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【GDC2011】43歳の女性が遊びたいゲームとは?Zyngaの女性プロデューサーが語る「萎え」と「萌え」

3日目、ソーシャルゲーム界の雄、ZyngaのプロデューサーChris Trottier氏が女性の視点からライトな女性ユーザーが好むデザイン、嫌いなデザインについての分析をする講演が行われました。

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【GDC2011】43歳の女性が遊びたいゲームとは?Zyngaの女性プロデューサーが語る「萎え」と「萌え」
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3月2日の15時より、ソーシャルゲーム界の雄、ZyngaのプロデューサーChris Trottier氏が女性の視点からライトな女性ユーザーが好むデザイン、嫌いなデザインについての分析をする講演「Designing Games for the "43-Year-Old Woman" (43歳の女性向けのゲームデザインとは)」が行なわれました。

まず、なぜこの講演のタイトルが「43歳の女性向け」なのかというと、フラッシュゲームで有名なPopCapが今年の1月に発表した調査結果によると、ソーシャルゲームのプレイヤーの中心層は男性でも学生でもなく、平均43歳の女性だ、という発表がなされ、業界的に大きなニュースになったからです。



彼女自身は現在42歳、既婚で子供もおり、ゲームデザイナーですがゲーマーではありません。友達を家に招待して食事を振舞うことは好きですが、一緒にWiiでは遊びません。しかし『FarmVille』は大好きなのだそうです。それは何故なのか、「これはあくまでも私の主観、意見であり、Zyngaの主張ではありません」と前置きした上でセッションが始まりました。

10年前のゲーム作りはコアからライトまでの差はあるものの「ゲーマーに向けて」のものでした。しかしFacebookの登場で市場は大きく変わり「ノンゲーマーがアクセスすること」を想定したゲーム作りをするように変化してきました、と彼女は言います。



普通の女性が空いた時間にしたいことは色々ありますが、ゲームはその選択肢の中では相当下の順位になってしまいます。一方、特に子供を持つ母親はまとまった時間は取りづらいものの細かい空き時間はあり、ネットでの情報収集や勉強、SNSで友人とのコミュニケーションを取るなどPCを使っている人は多く、ここは有望な市場である、と解説します。そうした彼女たちが求めているのは時間制限のあるチャレンジや複雑な問題を処理したりすることでなく(それは現実の世界だけで十分!)、リラックスさせてくれたり、ロマンチックな気分にさせてくれたりするものだそうです。

そして、まずは「好きではない要素」トップ10が発表されます。

10位:Work to play
ゲームを始める前にしなくてはいけない様々な手続き、サインアップ、ダウンロード、アップグレードなどがあるとそれだけで面倒になってしまいます。

9位:Eye-hand coordination
テンポの速い、反射神経が要求されるようなゲームです。

8位:Dude-fiction
男性が好みそうなフィクション、SF/戦争物のFPSなどです。

7位:Pinky-pink
いかにも狙ったような女性的要素、カラーデザイン、表面的な可愛らしさ。

6位:Rigid timing
特定の時間に特定の行動を要求されること、例えばSNSでの特定の時間に発生するイベント、MMOでのパーティーでの出撃タイミングの調整などはその時間に自分のスケジュールが空いているかが予測できないため、ストレスになってしまいます。逆に『FarmVille』などで、一定時間後に収穫をしなくてはいけないなど自分で調整できる時間指定ならOKです。

5位:Stuck points
詰まってしまう場所、難解な謎解きなど。

4位:Strangers
SNSなどで、知り合いでは無い他人が自分の世界に入ってきてしまうこと。自分の予測できない(望まない)展開が生まれてしまったり、馴れ馴れしく話しかけられてしまうと不安になってしまいます。

3位:Gadgetry
剣をつかんでジャンプ→空中で振って攻撃、などの複雑な操作や、1つの画面にたくさんのボタンがあるようなインターフェースなどは「複雑だ」と思われそれだけで敬遠されてしまいます。

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2位:There mere scent of a right/wrong choice
その選択によって正負の感情を伴ってしまうようなもの。『FarmVille』では自分が新しい建物を建てられるようになった際に「まだその建物を立てた友人はいません」などという表示をしていたのですが、そこから進まなくなってしまったユーザーが多かったため(遠慮したり、重なるのを嫌ったり)その情報を外したところ引っかかる人がいなくなった、という実例があるそうです。

1位:3Dカメラ
現実の世界では「このビルの3階の廊下の先を右に曲がって…」と言われても簡単に対応できるのに、ゲームの中だとかなりの確率で迷ってしまいます、自分自身の体が動いていないのが問題なのかもしれません、との事。



そして「好きな要素」トップ11。

11位:Real-world value
現実世界で忙しい彼女たちなのでゲームの世界では息抜きがしたいもの、しかし「こんな無駄なことに時間を費やしてしまった」という罪悪感を覚えてしまうのは好ましくありません。リラックスできること、自分に役立つこと、他人に役立つこと(FarmVilleではゲーム内で稼いだポイントを運営側に支払うとZyngaが実際にアフリカの貧しい国に寄付をするというシステムがあります)、他人とのつながりを感じられるもの(ソーシャルゲーマーの80%はゲームを通じて友人との関係性が強くなったと感じている、という調査結果があります)、などは良い要素です。

10位:Help me expressive
Farmvilleでは畑や花壇にどうやって花を植えるか、どう自分の家を飾るか、という要素があり、創造性を発揮する楽しさが生まれます。

9位:Keep evolving
ゲームの中に常に進化や成長、サプライズの要素があること。『SIMS2』で自分が死んだ後お墓から幽霊になってもまだ遊べる、というサプライズは多くのプレイヤーを喜ばせました。『Mafia Wars』では抗争や破壊など負の連鎖が続きますが、『FarmVille』では作物や動物を育てて収穫、それにより料理のレシピが増える、などの楽しさが連鎖します。



女性は長期間に渡る幸せな関係を求めますが、それを実現できているゲームは多くありません、より深みのあるシステム、たくさんの経験をさせてくれるようなゲームを是非作ってください、とここで彼女はゲームデザイナー達に問いかけました。

8位:Real-world fantasy
女性はSFや核戦争後の荒廃した世界ではなく、現実社会の延長上にあるようなファンタジーを求めます。自分のアバターを美しく着飾らせるのはとても楽しいし、実際には難しい「郊外に大きな農園を買ってたくさんの作物を育て、自給自足の生活をする」「クリスマスに巨大なツリーを飾り、家全体をデコレーションで飾る」といったような夢をかなえてくれるようなゲームは大好きです。

7位:Reflects my people
テレビや本は一方的なメディアであり、受け手側の趣味や趣向が反映されることはありません。しかしゲームなら、例えばFacebookに登録してある情報、好きな食べ物やアーティスト、交友関係などのデータを取得して反映させることができます。オンラインゲームのランキングの上位が知らない人ばかりだと特に興味がわきませんが、知人や家族、会社の上司だったりすると競争心が芽生えませんか?

6位:Big deal milestones
たとえそれがフィクションであったとしても自分にとって大きな意味のあるイベント、例えば『The SIMS2』でのデート、結婚、出産などは心に深く刻まれます。

5位:Wanting, getting, having
欲しくなるもの、集めたくなるもの。欲しいと思ったものを手に入れたときの嬉しさはバーチャルでも変わりありません。自分の畑で豊かに実った野菜や果物、花壇で美しく咲いた花を見るのは楽しいし、収穫後に今度は何を育てようかを考えるとワクワクします。『FarmVille』では作物ごとの経験値が貯まるとマスターした証として看板がもらえますが、プレイヤーがこれらを熱心に集めるのはマスターした事を自慢したいのではなく、看板のデザイン自体がとてもキュートだからなのです。(何だかワケの分からないトロフィーなんてもらっても嬉しくありません!)

4位:Satisfying core action
女性がゲームに求めるのは、時間や手間隙をかけた分に見合う達成感、満足感です。実はなぜ『FarmVille』がこれほど成功したのかは完全には分析できていないのですが、時間と愛情を込めて育てた作物が実る、という目に見える形での達成感が得られるのが関係しているのは間違いないと思います。

3位:Simple pleasures
シンプルな喜び、ゲーム中でちょっとクスッと笑えるようなユーモアだったり、可愛らしいアイテムだったり。ゲームの中でジョージ・クルーニーに会えたら素敵じゃない?(会場笑 『The SIMS』ではユーザーが作った「Jealousy hack」という、相手を引っぱたくアニメーションMODが圧倒的なダウンロード数を記録したそうで、みんなゲームの中で他人を引っぱたけるのが単純に楽しかったようです。

2位:Yummy on the eyes
目で見て楽しいもの、綺麗なもの、可愛いもの。Farmvilleなら様々な種類の花だったり、『Bejeweled』ならキラキラと光って弾ける宝石だったり。触ったり動かしたくなったりするもの。『Farmville』の成功に大きく貢献している要因の1つだと思います。3Dだったり写実的なリアリティは全く必要ありません。

1位:Nice to touch
手触り感、とでも言いますか、例えば泡や氷を割ったり種を植えたりプチプチをつぶしたりするような、そのアクションによって何か良いことが起こる感じです。PopCapのゲームはこの感触をとても大事にしていると思います。アクションと、それに伴って発生するビジュアル/サウンドエフェクトがとても気持ち良いのです。


最後にTrottier氏は「これら全ての要素を満たすゲームを作るのはさすがに大変だと思いますが、2つか3つなら難しくないと思いますので是非検討して下さい」と挨拶して講演をまとめました。講演後の質疑応答では女性の質問者が数多く並び、それぞれに「講演の内容にとても共感できました」と挨拶してから質問に入る様子が印象的でした。
《今鳩越前》
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