ゲームクリエイターとして世界にその名を響かせる宮本茂氏が、会心の一作として生み出した『ピクミン3』。「すっきりした構造ができた」と表現されるその作品を取り上げながら、宮本氏のゲーム作りの本質に糸井重里氏が迫りました。
第1回「クラシックな構造をいまの技術で」のインタビュー開始直後から、糸井氏は「本質的には、宮本さんの話をしたいんですよ」と切り出し、宮本氏の笑いを誘います。その発言に岩田氏も「まだ、宮本さんの話のほんとうにおもしろい部分を引き出せていないような気がするんですよ」と同意し、糸井氏との対談でそれが露わになることを期待していると語ります。
『ピクミン3』が完成したことで、「これまでつくってきた歴史のようなものが、ひと通り終わったのかな」と大きな節目を迎えたことを、宮本氏は明かします。そして「『ピクミン3』は、ぼくがつくったというよりも現場のスタッフがつくったわけですけど」と前置きした上で、ゲームに取り入れる「難しさ」の構造と向き合ったと述べました。
上手い人と下手な人が同じように遊んで、両方がちょうどいいと感じることはありえない。その差を埋めるため、便利なアイテムを用意して上手じゃない人を救済してしまうと、「ちゃんと最後までがんばってプレイする人を無視しているような感じにもなってしまう」とこぼし、ゲームとしてあるべき形を模索したそうです。
こうして辿り着いたのが、ハードルをいくつか準備して、あとは遊ぶ人が自分の超えるハードルを決めてチャレンジしていく、というものでした。そのチャレンジのひとつの成果が、『ピクミン3』という形として完成を迎えたのです。
宮本氏は、『ピクミン3』を作り終えた今を「駅に到着した」と例え、次はどこへ向かおうかという時期にあると述べました。今はどれでも選べる、規制されていないように感じる──そう語る宮本氏は、「そういうところを岩田さんが引き受けてくれているというのもありますけど(笑)」と照れ隠しに笑いを交えると、「宮本さんを自由にするのがわたしの仕事ですから」との力強いコメントを岩田氏が返し、その理想的な関係を糸井氏が賞賛しました。
第1回目となる対談だけでも、濃密なやりとりや、他ではなかなか見られない宮本氏の意外な面が明かされた、貴重な一幕となりました。
続く第2回「すっきりした構造」では仕組みを安易に足すのではない姿勢を語り、第3回「室町時代の人でもわかるおもしろさ」では「お客さんに届けるっていうのを目標に置いてるとある意味ラク」という発言の真意を明かしています。そして第4回「段取りやマネージメントの「見える化」」では、ユーザーが上達をより実感できる仕組みについて述べており、どの回も非常に読み応えのある対談となっています。
ユーザーの視点で読み解くのも興味深い3名の対談は、「ほぼ日刊イトイ新聞」にて公開されているので、気になる方はチェックをお勧めします。
『ピクミン3』は好評発売中で、価格はパッケージ版・ダウンロード版ともに5,985円(税込)です。
(C) 2013 Nintendo
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