■世界的デザイナーや元Xbox事業担当者など著名なプロジェクトメンバー達
Ouyaプロジェクトを立ち上げたのは米国の新企業Boxer8。海外の大手ゲームニュースサイトIGNでデジタル流通部門のトップを務めたJulie Uhrman氏が、同社のCEOとOuyaの発起人役。プロジェクトチームには、JamBoxなどの製品デザインを手がけ世界で数々の賞を受賞しているデザイナーYves Behar氏と、彼のデザインファームFuseproject、またKindleを開発したAmazonの子会社Lab126のMuffi Ghadiali氏が参加しています。
さらにアドバイザーとして参加している面々も、MicrosoftでXbox事業を統括していたEd Fires氏、メール・Twitter専門携帯機を発売し各メディアにて賞を受賞したPeek社のCEOであるAmol Sarva氏、斬新なコンセプトで話題となったソーシャルサービスColorの共同設立者兼プレジデントだったPeter Pham氏と、ここ数年各分野のニュースにてその名が挙げられるような人物ばかり。
そもそもOuyaがなぜここまで大きな注目を集め、Kickstarterでユーザーの信頼を勝ち得て数億円もの資金を獲得することが出来たのか? それは、新たなゲームハードが登場するという話題性や後述するコンセプトの斬新性に加えて、プロジェクト発表前からこれだけ著名な人材を集められたことが要因の1つと言えるでしょう。
■Androidベースのハードスペック、GPUには去年発表されたばかりのTegra 3を採用
Ouyaのハード構成はAndroidをベースにしており、GPUには昨年10月に発表されたばかりのNVIDIA Tegra 3クアッドコアプロセッサ―、RAMは1GB、内部フラッシュストレージは8GBを搭載。HDMIやUSB 2.0出力、イーサネットポート、WiFiやBluetoothも備え、OSには昨年発表されたAndroid 4.0(Ice Cream Sandwich)を採用しています。現在実機上で動作しているゲーム映像などは公開されていませんが、Ouyaの性能の中心となるであろうTegra 3のプロモーション映像などからその描写能力などは垣間見ることが可能です
Android風のスペック構成が採用された要因の1つとしてBoxer8が示しているのが、現在のゲーム業界のトップクリエイター達が限定的で高価なトリプルA級タイトルの開発から、携帯端末の自由で安価なゲーム開発へシフトしている、との見解。Kickstarter内のページでは、「OuyaはAAAゲーム開発も変える。ライセンス費用、リテール費用、パブリッシング費用のことは忘れよう」との文章も掲載され、大型ゲーム開発からの脱却を宣言しています。
実際にOuyaにはハードに付属する形で開発キットが含まれており、デベロッパーは各種ロイヤリティを支払うことなくゲーム開発を進めることが可能(※1)です。Androidベースであるため既存の開発環境が移行しやすく、デベロッパーが容易にOuyaでの開発を行えることも魅力の1つとして謳っています。今回のOuyaのように、サードパーティーなどと繋がりの無い新規ハードがデベロッパーを誘致するという場面を考えるならば、費用の面でも開発の面でもこれ以上の環境や条件は無いと言えそうです。
但し、こうしたデベロッパーが参入しやすくなる環境は、ゲームを遊ぶ一般ユーザーにも有益となるのかは疑問符がつくところ。Androidスペックは現行の据え置き機と比べればもちろん見劣りするもので、また参入が容易になることで低クオリティなゲームが粗雑乱造される可能性もあります。HDテレビという環境でプレイするならば、ゲーマーはそれ相応のグラフィックやゲームプレイを求めるでしょう。
■Ouyaでプレイ出来るゲームは?現在リリースが確定しているタイトルたち
『Minecraft』のMojang、『Prince of Persia』や『Karateka』のクリエーターJordan Mechner氏など、複数の有名デベロッパーが現在Ouyaへの支持を表明しています。実際に発売が決定されているタイトルはRobotokiのゾンビサバイバル作品『Human Elemnt』の前日譚編や、スクウェア・エニックスの『ファイナルファンタジーIII』、F2PのMMO『Shadowrun Online』、2Dアクション『Mercenary Kings』。また先日経営難や買収が報じられたクラウドゲーミングサービスOnLiveもサービスの展開を約束しており、80以上のパブリッシャーから数百のゲームを提供するとしています。
前述したように、ロイヤリティの面やAndroidベースの開発環境から考えて、Ouyaには今後も多数のゲームが登場することが予想されます。ただしAndoriodからの移植作やマルチプラットフォームタイトルだけでなく、『Uncharted』や『Halo』、『マリオブラザーズ』といった主力タイトルの登場も今後不可欠になってくるでしょう。唯一の独占タイトルである『Human Element』の前日譚編はリリースが2015年となっており、今後Boxer8がローンチまでにどれだけ魅力的なソフトウェアラインナップを揃えることができるかは、大きな焦点となります。
■基本コンセプトはコンソール機の復権、スペック抜きで据え置きの魅力を伝えきれるか?
Androidベースの安価なハードであることや、デベロッパーが参入しやすい環境が存在することを伝えてきましたが、Ouyaのこれらの柱となっているのが“コンソール機の復権”という基本コンセプト。ソファに座ったりベッドで寝転がったりしながら、大きなテレビ、ハイクオリティな音響環境でゲームをプレイするという、据え置き機ならではのプレイ環境を現在のシーンに取り戻すというのがOuyaが大きなテーマとなっています。Ouyaは既存のスペック競争や拡大していく開発規模を捨てつつ、それでいて純粋な据え置きスタイルでゲームを遊ぶ楽しさを取り戻して欲しいと考えているのです。
もちろんその据え置きスタイルでプレイする楽しさ、Androidベースでも楽しいゲームがプレイ出来ることを、携帯端末で遊ぶ人々やコアゲーマーに伝え切る必要があります。今後Boxer8がこういった魅力を伝えきれるか、また前述のソフトラインナップの問題などを改善できるかどうかが、Ouya成功の重要なキーポイントとなるでしょう。
OuyaはKickstarterサポーター向けに2013年3月、一般予約者向けには2013年4月ローンチ予定です。
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