巧 舟さん(ディレクター) 担当箇所は? | 企画原案、ゲームデザイン、シナリオ、演出全般にディレクション…と、かなり自由にやらせていただきました。 | メッセージ | このゲームは、『逆転裁判』シリーズとは違った方向性の、新しいミステリーを作りたい…という出発点から考え始めました。その際に選んだテーマが“群衆劇”。登場人物たち全員にスポットライトが当たって、彼らの抱える謎や事件が、最後にひとつの真実に結実する、長編の物語…そんなコンセプトでした。
振り返ってみると、今回いっしょに仕事をしてくれたのは、まさにこのコンセプトをなぞったような制作チームでした。20名のメンバー誰もがこのゲームに密接に関わっていて、“完成”というひとつのエンディングに向かって、一丸になって突き進んできた…そんな、強い実感があります。(“長編”というのも、なんとなくそのとおりで…完成まで、長い道のりでした…)
この原稿を書くために、これまで第3回まで、みんなの書いた文章を読んだのですが…彼らも同じように感じてくれているようで、とてもうれしかったです。
ぼくは、『ゴースト トリック』の企画からゲームデザイン、シナリオまで書いている、いわば“主犯格”なので、このゲームに対する思い入れは当然、キョーレツなものがあります。でも、他のメンバーたちが、今、それぞれ『自分自身のゲーム』として誇らしげに語ってくれているのを読むと、本当に感無量です。
『ゴースト トリック』は、なんというか…チームの愛情を一身に受けた、幸せなゲームだと思います。新谷さん率いるモーションチーム、長嶋さんを中心にした背景チーム、そして杉森くんのサウンド…個性と実力をあわせ持ったスタッフにめぐまれていました。彼らの生み出す素材には、細部まで愛情がこもっていて、ディレクターとして、見せてもらうのが楽しみでした。
また、その影に隠れがちで、なかなか表舞台に出てきづらいですが、本田くん率いるプログラムチームや山川くんたち企画チームの強力なバックアップも心強かったです。オリジナルのゲーム制作に、設計図なんてありません。「操作方法をどうするか?」「ゲーム中の視点をどう設定するか?」…などなど、インターフェイスデザインの植田くんもまじえて、何度も何度も試行錯誤を重ねたのですが…彼らの前向きな姿勢には、いつも助けられました。
そういうチームのエネルギーは、やはりゲームに反映されます。彼らに背中を押されて、制作の終盤、物語はどんどんイメージが広がっていって…ぼくの想像していた以上の地点まで連れていってもらえたように思います。
また、ぼくたち制作チームに、これだけ試行錯誤して、最後まで作り抜くだけの時間が与えられたというのも、本当に感謝しなければなりません。竹下プロデューサーをはじめとして、制作チーム外からも多大なる応援をいただきました。
みなさん、本当にありがとうございました。そして、おつかれさまでした!
これから、世界へ向けて“海外版”の動きも本格化しますが、ジャネットさんを始めとしたローカライズチームのみなさん、海外スタッフのみなさん、よろしくお願いします!
…と。なんだか身内のお礼参りみたいになってしまいましたが、そんな感謝に満ちたゲームが、この『ゴースト トリック』です。
作り手として、「理想のゲーム」とは、作ったヒトも、遊んだヒトもシアワセになれるものだと思いますが、とりあえず、その“前半部分”は成就できたかなと思っています。あとは、後半部分…それは最終的に、みなさんに決めてもらうコトですが…なんにせよ、まずは遊んでもらわらないと始まりません。きっと、なにかココロに残るゲームだと思うので、ぜひ手にとってみてくださいね! | | | | | メゾン・ド・ナムアミ701 この部屋は、テストも兼ねて最初に制作しました。少女が本を読んでドーナツを食べたり、子犬が彼女の後を追ってうれしそうに駆け回るシーンを作ったのですが…その、あまりのかわいらしさに、今回はとにかく“動き”にこだわってみよう…という方向性が見えた、記念すべきステージです。 このゲームでは、『登場人物たちの日常生活の裏側に潜む事件や謎を描く』というテーマがあったので、その“日常”をここまで自然に、かつ魅力的に表現できたのは大きな第一歩でした。 | |