長を測るとまわりの人間に振り回されます。成長で重要なことはリズムです。自分自身のリズムを持って成長していき、周囲を気にすることなく努力する必要があります。

具体的なスランプ脱出法としては、積極的に変化することが指摘されました。格闘ゲームの世界には基本的なセオリーが数多くあります。当然ながらプレイヤーはセオリーに従いますが、梅原氏は成長が実感できないときは意識的にセオリーを破ります。こうした変化を定期的に行い、同じ戦略を使いつづけないようにする。同じ戦略で勝ち続けても、いつかは通用しない時が来るからです。

しかしながら変化は怖いもの。セオリーを破ることによるリスクは常につきまといます。これには梅原氏は同意する一方、変化は成功につながらなくても良いと説明します。新しい戦略はすぐに使えないが、もしかして2年後は使えるかもしれない。格闘ゲームには一定の戦法のブームもあるので、常にいろんな状況に対応するため、技のストックを揃えておくことが重要なのです。

◆プロゲーマーのお金の使い方




さて今年開催の世界大会「カプコンカップ」では、総額約6000万円という高額な賞金がかけられています。先日、アメリカの大会で優勝した梅原氏は、いち早く出場権を得て、賞金獲得にも積極的な姿勢を見せています。梅原氏はこれには「仕事でやっている以上、利益を出さなければいけない」と説明します。プロ5年目にして仕事の幅が広がりつつある梅原氏ですが、プロゲーマーは仕事で得たお金を何に使っているのでしょうか。

梅原氏は正直なところあまり物欲がないと答えます。大きな出費をすることはなく、仲間内での飲み会にお金を出すくらい。一番好きなゲームが仕事になったため、特別な趣味がないそうです。また服装に凝ったり、高級車に乗ったりといった派手なお金の使い方には抵抗があるといいます。

以上のように私生活も非常に地味な梅原氏。そういった中で自らの個性をどこで発揮しているのか質問が投げかけられました。梅原氏は誰にでも個性があるという前提のもと、いかに人から受け入れられる個性をつけるかについて説明しました。

梅原氏は自分のことを個性的な人間だと思い込んでいた時期もあったそうです。しかしながら、格闘ゲームでは個性的なプレイを意識した結果、負けが続いたそうです。そこで初心に戻り、基礎を丁寧に学びました。基礎に忠実なプレイを心がけた結果、自然に個性的だと評価されていったそうです。基礎的なセオリーは画一的であり、一見個性が消される気がします。しかしながら、それらの学習は個性を受け入れられる形に鍛えあげる効果があるというわけです。

◆プロゲーマーを目指す若者へ




ここで会場から事前に集められた質疑応答に移りました。まずは「子供の頃からゲームばかりしていて、親はどう反応していたのか」というもの。梅原氏の両親は共働きであったため、学校から帰ってきて3、4時間の間に集中的にプレイしていたそうです。

次は「一番大切にしているものは」という質問。梅原氏はとにかく人間を大切にしていると語ります。勝負の世界では人を出し抜くために、人間関係が壊れがちです。しかしながら、人間関係がうまくいかないと継続的にプロとして戦えないといいます。特に常に新しいゲームで戦うプロゲーマーにとって、人づてに聞いた情報の価値は無視できないといいます。

さらに「プロゲーマー学科ができましたが、一番への近道はゲームをすることでは」という鋭い質問も取り上げられました。梅原氏はプロゲーマー学科がどうなっていくのかはわからないが、ゲームとはいえ、人とのコミュニケーションが大事であると指摘。昔はゲームセンターで人間関係を学べたが、今はなかなか共通の趣味の人が集まれないため、専門学校という制度にも十分価値があるのではないかと説明します。

最後に来場した学生にメッセージが送られました。昔はゲームといえば、やってはいけないという逆風があり、継続してプレイするには覚悟が必要でした。現在は環境が良くなりましたが、そのような逆境を乗り越える覚悟を持ってほしいと梅原氏は語ります。そして、様々な困難を乗り越えれば、こんなに楽しい仕事は他にないと振り返っていました。
《今井晋》
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