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『ガンダムUC』の始まりから終わりまで 古橋一浩監督、小形尚弘プロデューサーインタビュー(後編)

『機動戦士ガンダムUC』について、古橋一浩監督とサンライズ小形尚弘プロデューサーに伺うインタビュー後編。今回は古橋監督にとってのガンダムや、episode 7 「虹の彼方に」に見どころなどを紹介する。

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『機動戦士ガンダムUC』の始まりから終わりまで 古橋一浩監督、サンライズ小形尚弘プロデューサーインタビュー 後編
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最終章を迎えた『機動戦士ガンダムUC』について、古橋一浩監督とサンライズ小形尚弘プロデューサーに伺うインタビュー後編。今回は古橋監督にとってのガンダムや、監督とプロデューサーが薦めるepisode 7 「虹の彼方に」に見どころなどを紹介する。

■ 古橋監督にとってのガンダム

――監督にとって『ガンダム』はなんでしょうか?

古橋一浩監督(以下古橋) 
う~ん、なんでしょうね……。すぐには思いつかないですね。

――心地よいものなのか、あるいは苦しいものなのでしょか。シャア的に言えば、『ガンダム』という重力にとらわれている人が世の中には多いのですが。

小形尚弘プロデューサー(以下小形) 
古橋さんは、『ガンダム』じゃなくて『ヤマト』にとらわれている人です。

古橋 
SFアニメの映像的な原体験がそれなので。見たのが14歳だし。『ガンダム』は、18歳でした。

小形 
客観的に見られる人ですよね。たぶんファーストガンダムしか頭に入ってない。
だから、ガンダムの良い部分、悪い部分を客観的に見られていると思うんです。

古橋
ファーストガンダムは自分のなかに残っていますよ。

――ファーストガンダムが残っているのはなぜですか?

古橋 
ファーストガンダムは戦争ドラマですよね。全体が明快で、どこに行くかも見えるようで乗りやすかった。
ただ、番組が始まる前、スタジオぬえの加藤(直之)さんの実家に進路相談に行ったときに、「こんなの始まるよ」と話を聞いて、ハードルを上げ過ぎたところもあって、1話はほかの人が言うようなインパクトはなかったんです。
見ていくうちに年上ライバルポジションのシャアとの関係性、シビアな中にどこか暖かさを感じるヒューマンドラマに引き込まれていきました。

――そのほかの魅力は?

古橋 
これは脚本、演出だけでなく、渡辺(岳夫)氏の音楽の力も大きかったと思います。曲に心理とか感情が乗ってくるんです。私のBGMの理想型ですね。『ヤマト』と並んで。とにかく、全ての要素のバランスが良くて、心地よく見られる奇蹟のような作品でした。『ヤマト』と並んで(笑)。

――ニュータイプが出た段階で、また大きくドラマが変わりましたが?

古橋 
私のエスパー物の原体験は小学6年生の頃の漫画『バビル2世』なので、何の違和感も無かったです。戦場での命がけの覚醒による予知と交換。当初、『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』を見返して思いましたが、ニュータイプに関してはTV版で現実味を伴った可能性として最も美しい形で描き切っていますね。

■ 古橋監督、ニュータイプを語る 

――その「ニュータイプ」ですが、監督にはどういう存在でしたか? 物語の要素として、今回も大事だったと思います。

古橋 
そこから自分も年を重ねて30余年。人と人が解り合えるなんて限定された人と人、更に一定時期のみの儚い状態だよなと身に染みてきました。ネット社会を見るまでもなく、互いが本音をさらけ出したら現世は修羅場にしかならないですからね。エンタメにするなら醜い部分はスパイス程度で希望というファンタジーにするしかないです。

――SFじゃなくてファンタジーだと?

古橋 
一瞬の煌めきとして誰の心にも宿るであろうもの、儚いからこそ価値があり、求め続けられるモノとすればリアルなのではないかと。本編でも結果じゃなくて過程が大事的なニュアンスになってます。“熱”というワードを通底させつつ、「それでも…」とあがき続けるバナージの姿が迷える魂を成仏させる…。ダメ押しはズルい感じですが、ニュータイプたる主人公としての役割はキッチリ果たしていると考えます。
また、乱暴ですが、もっとシンプルにオールドタイプとニュータイプを世代に置き換えれば、父から子への継承をさまざまな形で描いてきた本作も『めぐりあい宇宙編』のラストを重奏したとも言えるかも。

■ 「虹の彼方に」の見どころは?

――最終章となりましたが、「虹の彼方に」はどこが見どころですか?

古橋 
永井一郎さんのサイアムの台詞全て。と、主人公の決め技“ソフトチェストタッチ”。ロボバトル物ではおそらく空前絶後かなって。
さらに選曲演出全般。時を駆けるネオ・ジオングのイメージ映像。村瀬(修功)氏の神ハイパーな1コマ原画も胸アツ、“オール国内動画”です。
大画面を意識した体感係の演出です。アトラクションだと割り切ってご覧下さいませ。

――プロデューサーとしてはどうですか?

最後の少し前、ネオ・ジオングとユニコーンガンダムの殴り合いができて良かったですね。

古橋 
決め技とのコントラストで、手の使い方のバリエーションを色々と。手刀になるのはマニピュレーターの関節保護のためで、ゴールドライタンがやりたかったワケではありません。

小形 
あのシーンは、自分のなかですっきりしましたね。

――ネオ・ジオングがとてつもなく巨大です。

古橋
腕もたくさん付いてますしね。戦うためではなくて、相手の戦意を殺ぐのが主目的のギミックです。中野サンプラザ規模の存在感。動かざること山の如し。でも腕はバンシィよりも早く動きますから恐ろしさも充分。高谷(浩利)氏の神超絶原画、この動画もほぼ国内です。

小形 
ロボットアニメのカタルシスを優先させてもらいました。

■ バナージとミネバの出会いは偶然でなく、必然

――6年間にわたった『ガンダムUC』ですが、これは群像劇として理解すべきでしょか。それとも、バナージとミネバのラブストーリーなのでしょうか?

古橋 
ボーイミーツガールのスタイルは取ってますけど、通常のラブストーリーとは異なる感じです。

――episode 1はバナージがオードリーと出会って、彼女のために頑張りたいと思ったとも見えます。

古橋 
表層的にはそうですが、このシーンでは戦争を“穴”に喩えています。“穴”喪失の恐怖と抗いの衝動です。戦争を止めたいというオードリーの言葉に遙かな過去から見透かされていた己の役割を、バナージはその胸の内深くに自覚したと。個人的な恋愛感情を越えた魂の絆レベルの関係を想定していました。そうでなければタペストリーに深い意味合いが生じないので。で、そのタペストリーを見ると、6枚中4枚は貴婦人がユニコーンの方を見てるし、さらに2枚は。貴婦人がユニコーンに触れている。獅子(バンシィ)のリディに勝ち目は無かったのです、最初から(笑)。

――そうするとバナージとミネバの出会いは偶然ではなく必然なのですか?

古橋 
あくまでも私の脳内解釈では、そう。
脳内なのでさらに言ってしまうと、バナージは宇宙世紀百年間のアースノイドの想念の具現化、争いを終わらせたいとの願いの結晶。一方、スペースノイドの希望の結晶がミネバ。櫃から取り出した宝飾品が真実という名の情報と、結果として予定調和な絵になるけれども、課程が大事という趣旨であるなら、これ程美しい構成もないのではないかと思われます。
父から子へと託されていく、たったひとつの望み。
私はまだ父ではないので、この作品にひとつの願いを託します。
“想像力は汲めども尽きぬ泉なり”
視野を広くして再見して下さい。

『機動戦士ガンダムUC』
公式サイト http://www.gundam-unicorn.net

『機動戦士ガンダムUC』の始まりから終わりまで 古橋一浩監督、サンライズ小形尚弘プロデューサーインタビュー 後編

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