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【TGS 2012】ソーシャルをハブにエンターテイメント全般を提供していく―gloops~ソーシャルゲーム第2幕(3)

東京ゲームショウ2012、TGSフォーラムの一環として行われた「ソーシャルゲーム第2幕 ~新時代の展望~」の3番目の発表者は株式会社gloopsの代表取締役社長、川方慎介氏です。

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グループスの歴史
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東京ゲームショウ2012、TGSフォーラムの一環として行われた「ソーシャルゲーム第2幕 ~新時代の展望~」の3番目の発表者は株式会社gloopsの代表取締役社長、川方慎介氏です。

まず川方氏はgloopsの会社の歴史を説明しました。株式会社gloopsは2005年の8月に広告代理店として出発し、2007年10月にパーソナライズドSNS「nendo」のサービスを開始するも失敗に終わりました。その後、モバイルに特化したSNS+ゲームサイトである「REAL」を公開。そこでのコンテンツ事業から、Mobage向けにソーシャルゲーム『渋谷クエスト』をヒットさせることでソーシャルアプリ事業が本格的に開始したそうです。

gloopsのソーシャルゲーム事業の開始当時は、ともかく他社のソーシャルゲームを研究してがむしゃらにコンテンツを大量に作ったといいます。現在の主要タイトルは、『三国志バトル』、『マジゲート』、『オーディンバトル』、『ドラゴン騎士団『』、『プロ野球カード』、『メジャーリーグカード』など。ソーシャルゲームの総会員数は延べ1800万人以上であり、過去1年でユーザー数が3倍以上の伸びを示し、売上も前期比で約6倍。急成長を遂げている会社です。

今後のgloopsが取り組むポイントは大きく3つあり、「Challege Social game」、「Challenge Global」、「Challenge Entertainment」という形で川方氏はまとめ、順を追って説明しました。

まず「Challege Social game」では、「選択と集中」という点を取り上げ、gloopsのソーシャルゲームが男性をターゲットしたバトル系ゲームに特化していることを説明しました。リアルタイム性を取り入れたバトルのソーシャルゲームでは、データ分析専門部署がハイスピードでPDCAサイクルを行ない、ユーザーの離脱や要望を即座につかみ「論理と感性を融合」した運営を行なっているといいます。また国内で年間15本のタイトルをリリースする予定があるなど、スピーディーな開発力に力を注いでいます。さらに、UI/UXのための専門部署を設立して、今後リッチ化していくソーシャルゲームに対応していくとのこと。UI/UX専門部署ではカーナビ開発を経験したベテランのエンジニアが活躍しているそうです。

また現状のソーシャルゲームが仮想世界だけでのつながりに特化している点には、限界を感じると川方氏は述べ、今後はリアルグラフを取り入れたソーシャルゲームを開発していきたいと延べました。またソーシャルゲームの差別化が難しいなか、ユーザーが印象的に感じる世界観やストーリーを取り入れいく必要もあるといいます。

次の「Challenge Global」では、現在海外展開のため、アメリカやベトナムに子会社を設立しています。またMobageを運営するディー・エヌ・エーと包括契約を行なうことで、ソーシャルゲーム業界の「日本代表」として海外へ展開していく意気込みを、川方氏は語りました。

実際にMobage Westにて、年内5タイトル、2013年度に5タイトルをリリースする予定。さらにMobage ChinaやDaum Mobageといった中国、韓国市場向けにも年内にそれぞれ1タイトルをリリースする予定です。北米では人気があるIPを持つパートナーと連携したコンテンツを提供するといいます。ベトナムでローカライズを行なっているリアルタイムバトルを特徴とした『オーディンバトル』、『ドラゴン騎士団』をベースとしたギルド系チームバトルのタイトル、さらにgloops初のUnityを使用した『EPOC WARS』の3つのタイトルの海外展開が決定しています。これら3タイトルをテストケースとして海外に出し、今後の展開を練っていくそうです。

3番目の「Challenge Entertainment」に関しては、現在、SAP(ソーシャル・アプリケーション・プロバイダ)と呼ばれるソーシャルゲーム企業は、単なるゲームにとどまらず、エンターテインメント全般を担っていくと、川方氏は展開を述べました。そのような企業としてgloopsは、自らを「SEP」(ソーシャル・エンターテインメント・プロバイダ)とみなし、ソーシャルメディアをハブとしたエンターテインメント全般を提供する会社を目指すといいます。

そもそもソーシャルゲームはゲームというより、インターネット上での新たなコミュニケーションツールであり、スポーツ、テレビ、映画、教育、漫画など多用なコンテンツと関わることで人々のコミュニケーションを活性化させていくことが重要であると、述べられました。
 

以上のSAP3社の発表が終わったところで、トークセッションに移りました。司会の吉岡氏は、各社の立ち位置の微妙な違いを確認しつつ、特に海外展開における戦略について質問しました。

まずgloopsのディー・エヌ・エーとの包括契約の狙いについて質問された川方氏は、ディー・エヌ・エーが持っているマーケティングノウハウに大きく期待していると応えました。一方で、gumiの國光氏はGREEとの連携を強め、日本のSAPが持つオペレーション能力を活かして海外で戦っていくと述べました。そこで、一番の課題となるのはiPhoneを擁するAppleだと、國光氏は指摘しました。日本ではウェブブラウザをプラットフォームとしたソーシャルゲームが主流となっていますが、最近のAppleはネイティブアプリ側に力を注いでいるため、それらのプラットフォームの環境の変化が海外展開ではリスク要因であると、國光氏は考えているそうです。

また國光氏は人材調達の難しさについても説明しました。北米ではトップクラスのクリエイターやエンジニアをディズニーやFacebookという巨大企業と取り合うことになります。日本のSAPの知名度は国外ではまだまだ低いため、人材獲得でそれらの企業と戦うのはまだ無理であるため、現在はアジアを拠点とする方向にあるといいます。

川方氏はgloopsもまた、サンフランシスコに拠点を持っているが、ビジネス文化の違いでいろいろと苦労しているといいます。欧米のスタッフは、夏休みをしっかりととるため、24時間365日の運営体制を整えることが難しいそうです。そのため、マーケティングの拠点と開発運営の拠点は分けたほうがいいのではないかと、川方氏は指摘しました。

一方、エイチームの林氏は、サンフランシスコは北米でも比較的賃金が安いが、シェアオフィスという慣習が浸透しているため、人材の流動性が高く、人材獲得が難しいと報告しています。その点でベトナムは賃金や開発のスムーズさにおいて、現在では一番良い拠点となるそうです。

ビジネスの拠点としてのベトナムの良さはgloopsの川方氏もgumiの國光氏も同意するところで、ベトナム人の勤勉さ、素直さが非常に貢献しているそうです。そして、なによりもリアルタイムのコミュニケーションが開発運営においては重要であり、アメリカ人はまだまだ日本のソーシャルゲームを信用しておらず、日本のやり方に素直に従ってくれないと、國光氏は述べました。そのため、北米圏に挑戦する前に、アジアや他の市場で成功実績を作る必要を訴えました。

また司会の吉岡氏は、昨今の中国、韓国の反日運動が与える影響を質問しました。gumiの國光氏は、反日の影響はないとしながらも、台湾などの親日国でのビジネス環境の良さは確かにあると指摘しました。

ゲームの内容についての質問では、現在主流のカードバトルものは海外でも受け入れられるかが議論となりました。それに対してgloopsの川方氏はサイゲームズの「神撃のバハムート」が成功したのが大きく、海外のユーザーが次第に日本のソーシャルゲームに慣れていくと述べました。エイチームの林氏は、ゲーム内容はカードバトル系であっても映像などで驚きを与え、世界観を押し出していくことで、まだまだ健闘する余地があるといいます。他方、gumiの國光氏は現在のソーシャルゲームは実際にはモバイル端末を利用したオンラインゲームであり、カードバトル系が流行っているのは利益率が高いためであり、今後は他の形のゲームが数多く登場するだろうと主張しました。

とはいえ、gumiの國光氏はゲームの仕組みよりもコンテンツそのものに興味があり、自分たちが作ったコンテンツが100年先まで生き残るのを目標としていると語りました。マリオやミッキーマウス、ポケモンといった既存のIPに負けないコンテンツを作ることが使命であると考えているそうです。そのため、ディズニーやピクサー、ジブリといった既存のエンターテインメント産業を分析して、長く続いている企業が「壮大なるワンパターン」を繰り返していると分析します。gumiのソーシャルゲームはIPに頼らない部分、誰がやってもgumiのソーシャルゲームとわかるような「お約束」を仕込んでいるそうです。

このように本セッションでは、単なる海外展開やビジネスの話にとどまらず、エンターテインメント産業、コンテンツ産業の将来を模索する大変興味深い議論が行なわれました。国内でソーシャルゲームが社会問題となりながらも、定着して数年立ちますが、ただ海外展開を狙うというわけではなく、現代のコンテンツ産業の未来やエンターテインメントの社会的意義などを考えていく本セッションは大変有意義なものであったと言えます。
《今井晋》

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