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UI/UXは誰の仕事?・・・UX Tokyo酒井氏が語る"ユーザー体験"のデザイン

昨今、注目を集める機会が増えているUIやUX。ソーシャルゲームデベロッパーのクルーズが主催する勉強会「テックヒルズ」の第4回では「テックヒルズ UI,UXの衝撃 ~ユーザーを魅了するプロダクトの裏側~」と題して、このUI/UXに焦点が当てられました。

ゲームビジネス その他
テックヒルズ第4回
  • テックヒルズ第4回
  • クルーズ ブランディング戦略担当執行役員 諸戸友氏
  • ミクシィ/UX Tokyo 酒井洋平氏
  • Suicaのチャージ機
  • 自動改札機
  • 定期券にチャージする
  • UIとUXの関係
  • オレの宇宙はまだまだ遠い
昨今、注目を集める機会が増えているUI(ユーザーインターフェイス)やUX(ユーザーエクスペリエンス)。ソーシャルゲームデベロッパーのクルーズが主催する勉強会「テックヒルズ」の第4回では「テックヒルズ UI,UXの衝撃 ~ユーザーを魅了するプロダクトの裏側~」と題して、このUI/UXに焦点が当てられました。

昨今、注目を集める機会が増えているUI(ユーザーインターフェイス)やUX(ユーザーエクスペリエンス)。ソーシャルゲームデベロッパーのクルーズが主催する勉強会「テックヒルズ」の第4回では「テックヒルズ UI,UXの衝撃 ~ユーザーを魅了するプロダクトの裏側~」と題して、このUI/UXに焦点が当てられました。

冒頭、クルーズのブランディング戦略担当執行役員の諸戸友氏は「UIは単なるインターフェイスの問題ではなく、エンジニアリング手法やペルソナ設定にも関わってくる多岐に渡る議論で、作るサービスによっても異なり絶対的な正解はありません。しかし今回は幾つかの成功事例を提示することで、何かしらのヒントを導きたいと思っています」と挨拶。

最初に登壇したのはミクシィの酒井洋平氏。酒井氏はUXに携わる実務者向けコミュニティ「UX Tokyo」を主宰し、関連書籍の翻訳やワークショップの開催などを行なっています。Facebookブックグループでも活動を行なっていて、既に100人規模になっているとのこと。

酒井氏はまずUIとUXの定義について「一括りにするのはどうだろうか」と問います。酒井氏は「ある朝の通勤の様子」を映像で紹介します。改札を通過しようとすると、Suicaの定期券が期限切れで、チャージを試み、手持ちのお金が足りなかったので、ATMでお金を下ろす、再度チャージを行い、駅構内の自動販売機でコーヒーを買う・・・。一連の行動の中で、酒井氏はUXとはユーザー視点の主観的経験であり、UIとは主観的経験を支える接点であると定義。券売機、ATM、自動販売機などを操作するインターフェイス、人と機械を繋ぐシステムがUIであり、それらを包括する体験がUXであるということです。

ではこの主観的体験をデザインすることはできるのでしょうか? 酒井氏は「ユーザーの内面をデザインすることはできない。しかし、その主観的体験が想起されることを企図した設計はできるのではないか」と言います。これをビジネスの実際で考えれば、"ユーザーが主観的経験を価値ある形に想起させることを企図した設計"ということになります。

しかし、この"ユーザーにとって価値ある形"を探るのも決して楽な作業ではありません。酒井氏は価値発見プロセスは「計測」「気づき発見」「ベンチマーキング」「プロトタイピング」「ストーリーテリング」という流れがあるのではないとコメント。漫画「オレの宇宙はまだまだ遠い」という作品を引用し、主人公の書店員が子供向けの絵本の販売を伸ばすためにコーナーにイスを配置して読書会を開催するというストーリーを紹介しました。

子供向けの絵本の売上が少ないことに気付いた主人公(計測)、まだ改善の余地があるのではないかと考えます(気づき)。競合の書店ではスペースが割かれイスも置かれているのに対して、自分の店では一人が通るのがやっとの狭いスペースしかありません(ベンチマーキングと観察)。そこで自分の店でもゆったりとしたスペースを用意し、読書会を開催。子供の頃から本に親しんでもらうことで将来のお客さんを育てるというアイデアを思いつき(プロトタイピング)、それを同僚に語り、最後はお酒を奢りながら説得にこぎつけます(ストーリーテリング)。

このようなプロセスを辿ることで、ユーザーにとっての価値をより発見しやすくなるのではないでしょうか。

最後に酒井氏はUXの設計は単にデザイナーのみで成し得るものではないとコメント。マーケティング、プランニング、デザイン、エンジニアリング、QA、カスタマーサポートなど複数の部門が一致して当たらなればよいUXは実現されないと強調。UXが強く意識されるに従い、組織の形や開発のフローも変化をしていきそうです。
《土本学》
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