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【E3 2011】あの『XCOM』が復活、期待感高まるデモ

アメリカの郊外ベッドタウンののどかな風景を写した8ミリ映画。平和そのものである町に人々は朗らかに笑い会う。そして突如虚空に走る放電、黒いシミのように広がる何か。闇から生まれるのは黒い立方体で、そこから電撃らしき物が人々を焼き殺してゆく。

ソニー PS3
XCOM
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アメリカの郊外ベッドタウンののどかな風景を写した8ミリ映画。平和そのものである町に人々は朗らかに笑い会う。そして突如虚空に走る放電、黒いシミのように広がる何か。闇から生まれるのは黒い立方体で、そこから電撃らしき物が人々を焼き殺してゆく。地面に投げ出されたカメラは淡々と人々の叫び声を記録し、突然ブツリと途切れる…

時は1963年。アメリカ合衆国は第二次世界大戦を終え、繁栄と平和+を謳歌しています。しかし、その影では静かに謎の来訪者「アウトサイダーズ」からの侵略を受けていた。アメリカはこの静かなる侵略に対抗する為に特殊対応隊を極秘に組織する。その名はXCOM 。


『XCOM』の名前を知る人はゲーマーの中でも少なくなりつつあります。密かに侵略を続けている宇宙人から地球を守る国際防衛隊XCOMの初登場は1994年にMicroprose社から発売された『UFO:Enemy Unknown』と題された作品でした。「Xファイル」が大人気の当時に画期的なゲームプレイを持った小隊規模の戦術ゲームでした。宇宙人の技術を鹵獲し、解析し、新たな武器を開発する。戦況に合わせた部隊を作り上げ、人員を育てる。『XCOM』は大人気となりましたが、2001年の『XCOM:Enforcer』を最後に続編は制作されずにいました。

『XCOM』が復活を果たしたのは2010年。ファンは待望新時代の『XCOM』の発表を喝采で迎えました。そしてついに2011年E3でプレビューがメディアに公開されました。今回の作品は『XCOM』発足の物語、つまり今作は過去作品の序章となる訳です。

新作『XCOM』は基本としてFPSですが、ゲームを形作るゲームプレイの層はいくつもある、深いゲーム性を持っています。この奥深さがXCOMの魅力になりそうです。ミッションには二人の仲間と共に3人小隊で挑む事ができます。まずは小隊の組み合わせから始まるパーティ編成システム。隊員にいくつかの種類があり、彼らには異なる特性があります。元兵士、研究者、警察官、と新しい隊員を勧誘して、XCOMの能力を伸ばす事もできます。隊員を選び、育てる育成・RPG要素は楽しみです。贔屓をするのもよし、頑張って全体のレベルを上げるのもよし。自分だけの部隊は戦場で頼りになる仲間になりそうです。

部隊を組み上げたら次は小隊指揮の戦術戦闘です。ミッション中は味方に配置と基本指示、そして特殊能力の指示ができます。指示システムは時間をほぼ停止させ、思考する余裕を与えてくれます。優秀なリーダーは状況把握と判断を瞬時に行えると言いますが、このゲームはその感覚を味合わせてくれます。特殊能力は一定時間ごとに回復するアクションポイント(AP)を消費して発動され、上手に使う事で技術格差を覆して行きます。

XCOMで人類側は圧倒的に劣勢です。空間に異次元へと続く穴を開け、光線兵器や物理障壁を呼び出す技術相手に最新とは言え、1963年の装備ではとても対抗はできません。敵を分断させ、局所的に数の優位性を確保したり、待ち伏せを組んで不意打ちで敵を反応する暇無く倒したり。どんな手を使ってでもエイリアン「アウトサイダーズ」から勝利をもぎ取らねば『XCOM』は対抗できません。突撃すると圧倒的な技術格差によってズタズタに負けるのは必須。人類側の知略をもって絶対優位を覆し、戦いを勝ち残る事がゲームの目的になります。

最後は戦略要素です。『XCOM』は侵略者と戦うだけでなく、研究も行う事が目的とする組織です。作戦中でプレイヤーは敵の技術を破壊せず、鹵獲する事ができます。こうして確保した技術は作戦後に『XCOM』本部で解析することで新しい武器、能力の開発だけでなく弱点の発見もできるそうです。ただ、ここで『XCOM』の絶妙なバランスが光ります。敵から鹵獲した兵器はミッション中に利用できるのです。プレビューでは中ボスとして現れた自動光線兵器を鹵獲することができました。中に浮いて、遮蔽物ごと吹っ飛ばすくらい強力なビームを放ち、辺りに放電して近づく事すら難しいこの砲台はその苦労の分、技術的な価値が高そうです。それを確保できたプレイヤーを見ているだけでもホクホクいい気分ですが、その数分後には敵の待ち伏せを受け、戦術的不利にさらされます。多方向から光線が飛び、撤退すらままならないプレイヤーはこの瞬間に砲台を使い、敵を一掃します。しかし、この代償として、この砲台は研究材料として持ち帰る事ができなくなります。もしかしたら、あの場面はなんとか切り抜ける事ができたのかもしれません。もしかしたら、砲台を使わなかったら隊員が犠牲になったかもしれません。武器をそのまま使って助かったと安堵するも、後々に響く可能性も考えなければなりません。

この駆け引きが原作『XCOM』を人気作にした理由であり、今作が『XCOM』続編として受け継いだ魂です。アクションたっぷりの近距離の駆け引き。戦術的な中距離の駆け引き。そして技術の確保と人員の育成と長距離の戦略の駆け引き。来年の発売日に向けた開発もまだまだとの事ですが、頭脳派FPSとして大きな可能性をみせてくれました。『XCOM』はFPS人気が乏しい日本でも反射神経に依存しない、戦術、戦略性に富んだゲームは案外受け入れられるかもしれません。少なくとも、今回のE3で一番印象に残ったゲームの一つには間違い無いです!
《米田健》
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