カナダにあるグラント・マキュワン大学の心理学者であるJayne Gackenbach氏は、ゲームと夢はどちらもオルタネイトリアリティ(現実を代替する世界)であり、ゆえにゲーマーは夢をコントロールできるといいます。
「あなたが仮想現実に時間を費やしているなら、他には何も必要ありません。ゲーマーはゲームの世界をコントロールするのに慣れており、これは夢に当てはめることができます」
Gackenbach氏は明晰夢(夢であることを自覚しながら見る夢)を研究してきました。ゲーマーと明晰夢をよく見る人はどちらも空間認識の能力が優れており、乗り物酔いにかかりにくい傾向に加えて高い集中力を持っているといいます。
氏は2006年からゲーマーと非ゲーマーの見る夢について調査をスタートしましたが、ゲーマーの方がよく明晰夢を見るという結果が出たそうです。
ゲーマーの明晰夢には「ゲームのキャラクターを操るように自分の身体を操作する」「自分が念じることで夢の世界が変化する」というものが多く、視点もFPS(一人称シューティング)のような身体の内側からのものや、TPS(三人称視点シューティング)のように身体を外側から見るものまで様々だったといいます。
フィンランドの心理学者Antti Revonsuo氏は、夢とは「脅威シミュレーション」であるとする説を唱えています。夢の中で恐ろしい状況を作り出して予習をしておくことで、現実に脅威に陥った時の生存率を上げる働きがあるのだそうです。
「脅威シミュレーション」説に着目したGackenbach氏が98人の男女を対象に調査を行ったところ、ゲーマーは「恐ろしい夢に対して反撃する」というケースが多く、非ゲーマーよりも暴力的な方法を使ったとの結果が出ました。
「ゲーマーには不可解な何かが起こるということです。ゲーマーは逃げ回りません。彼らは振り返って反撃し、基準よりも高い攻撃性を示します」
氏はこの結果がPTSD(心的外傷後ストレス障害)の軽減に応用できるのではないかと仮説を立て、新たな研究を続けているそうです。
ゾンビや恐ろしい怪物をやっつけるゲームも多いため、そうした意味ではゲーマーは恐怖慣れしているのかも知れません。辛い記憶に苦しむ人々も多いはずで、悪夢に打ち勝つ方法が体系立てられることを願ってやみません。
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