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【E3 2013】『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN』で世界の強豪に挑む、小島秀夫監督インタビュー

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【E3 2013】『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN』で世界の強豪に挑む、小島秀夫監督インタビュー
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『Ground Zeroes』と『The Phantom Pain』という2つに分かれたピースがひとつになり、GDC 2013でセンセーショナルに正式発表された『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN(メタルギア ソリッド V ファントムペイン)』(以下『MGSV』)。

E3 2013では、大物俳優キーファー・サザーランドの起用、ヒデラジスペシャル配信やロングトレイラー映像による新情報が一挙に解禁され、イベントの主役とも言える次世代機PlayStation 4/Xbox Oneでの発売も決定。KONAMIブースのクローズドドアで実施された国内メディア合同インタビューで、その鍵を握る小島秀夫監督の話を聞くことができました。


――今回の『Metal Gear Solid』はRace(人種)や復讐がテーマということですが、単純にそうしたテーマにあまり良いイメージを持っていない人もいると思うので、そのあたりの設定についてもう少し詳し話を聞かせていただければと思います。

小島監督: 「反戦反核」という大きなテーマがあって、25年間そういうものをテーマにつくってきましたが、伝えられなかったものとかいっぱいあります。『メタルギア ソリッド ピースウォーカー』では「ピース」というテーマで、平和を維持するための抑止力、自分たちを守るための核兵器を取る、というところで終わっていました。

その先に何があるかというと、世界中のあらゆる紛争の根っこにあるのはやはり民族であり、さらに報復があり、報復の連鎖によってテロが起こる。「反戦反核」というテーマを扱っている以上、そこはやらなくてはいけない。私の残りの人生も、もうそう長くはないですから(笑)。そろそろそういうこともやりましょうと。ハードの表現能力も高まってきた、ということもありますね。

――国内でトリプルAタイトルをやるパブリッシャーは減ってきました。その中で監督が真っ向からトリプルAに取り組む理由、思いみたいなものを教えてください。

小島監督: 好きだからというものありますけど、ゲームって、テクノロジーに依存した媒体なんですよね。ゲームというカテゴリは、どんどん縦にも横にも広がっていきますけど、垂直方向の広がりっていうのは、階段をあがるようなものなので、ここでそれを止めてしまうと、おそらくもう二段ジャンプとかはできなくなると思うんです。

ソーシャルはソーシャルで今後もつながっていきますけど、技術っていうのは上がっていくものなので、止まってしまったら先はありえないと。それがいちばん大きな理由です。別にソーシャルを否定しているわけでなく、このゲームも最終的には次世代ソーシャルみたいになっていくとおもいます。

――オープンワールドのステルスが今作の新しいコンセプトだと思いますが、ステルスというのはどこかに目的があって入っていくのが潜入、それがオープンワールドになるとどうなるのかイメージがわきにくいので、もう少し具体的に教えてください。

小島監督: FPSなんかもリニアじゃないですか。ゲームデザイナーがレールをひいて、そこを100万人の人が通ったら、おばけ屋敷のように毎回同じことが起こる。それはそれで演出的に面白いけれど、本当のゲームの強みって、そうではなく、100万人いたら100万人がそれぞれ反対方向から行ったり、時間帯も天候も違ったり、ゲームの強みとしてそこをやりたいなと。

実際の潜入なら、まずブリーフィングがあって、例えばアフガンのこの建物のどこかに助けるべき人がいるという情報を自分で調べて、そこまでヘリで行くのか、ジープで行くのか、歩いて行くのか、誰とどういう兵器で行くのか、夜に襲うのかとか、そういう今まで映画的に見せたいがためにゲームデザイナーが決めていたことを、自由に遊べたほうがいいので、今回の潜入は本当にリアルです。プレイヤーにあまりゲームのルールを押し付けていないわけです。自分で考えて潜入する、「リアル潜入シミュレーター」に近いです。

――現行機のPS3とXbox 360に加え、次世代機にも対応した理由を聞かせてください。

小島監督: ほぼみなさん同じだと思うのですが、クラウドだからです。ハードやプラットフォームにしばられることもないですし、我々もPCで作っていますから。

――今回、Microsoftメディアブリーフィングのオープニングで『MGSV』の映像が流れました。それを含めたE3での出展に対する海外からの反響をどう見られていますか?

小島監督: 十数年前に『メタルギア ソリッド』を出した時から、今もそうなんですけど、アメリカでいちばん売れるんですよ。アメリカ、ヨーロッパ、日本の順。そういう意味で、どこ向けというのは考えていなくて、グローバルにユーザーさんを楽しませたいという意図でやっています。とは言え、いちばん大きい市場はアメリカで、いちばん大きいショーがE3。そこで世界の強豪と戦うことになります。一時期は勝っていた時期もありますけど、ここ何年か、『MGS3』くらいから様相が変わってきて、販売本数とかテクノロジーとか、ユーザーの支持率などで、今はもうほとんど負けている状況です。そこで、もう一回世界で勝ちに行こうという意味を込めて、今回の『MGSV』の“V”は“5”だけではなくVictory(ビクトリー)の“V”にもかけています。

――では今回の展示で、世界相手に食い込んできている実感はあるのですか。

小島監督: おかげさまで評判は良かったのですけど、ユービーアイさんの『Tom Clancy's The Division』を見たら、腰抜かしてしまいました(笑)。「ディヴィジョン(分割するの意)か!」と、壁がある感じがしましたけど、まだまだがんばりますよ。

――トレイラーで、馬に乗ったまま側面に隠れてという新しいステルスアクションのシーンがありましたが、それ以外に何か新しいアクションはあるでしょうか。

小島監督: まだ詳しくは言えませんが、いろいろあります。例えばトラックの荷台に乗っていましたよね。リニアなゲームであれば乗ったまま目的地に移動するだけですが、オープンワールドなので、どこでも止まることができます。トレイラーではたまたま羊の群れで止まりましたが、プレイヤー自身が何かを仕掛けて止めてもいいし、スピードが落ちた山道で乗り込むこともできるし、乗ったからといって安全ではない。そういうこともできるので、今までとはかなり違う、本当の潜入のようですね。逆に言えば、プレイするのはものすごく大変です(笑)。気が抜けない。

――今回のE3トレイラーでドナ・バークのテーマソングが非常に印象的だったのですが、彼女を『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER』に続いて起用した理由や、テーマソングの意味みたいなものはありますか?

小島監督: ピースウォーカーでドナさんの曲を使わせていただいて、ユーザーの皆さんからも歌声がきれいだと喜んでいただいて、以前コンサートをした時に、変な話、自分の作ったゲームのテーマソングで泣いてしまって、次もやろうと決めました。この曲が決まるまでに1年半くらいかかっていて、20曲くらいの中から最高のだと思うものを選びました。 “Sins Of The Father”という曲名で、歌詞もゲームのテーマにあわせたものになっています。まだ少ししか情報が出ていないので、のちのち、全体を通すともっと意味がわかるかと思います。

――今作の舞台は1984年のアフガニスタンということですが、この時代を選んだ理由は?

小島監督: 84年はジョージ・オーウェルの『1984年』(小説タイトル)です。『MGS3』の頃から狙っていました。『MGS3』は64年、『PEACE WALKER』が74年、その10年後が84年です。少しオーウェル的なテーマもあります。84年というと僕らの時代でもあります。冷戦だとすごい昔の話のようですが、84年だと若い人から見て少し過去になるので、そこが新しく見えるかなと。あと舞台はアフガンだけではないです。

――ラジオの方で、マルチタブレットに関する話が出ました。今伝えられる範囲で、どういうことができるか教えてください。

小島監督:みなさんもう、お分かりかと思います。一作ずつ順番に階段を上っていますので、『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER』のシステムも当然入ってくるであろうと。そこで、マルチタブレットになると色々なことができる。今回のウリはそっちなんですよ。もちろんグラフィックやオープンワールドもがんばりますけど。『MGSV』のいちばん押したいところは、見た目の印象はコアなゲームですが、中に入ったその向こう側には、マルチタブレットやネットやクラウドとか、そういう世界が待っていると。ゲームを介した次世代のソーシャル、コミュニケーションということになりますが、少し風呂敷を広げすぎたので、どこまでやろうかなということもあり、今お話しすると本当に実現するのか?と驚かれそうですので、詳しくは出来上がってからお話しすることにします(笑)。

――ずばり、今の進捗状況は?

小島監督: わからないです(笑)。 風呂敷を広げすぎたので。しっかり作らなければなと思っています。

――オンライン要素について現時点で分かることを教えてください。

小島監督: オンラインはありますよ。作ってますけど、今の時点ではお話できません。小島プロダクションのLAスタジオ立ち上げを今やっていまして、そこのスタッフと日本のスタッフで一緒につくっています。もちろん最低限のところは用意しますが、本作では対戦やCo-op以外のところでの広がりを強調したいと思っています。本作はオープンワールドでどこでも行けるので、例えば馬でAからBの場所にこれだけの時間で走ったと誰かがFacebookやTwitterで伝えて、そこからみんなでレースをしたり、その様子をタブレットで観覧したりということがあってもいいと思っています。

――Microsoft、ソニー、任天堂の三社から、次世代機の価格やスペックをはじめ、色々な発表がありました。それらに対する小島監督の印象を教えてください。

小島監督: クラウドの時代ですね。ソニーさんのPS4は安いなと思いました。Xbox Oneはカメラがついていますし、Kinectの進化系なので、画像認識、表情認識、音声認識とか、いろんなところを使いたいです。カメラを生かした機能は今後普通になると思います。

――リアルタイムで天候が変わるそうですが、それによってどのような影響があるのでしょう。

小島監督: 雨や砂嵐だと潜入において視界が悪くなります。何かが炎上していたとしたら、雨が降れば火は収まります。そのように普通に現実で考えて起こりうることが起こります。

――『MGSV』は長く遊べるように作られていますか?

小島監督: 長く遊べるようにしてあるので、どうしようかなと。何百時間……、もっといくかもしれません。ここに入り口があったとして、そこに入ればずっと遊べる感じです。オンライン対戦をのぞいて、一度プレイしたらすぐ次のゲームに行ってしまうユーザーさんがどう見るかという、不安な点もあります。

――『MGSV』が発表されるまでの、主に海外で話題を呼んでいたMoby Dick Studiosや包帯ぐるぐる巻のCEOの存在といったバイラル的なアイデアは、小島監督自身で考えられたのでしょうか?

小島監督: そうです。僕はゲームデザイナーであるだけでなく、プロデューサーでもありますから。先日のGDCで公開したものもですが、今回E3で公開したトレーラーの編集も全て僕自身が行っています。

――今回、俳優のキーファー・サザーランドを起用されましたが、やはりキャプチャーが関わるということで、リアルな人物ということなのでしょうか。

小島監督: フォトリアルを目指していますので、画面を小さくしたら写真のように見ええる様に、背景にあるもの、石までキャプチャーしています。当初は、他社さんと同じで3Dキャプチャーしたイメージを、イメージに合うキャラクターに変えようとしていましたが、やはり直してしまうと、どうしても作り物に見えてしまうので、去年の段階で、我々のイメージではなく、もっと素材を生かした作りに変えようと決めました。本当はキーファーさんもキャプチャーして取り込んでキーファーさんのまま登場するべきなのですが、彼の場合はスネーク役ですから少し特殊ですね。スネークなどの以前から登場してイメージが確立されているキャラクターは、映画の配役みたいなものです。今回はこの人ということで。

――俳優の話の延長線上で、今作のキーワードであるパフォーマンス・キャプチャーについて、基本、監督がすべてカメラなどを想定して、演技指導もして、100見る感じですか?

小島監督: 映画といっしょです。自分で台本を書いて、本読みして、俳優さんにこの役ですよと伝える。キャプチャーの前には、「ここはこうだから」と自分で実演したりして、リハーサルで演技を固めます。音声収録も必ず参加します。

――『メタルギア』シリーズは、海外のファンにどういうところが評価されているのだと感じますか?

小島監督: わからないです(笑)。昨日もイギリス人のファンに「小島さんの作品はオペラだ」と言われたのですが、意味がわかりませんでした。

――最後にユーザーに向けてメッセージをお願いします。

小島監督:孤立しながら世界の中で、戦っていますので、応援してください!
《谷理央》

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