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モバイル版で世界観を提示し、各メディア向けに深掘りしていく・・・『チェインクロニクル』ビジネス戦略について聞く

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セガネットワークス秋山隆利氏
  • セガネットワークス秋山隆利氏
  • PSVita『チェインクロニクルV』
  • PSVita『チェインクロニクルV』
  • 『チェインクロニクル』第2部「絆の新大陸」
昨年末に第一部が完結し、スマホゲームとしては異例の「エンディング」を迎えた『チェインクロニクル』。セガネットワークスが配信する基本プレイ無料のスマホ向けRPGです。新たに配信されたPS Vita版『チェインクロニクルV』、そして気になる第2部の構想と、広がり続ける『チェンクロ』の世界について、セガネットワークスで編成局とマーケティングを統括する秋山隆利氏に伺いました。

セガネットワークス 編成局 副統括部長 マーケティング部 部長 ライツ課 課長


―――ついに第二部がスタートしました。

もともと『チェンクロ』は12ヶ月で終了する予定でした。ところが、思いのほか反響が大きかったのです。お客様からも先の展開を希望する声がすごく多かったので、これは考えを変えなければダメだなと思いました。それで開発チームと検討した結果、第2部をスタートすることになりました。

―――そもそも1年で終わる予定だったというのが驚きです。

もともとRPGですから、遊び尽くされると自然と終わりますよね。スマホゲームはオンラインゲームほど大きなデータは持てないので、限界を追い求めるよりは、新作ゲームを作る方がユーザーニースにも合っているだろうと思っていました。もっとも、基本プレイ無料のゲームは課金という形でお客様がサーバ内に独自の資産を構築していく遊びでもあります。そのため、そういった思いには真摯に向き合うべきだろうということになりました。

『チェインクロニクル』第2部「絆の新大陸」


―――続編には世界観を広げるやり方と、10年後、20年後といったように時間軸を進めるやり方がありますが、第2部ではどちらになりますか?

前者ですね。世界をどんどん広げていって、いろんな種族が出てきたり、異文化との出会いがあったりします。その方がストーリーをより広げやすいと思いました。詳細についてはこれからの情報を期待してください。もっとも、これがベストというわけではなく、状況によると思います。

―――どのようなキャラクターが登場するのか、楽しみですね。

いろんなキャラクターが登場して、彼らの性格を自分に投影しながらストーリーを体験できるのが、日本らしいRPGだと思います。『チェンクロ』は特にパーティメンバーを自由に差し替えて、「勇者ご一行様」を自由に変えられます。その中で、自分なりのロールプレイを楽しんでもらえれば良いですね。

―――Vita版でも『チェインクロニクルV』が配信されますが、どのような位置付けになるのでしょうか?

Vita版はメディアミックス展開の一つという位置づけです。もともと『チェンクロ』はモバイルゲームですが、ソーシャル要素が非常に薄くて、基本的には一人用のゲームになっています。そのためキャラクターのドラマや人間性を自分なりに読み解いて遊べる良さがありましたが、世界観の掘り下げで物足りない部分もありました。そこで、さまざまなメディアで深掘りしていければいいなと。全部遊んでもらって、『チェンクロ』の世界をがっつりと体験してもらえれば理想ですね。

PlayStation Vitaで配信開始された『チェインクロニクルV』


―――なるほど、基本プレイ無料のゲームで世界観をワッと広げて、各メディアで深掘りしていくというのは、スマホ時代ならではのやり方ですね。

もともと義勇軍って、西に東にとモンスターをボコボコにするだけじゃなくて、城壁の修復をしたり、地域の人々の役に立ったり、生活を支える身近なヒーローだと考えます。そこでVita版では騎士団をはじめとした、さまざまな団体に所属してもらって、その地域を守るような遊びになります。また基本的に一人で遊ぶものだったモバイル版と違って、Vita版ではみんなで遊ぶような内容になります。コンセプトである「キャラクター」と「キズナ」はそのままに、ちょっと違った角度から体験できるものになっていると思います。

―――キャラクターもたくさんいるし、物語もきちんと作られているので・・・

あとは弄りたい放題ですよね。よくあんなにキャラクターを考えたなと思います。別冊少年マガジンで連載が始まった漫画版『チェインクロニクル クリムゾン』も、またちょっと違った角度で『チェンクロ』ワールドが楽しめます。他に構想中のものもありますので、ご期待ください。

―――さまざまなコラボも仕掛けられていますが、選択の決め手は何ですか?

コンセプトが合っているかですね。『チェンクロ』はキズナをキーワードに、人と人のつながりや、人間性・雰囲気などを大切にしています。なのでコラボの相手もストーリーがおもしろい、キャラクターに深みがある、設定がおもしろい、作家さんが背景やストーリーにこだわりを持っている、そういった人たちとご一緒することを決めていました。プロモーションでもキズナを大事にしていて、主人公などたくさんのキャラクターのボイスを担当している声優の石田彰さんに、PVでナレーションをしてもらったのも、そうした流れからです。

―――そのあたりは一貫しているのですね。

開発とマーケティングで同じ思いを共有しているので、ぶれずにできました。このあたりはコンシューマのやり方そのままだと思います。

―――会社の説明資料によればおよそ月商10億円とのことですが。

正直、売り上げとしては悪くない部類だと思います。でも、これってお客様にそれだけ投資してもらっているということですよね。その思いは裏切らないようにしたいと思います。その上で、もっといろんな人に触ってもらって、数字を伸ばせるようにしていきたいですね。

―――普通に遊んでいても、あまりお金を払う感じがしない点が驚きです。

そういう設計を心がけています。特に課金ユーザーが無料ユーザーに戻ったときに、それでも楽しく遊べるように注意しています。課金したら面白く遊べるのは当たり前ですが、無料ユーザーに戻ったときに「なんだ、このゲーム」となると、そこで全てが終わってしまいますからね。逆に無料で面白いからこそ、お金を払ってもらえると思っています。もともとセガの開発者は世の中に楽しさを提供することを目的としている方が多く、楽しさを無視して売上だけを求める姿勢は好まれていません。ですので、それらを踏まえ最大限に売れる仕組みを調整した結果、今の状況になりました。

―――今後はユーザーが増えることで売り上げを増やしていけば良い?

そうですね。あとは納得して課金してもらえる機会を、もう少し増やしていくとかでしょうかね。先に進めたいから課金するというのが健全な思考だと思います。無料でも面白いから課金すると言われるくらいに努力していきたいですし、逆に不満があれば改善していきますので、どんどん教えてください。

―――海外展開も好調だと聞いています。

中国・韓国・台湾で配信中で、それぞれ現地のパートナー企業さんと提携して、良い感じで進めていただいています。それぞれの国で文化が違うので、できるだけ多くの裁量権をわたして、現地主導でローカライズや運営を進めてもらっています。たとえばオートプレイ機能をつけた国もあります。『チェンクロ』というコンテンツの方向性を理解してもらいつつ、現地の人に受け入れてもらえるサービスを考えてもらえれば、それが一番良いと思います。

※このインタビューの後、米国展開はgumiと共同して行うことが発表された。同時にセガネットワークスはgumiへの資本参加も行った。

―――どういったところで違いを感じますか?

たとえば日本ではキャラクターのイラストや名前などが重要ですが、韓国では設定も重要だったりしますね。神だったり、義賊だったり、プレイヤーが憧れをもちやすい設定が求められます。イラストもリアルタッチで、塗りが繊細なものが人気、といった違いがありますね。台湾では逆に可愛らしい雰囲気のものや、SD系のデフォルメキャラが好まれる特性があります。中国もまた独特で・・・。コラボレーションも現地主体でやってもらっています。アメリカやヨーロッパでも同じように進めていきたいですね。

―――自社でやる選択はありませんでしたか?

海外展開を考えるときにその手法は市場やタイトルごとに個別に判断しています。『チェンクロ』については現地について精通している現地パートナーに展開をお願いする選択をしました。そうすることで最適な運営、プロモーション活動をし、より多くの方に触れていただけると期待しています。

―――セガネットワークスも気がつけば300人以上を数える大所帯となりました。

大ざっぱにいって、開発はセガ、運営やビジネスはセガネットワークスという切り分けで進めています。企画の入り口はセガが多いですが、どのように進めていくかは両社が一緒になって議論しています。セガは部署ごとに文化が違っていて、いろんな個性あふれるゲームが出てくるので、それぞれに合わせるのは大変なところもありますが、信頼関係が高まってきました。

―――開発チームから企画が出てくるというのは健全ですね。

開発はみな、おもしろいものを作ることにこだわりを持っていますからね。逆に上から「ヒットしているゲームを真似しろ」と言われても、絶対にやらない開発者ばかりです。だったらこうした方が良いとか、こんな風にひねった方がおもしろくなるとか、そんな風に突き進むのが社風です。

―――なるほど、セガらしいですね。

もちろん、それはそれでいいんですが、そこはオンラインゲームです。リスクを減らしたり、運用しながらキチンと収益が上がるように、分析やサポートを通して、うまく協力関係を作っています。クリエイティブとビジネスをうまく分担して、お互いに最大限に能力が発揮できるようにシステムを構築しています。譲るところは譲り、譲らないところは譲らない。プロセスを明らかにしていくことと、一度決めたプロセスを守ることが大事です。

―――最後にこれからの抱負をお願いします。

おかげさまで『チェンクロ』は、ソーシャルカードゲーム全盛の中で「ゲームらしいゲーム」を提供し、新しい流れを作ることができました。ミッドコア向けに楽しいゲームを作るのは専売特許だと思っているので、そこはこれからもセガの使命として進めていきます。ただ、市場はそこだけではありません。それぞれに対して実験を重ねて、いろんなタイトルを作っていきたいですね。全部の領域でセガがおもしろいゲームを提供できるように、これからも研究と挑戦を重ねていきたいと思います。

―――ありがとうございました。

《小野憲史》

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