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【TGS 2011】選考委員を一新して行われた「センスオブワンダーナイト」。今年の注目作は?

ゲームビジネス その他

 
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東京ゲームショウと他のゲームショウの違い、それは「センスオブワンダーナイト」があることです。

「見た瞬間、コンセプトをきいた瞬間に、誰もがはっと、自分の世界が何か変わるような感覚」=いわゆるセンスオブワンダーを引き起こすゲームのアイディアを全世界から募集し、表彰する企画コンペ。今年で4回目を迎え、しっかりと定着してきました。

今年は「商品化につながる道筋を広げたい」という理由から選考委員を刷新。▽サイバーエージェント長瀬慶重氏▽GMOインターネット多田隈 道元氏▽グリー屋島新平氏▽ハドソン柴田真人氏▽日本マイクロソフト田代昭博氏▽UBM TechWeb Game Networ,Simon Carless氏▽IGDA日本,新清士氏の7名となりました。また、新たに企業賞とオーディエンス賞が創設されました。

このほか会場では8月27〜28日に福島県南相馬市で開催された「東北ITコンセプト 福島ゲームジャム in 南相馬」(http://www.ustream.tv/channel/fgj2011)の模様がビデオで流される一幕もありました。

それでは、さっそくノミネート作品の紹介に移りましょう。

■「デバイスの新しい応用法」部門

01:暗暗迷路(くらくらめいろ)/栗原芳己(雑魚雑魚)〔日本〕
http://itunes.apple.com/jp/app/id447017018?mt=8

真っ暗な画面の中で、音だけを頼りに進むiPhoneアプリです。画面タップで前進し、本体を傾けると左右旋回、画面をホールドするとソナーが発射され、壁までの距離を測ることができます。ゲームもさることながら、白衣の3人組が黒いサングラスの下にアイマスクまでして臨んだプレゼンスタイルがユニーク。脳波センサー付ヘッドフォン「MindSet」との連携についても語られていましたが、実現すれば文字通り「センスオブワンダー」になるでしょう。(http://www.neurosky.jp/index.html)

02:Taplib (仮称)/柳原隆幸(セガ)〔日本〕

「経路探索ブロックパズル」を標榜するリズム&パズルアクションです。タップしたブロックと共に、ブロックを起点に対角線がつながったブロックが消失。同時に線で囲まれたブロックが対角線で90度回転して復活します。このルールを元にブロックをどんどん消していくことが目的で、プレイに応じて音楽が生成されていきます。柳原氏は「パズルを解く行為を通して演奏が生まれる」と説明し、これを「自動演奏」と命名。発売予定はないとのことですが、期待したいところです。

03:reflow/Frederik Maucksch,Matthias Wolff(xymatic)〔ドイツ〕
http://itunes.apple.com/jp/app/reflow/id444083164?mt=8

AR(拡張現実)を利用したiOSアプリです。カメラを使って周囲のモノや人物を画面に映し出し、それらを「部品」にして液体をゴールに流し込むという内容です。人体などの輪郭抽出を行って液体「flow」をゴールに導くという発想がセンスオブワンダー。紙を使ってflowを導いたり、二人で協力プレイを楽しんだり、Tシャツの模様を使ってステージをクリアする様も紹介されました。

■「世界の中に入り込む」部門

04:Solstice/Jordan Hemenway(Solstice)〔アメリカ〕
http://www.jordanhemenway.com/?p=11

米デジペン工科大学の学生による作品で、kinectを用いた一人称視点ゲームです。制作チーム曰く「インタラクションのある寓話」とのことで、世界に散らばった太陽の破片を探し出して、世界に再び光をもたらすことが目的。両手でカーソルを動かすと、その動きによってキャラクターが世界を飛び回ります。詩的な印象さえ受ける美しいグラフィックが印象的でした。

05:リードミーズ/折原 永代(コナミデジタルエンタテインメント)〔日本〕
http://www.konami.jp/products/leedmees/

kinectを用いたアクションパズルで、画面に現れる「リードミー」たちを、地面に落とさないようにゴールまで導くことが目的。このときプレイヤーが体を動かしてアバターを操作するという、プレイヤー自身がステージの一部となる点がキモです。二人同時プレイも可能で、腕や足などを交換する「二人羽織」モードで遊ぶと、頭と体が楽しく混乱すること必至。kinectの新しい可能性が提示されました。

06:Q.U.B.E./Daniel Da Rocha(Toxic Games)〔イギリス〕
http://www.indiedb.com/games/qube

FPSパズルアクションで、プレイヤーは両手のグローブでカラーキューブを動かしながら、ステージの仕掛けをといて、進んでいきます。ブロックには赤・青・黄・緑があり、それぞれ動きが違うので、うまく効果を組み合わせるのがコツ。ゲームのビジュアルも無菌室を思わせる白一色の世界から、後半では真っ暗な中を白く輝くブロックが浮かぶという、サイバーかつ幻想的な世界になっていきます。

07:Inside a Star-filled Sky/Jason Rohrer〔アメリカ〕
http://insideastarfilledsky.net/

一見すると見下ろし型の2Dシューティングですが、プレイヤーは敵、自分、アイテムなどの中に潜り込み、アイテムを収集することで、その本質を変えられるという、ユニークな機能が備わっています。各ステージの構成は無限ループ構造になっていて、難易度もそれに伴い変化していきます。プレイヤーはフラッグをマップ上に掲げることもでき、オンラインでデータを共有できます。正直、今ひとつ意味がつかみにくかったゲームですが、そこも含めてセンスオブワンダーでした。

■「自動生成の楽しさ」部門

08:Eufloria PSN/Rudolf Kremers,Alex May,Brian Grainger(Omni Systems)〔イギリス〕
http://www.eufloria-game.com/read.php?page=8

2009年度のIndependent Game Festivalでファイナリストに残った『Dyson』がベースのゲームで、惑星に木を生やしたり、戦闘もできる「種子」を操作して、マップ上の惑星を制覇することが目的です。グラフィックはすべて9種類のテクスチャーの組み合わせでできており、シンプルながら美しい映像美を見せています。「生命をミクロとマクロで見つめる」というテーマと、アーティスティックな映像の組み合わせが光ります。

09:僕は森世界の神になる/isao (神奈川電子技術研究所)〔日本〕
http://www.shindenken.org/

食物連鎖がテーマのゲームで、プレイヤーの操作はマップ上の生き物を間引いていくことだけ。適切なバランスをとると、より上位の生物が繁殖していきます。一定時間がすぎると敵の「機械」が登場するので、育てた生物たちで倒せばステージクリアです。2年前に訪れたラオスで、牛が草を食みながら脱糞している姿にインスピレーションを受けたと話していました。

10:Incredipede/Colin Northway〔カナダ〕
http://incredipede.com/

パーツを組み立てて移動させるパズルゲーム『Fantastic Contraption』(http://fantasticcontraption.com/)で稼いだお金をもとに、開発チームで世界を旅行しながら作り上げたというゲームです。あらゆる生物は骨と筋肉、そして命令というシンプルな組み合わせで成立していると考えた作者は、実際に簡単なパーツの組み合わせで様々に自律移動する生物が作れるツール環境を生成。作り上げた生物でゴールをめざす内容です。デモでは尺取り虫からカンガルー、蜘蛛など、さまざまな生物の動きを披露。何度も会場のどよめきを誘っていました。

■ピコピコでは判断できず、どよめきで決定

それでは各企業賞の発表に移りましょう。▽UBM TechWeb Game Network賞『Incredipede』▽日本マイクロソフト賞『Reflow』▽ハドソン賞『暗暗迷路』▽グリー賞『Reflow』▽GMOインターネット賞『暗暗迷路』▽サイバーエージェント賞『Reflow』。またオーディエンス賞はピコピコ音では判別ができなかったため、会場のどよめきの数で『Incredipede』に決定しました。

今やiPhoneアプリの例を出すまでもなく、PCが一台があれば、個人でおもしろいゲームがどんどん作れる時代になりました。センスオブワンダーナイトと歩調をあわせるかのように、東京ゲームショウ会場でも小規模ブースで意欲的な作品が目立つようになり、活性化に貢献しています(特に今年はその傾向が顕著だったのではないでしょうか)。今回ノミネートされたタイトルは、その多くがネット上で配信されており、実際にプレイできますので、ぜひチェックして「センスオブワンダー」を感じてください。
《小野憲史》

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