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デジタルビジネスの「価値」に関する、任天堂の見解とは ─ 第2四半期決算説明会の質疑応答にて表明

10月31日に行われた第2四半期決算説明会の質疑応答がこのたび公開となり、その中で任天堂が、デジタルビジネスにおける価格設定の考え方を表明しました。

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10月31日に行われた第2四半期決算説明会の質疑応答がこのたび公開となり、その中で任天堂が、デジタルビジネスにおける価格設定の考え方を表明しました。

任天堂はこのたびの説明会で、デジタルビジネスの大幅な拡大が重要である点を語り、また今現在3DS市場にて、ダウンロード販売が堅調に推移していることを明かし、販路も整った件も含め「デジタルビジネスも拡大期に入った」とコメントしたことは、先日お伝えした通りです。

そういった現状を報告した後に行われた質疑応答にて、デジタルビジネスに関して寄せられた質問に答える形で、任天堂が考えるデジタルビジネスに対する姿勢や価格設定の考え方が明らかとなりました。

任天堂取締役社長である岩田聡氏は、パッケージソフトとダウンロードソフトの価格関係に関してまず答えました。これまでパッケージソフトをデジタルで販売する場合の価格設定は、値段を下げるのが普通という業界の通念にまず疑問を投げかけ、ソフトの価値を認めてもらうコンテンツ制作を最大限に努力した上で、「私たちはソフトの価値をなるべく高く認めていただきたいと考えている」と述べ、パッケージとダウンロードで同じ内容ならば同じ価格で提案したいという、価格に見合った内容を提供する在り方を改めて露わとしました。

実情としても、『とびだせ どうぶつの森』や『ルイージマンション2』、『モンスターハンター4』に『ポケットモンスター X・Y』などのタイトルはダウンロード版の売上も高く、また「次もダウンロード版を買いたい」と述べる利用者も多いため、そのスタイルを受け入れる土壌も育ちつつあります。

そういった、同内容であれば価格差をつけない考えを提示すると同時に、それらはユーザーと提案するゲームとの信頼関係に基づく面もあるとし、新規のIPや、著名なキャラクターが使われていたとしてもゲーム性として全く新しい提案となるものに関しては、パッケージ型と同じ売り方をするのは適切ではないと考えており、そういうものをダウンロード専用ソフトとして提案するときには、価格や販売方法に柔軟性を持たせたいと説明。その柔軟性に関しては、コンンテンツ購入型の『だるめしスポーツ店』や、2種類の価格を設けた『Wii Sports Club』などの販売方法で、実際にそういった姿勢が現れています。

なお『Wii Sports Club』が、購入型だけでなく、24時間レンタルというスタイルも平行して採用した理由として、前作を楽しんだ人たちが、「頻繁に遊びたい」と「みんなが集まったとき、たまに遊べればいい」の、大まかにわけて2つの方向性に分かれていることを考慮し、それぞれに適した販売方法を提案することでソフト販売のポテンシャルを大きくできるのではないか、と判断した結果とのことです。

また任天堂は現在、3DSソフトを2本買うと、特定タイトルのソフトからもれなく1本もらえるという大胆なキャンペーンを展開しており、「こういったサービスによるソフト価格全体のデフレを引き起こすリスクをどう考えているのか」との質問に、「このキャンペーンには2つの側面がある」と岩田社長は語りました。

一つは、購入意欲はあるもののきっかけがない、という潜在的に購入者となる可能性が高い人に対する効果的に刺激するため。もう一つは、ソフトのダウンロード版を経験してもらうことです。ソフトのダウンロード版を経験しているユーザーは、まだ一部というのが現状。ですが、このキャンペーンを通して、ソフトを物理的な入れ替えなく別のソフトが楽しめるという環境を体験してもらうことで、将来のデジタルビジネス拡大に繋がる大きな一歩とする狙いがあるとの考えを表明しました。

反面、このような施策がソフトの価値の毀損につながりかねないとも明かしており、「そうならないように注意したい」との言葉で、この質問を締めくくっています。それだけ、今回実施した「“もれなく”もう1本プレゼントキャンペーン」がもたらす可能性と影響を、様々な意味で大きく捉えている任天堂の姿勢が浮き彫りとなった質疑応答でした。

今後も拡大していくであろうデジタルビジネスに対し、任天堂が示す提案が、どのように受け入れられ、ゲーム業界に波紋を投げかけていくのか。まずは今年の年末商戦が、ひとつの結果を示してくれることでしょう。
《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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