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『ポケモン』を育てた石原恒和氏、世界を制した「遊び心」を語る ─ 「プロフェッショナル 仕事の流儀」

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石原恒和氏
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「怪物(モンスター)を育てた男」 ── 昨夜NHKにて放送された第215回の「プロフェッショナル 仕事の流儀」は、大胆な一言から始まりました。

今回フォーカスされたのは、株式会社ポケモン代表取締役社長であり、ゲームソフトはもちろんカードゲームやグッズなど、様々な「ポケモン」の展開に関わり指揮を執る、現役プロデューサーの石原恒和氏。ゲームソフト『ポケットモンスター』シリーズは累計2億5千万本を売り上げ、世界で1億人のユーザーが遊んでおり、また関連商品の売り上げはトータルで4兆円に上ります。モンスターを題材とし、モンスター級のコンテンツビジネスに築き上げた石原氏はまさに、「怪物を育てた男」と言えます。

ゲームを遊ばない人にもその名を知られている『ポケモン』。17年の歴史を刻み、今なお、ゲーム業界のみならず、劇場版、カードゲーム、グッズなど、多彩に展開されるコンテンツは、最前線に立つ石原氏によって導かれています。

そんな石原氏がプロデューサーとして心がけている姿勢は、「事件を起こす」こと。制作に携わる人やチームが、その活動の延長線上からは生まれにくい発想や、ある種の事件とも言うべき要素を、プロデューサーという外部が与えることで、大きなクリエイティブを生み出すと、穏やかに明かしました。

その事件を起こすという考えは、自らの発信のみではなく、話しやすい雰囲気を作るために欠かさない雑談や、誰でも発言しやすい会議の空気作りなど、一見地味ながらも重要な姿勢を、高い包容力を持って実現させている行動力として現れています。

しかし石原氏が、忍耐力とも言えるような対応を身に着けたのは、自らが「痛恨のゲーム」と称する、大きな挫折を味わったゲーム作りを経験したためでした。思うように進まない開発に苛立ち、詰め寄ったこともあった石原氏。長年仕事を共に行ったスタッフに「辞めさせて下さい」とまで言わせてしまい、最終的に完成はしたものの、未だにそのソフトを立ち上げて遊ぶことはできないと述べています。

その苦い経験から、忍耐力と包容力の重要性を学び、そして「込めるのは執念ではなく、遊び心だ」と、今の石原氏が貫く姿勢の原点となりました。

石原氏は意外にも、マーケティングというものをほとんど行いません。何かを生み出す際に問いかけるのは、市場の数字ではなく、自らの遊び心。「こういうものを作って世に問いたいという気持ちが萎えたり、失われたりしたら、それは作り手を辞める時だと思うんです」と、遊び心という挑戦と創作性を、数字などに委ねず、自らに問い続けるその信念を垣間見せてくれます。

そんな石原氏に、番組側から2つの問いが投げかけられました。1つ目は「石原さんにとってゲームとは?」と、シンプルながらも難しい問いに対し「極言、なくてもいいもの。ないと死んでしまうようなものではない。自分が一番こだわりながらも、一番なくてもいいもの」と、一見温度のあまり高くない言葉を返します。ですが、「なくてもいいものと言っておかないと、そっちの世界に行って帰ってこなくなってしまう」とも続け、情熱を傾けるからこそ入り込み過ぎない、戒めとも思えるようなスタンスを示します。

2つ目の質問となる「ではなぜゲームを作るのか?」に対しては、「子供同士や親子とかが話をするきっかけとか、あるいは一緒の方向を向いて楽しむ時の道具になれたら理想」と語りつつも、「コミュニケーションツールだっていうつもりはないです。邪魔されず一人で遊び続けられる部分と、会話が弾むネタという、その両方が実現する道具になりたい」と告げ、遊ぶ者同士の繋がりを大事にしつつもゲームそのものの面白さも失わない、卓越されたバランス感覚を重視する姿を見せてくれました。

事件を起こし、空気を作り、発想を受け入れ、しかし入り込みすぎず、遊び心を忘れない。挫折と経験により、自分の心に巣くっていた怪物を乗り越えた石原氏だからこそ、世界中から愛されるモンスターを育て上げることが出来たのでしょう。

そんな石原氏の朝は、奥さんと一緒に朝食を作ることから始まります。石原氏の担当は、焼き魚とみそ汁。奥さん曰く、何も言わずに放っておくとみそ汁の具は絶対に大根と油揚げになるとのこと。「好きなものを作って食べてるだけなんですよね、自分で」と指摘する奥さんの一言こそが石原氏の本質を、案外もっとも的確に突いていたのかもしれません。

なお、今回の第215回「プロフェッショナル 仕事の流儀」は、11月1日の24時40分から再放送を予定しています。放送内容をより深く知りたい方は、そちらをチェックされてはいかがでしょうか。

(続く)
《臥待 弦(ふしまち ゆずる)》

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