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【CEDEC 2011】常に走り続けています ― 「アメーバピグの育て方~ユーザーと共に成長する運用スタイル~」

先のセッション「アメーバピグの作り方」に続き、株式会社サイバーエージェント アメーバ事業本部ピグディビジョンの浅木康之氏が実際にサービスを「運用」する視点から「アメーバピグの育て方~ユーザーと共に成長する運用スタイル~」と題した講演を行いました。

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先のセッション「アメーバピグの作り方」に続き、株式会社サイバーエージェント アメーバ事業本部ピグディビジョン クリエイティブディレクター/プロデューサーの浅木康之氏が実際にサービスを「運用」する視点から「アメーバピグの育て方~ユーザーと共に成長する運用スタイル~」と題した講演を行いました。

アメーバピグの正式オープンは2009年2月19日。それから約2年半でユーザー数は850万人を数え、そのうち約5000人のタレントが自発的にアメーバピグにログインしているそうです。サイバーエージェントが運営するブログサービス「アメブロ」は多くの芸能人・有名人が使用していることで知られていますが、このアメブロを使っているほとんどのタレントがアメーバピグで遊んでいるとのこと。

今でこそ人気の仮想空間となったアメーバピグですが、事の起こりは同社社長の藤田晋氏が「Amebaでアバターをやろう」と言い出したのがきっかけ。そこから急遽社内の最重要プロジェクトとなり、計6名の初期プロジェクトメンバーが結成されました。

当時仮想空間やアバターサービスと言えば、米Linden Lab社が運営する3D仮想空間「Second Life」でしたが、やはりAmebaで作るなら”Amebaらしさ”を全面に出さなければならないということになり、クリエイターとエンジニアが主体となって連日ブレストミーティングを実施したそうです。そこで出された”Amebaらしさ”とは、「20?30代女性中心」「コミュニケーションが好き」「ネットにあまり詳しくない」の3点。そこから「ターゲットは全国民」「リアルタイムコミュニケーション」の2つのコンセプトが導き出されました。

そこでまずサービスの基本となるアバターのデザインを決める際、最初は社内外でアバターデザインはかわいく!社内外からデザインを募集しデザインコンペを実施。最終的に計111種類ものアバターデザインが出されました。しかし検討した結果、最も頭身の少ない2頭身のデザインが「可愛さの最大公約数」であるとの結論に達し、社内デザイナーの2頭身のデザインが採用されたとのこと。

またリアルタイムのコミュニケーションについても、「しゃべる」=「チャット」であろうとの意見から「おしゃべりするなら場所が必要」ということになり仮想空間が誕生。こうしてもともとはAmebaの「アバターサービス」として出発したアメーバピグは、作り手発のサービス企画や遊び心によって「仮想空間コミュニティサービス」へと変貌していきました。

なお、こうした作り手のサービス企画や遊び心はサービス開始後も止まる事を知らず、現在でも”隠しコマンド”でアバターのサイズが変化したり、空間内である条件を満たすと隠れキャラが登場したりと様々なギミックが仕込まれています。

しかし意外なことにアメーバピグは開始後後半年はノンプロモーションだったとのこと。しかしその後システムが安定してきたこともあってアメブロとの連動を加えてプロモーションを行うようになったそうです。まずリリースしたのは空間の中を撮影してそのままワンクリックでアメブロに投稿できる写真撮影機能。これがブログ記事が自然に増殖する圧倒的な集客エンジンの役割を果たし、さらにその後Amebaのマイページの中にもワンクリックでアメーバピグに移動できるようバナーを貼るようになったとのこと。

氏曰く、現在アメーバピグは毎日コンテンツを追加し時節に合わせたアイテムを提供、社内で「鬼の運用」と言われるくらい徹底的な運用を行っているそうです。例えばチャットをしているとユーザーから「疲れた」という声を聞くことがあるそうですが、そんな時は椅子のアイテムを提供したり、実際の時節と連動させたりと「普段の生活」と同じような運用を心がけているとのこと。そのため月間アイテム製作は500点にも及び新イベントは毎日実施。これまでイベント用の「おでかけエリア」だけでも1000以上の公開実績があるそうです。

氏は「5月には子供の日、6月にはジューンブライドと毎日変化がある状態を作ることが重要。時節イベントが無かったらUFOエリアなどを作ってユーザーに対し「提案」する。そうしなければユーザーはすぐに飽きてしまう」と常に変化を作ることの重要性を語りました。

この膨大な数の仮想アイテムの企画出しは「プロデューサー」「アートディレクター」「イラストレーター」の3チーム全員が行っているとのこと。チーム間に上下関係はなく、お互いクロスチェックできるので何か問題になりそうな企画が出るのを防ぐこともできるそうです。仮想アイテムはイラストレーター30人で月間500アイテムを制作し常時10?15ラインが稼動。最終的にどんな仮想アイテムをリリースするかはブレストミーティングで決定。ブレストミーティングはだいたい1?2時間くらいで制作時間は半日。1回のリリースにつき10点の新アイテムを販売するというペースを続けているとか。本当に迅速(というか神速)な運用体制です。

またアメーバピグではオリジナルの仮想アイテムやイベントの他に数多くの企業とタイアップを行っています。これまでにもドラえもんやディズニー、サンリオ、スヌーピーなどとのコラボレーションを実施。これらは非常に人気ですが、「先方のキャラクターもかなりエッジが立ったデザインなので、そこはイラストレーターの力量でアメーバピグのデザインや世界観に馴染ませる。そして先方の企業とも何度も打ち合わせる」とのこと。

なお、アメーバピグには独自のアイテム管理ツールがあり、まるで株のデイトレードのように何がどれだけ売れているかが分かるようになっているそうです。アイテムリリース後は常にそのデータをチェックし、その結果を見ては一喜一憂しているとのこと。

仮想アイテムと共に連日追加されるイベントのチームは基本4人(!)。このイベントエリアはリリースされるたび毎日20万人がアクセスするそうです。しかしその運用体制は企画~リリースまで短時間で1日かけないというこれまた迅速なもの。例えば上記の「サマークリスマスイベント」は、企画に要した時間が1時間、エリア・アイテム制作が4時間、計5時間でリリースしたとのこと。また世界陸上のイベントエリアをオープンしたときも、朝出社後「もうすぐ世界陸上だね」という話が出て「じゃあ作ろうか」という流れになり、夕方にはもうリリースしていたそうです。

そして今年最大の時節に合わせたイベントエリアといったら「地震情報交換エリア」。こちらも地震が発生した直後から製作を始めてその日のうちに公開。募金用アイテムのリリースのみ翌日になってしまいましたが、それはさすがに危ないのでイラストレーターに午後に帰ってもらったためとのことで、迅速な運用は災害時でも変わらなかったようです。


こうした時節に合わせたイベントを行える柔軟性と、それを実現するためのスピードをはどこから来るのでしょうか?それは「少数メンバーのユニット」。それぞれのユニットが裁量権を持って運用でき、上下関係なく企画を出し合える体制がそれを可能にしているそうです。

なお、最近ではユーザー自らがアメーバピグ内で何かを作る「UGC活動」が非常に活発になってきているとのこと。アメーバピグにはブロック状のアイテムが多数ありますが、それを自分の部屋に積んでロボットなど様々なオブジェを作るユーザーが増えているそうです。またユーザー同士でユニットを結成してアメーバピグの動画を撮影しPVを作る例もあり、ユーザー自身の活動も当初作り手が意図していなかった方向へ徐々に進化しているようです。
《籠谷千穂》

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