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Flashコンテンツをゲーム機で展開する可能性〜Wiiウェア『あいうえ・おーちゃん』の事例

任天堂 Wii

こども教育テレビWii あいうえ・おーちゃん
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昨年のCEDECや先般のGTMFなどで幾度かScaleform GFxというミドルウェアを紹介しています。これはAdobe Flashで作られたファイルをWii、PS3、Xbox 360といったゲーム機で動作させるためのものです。既に『Mass Effect』『CRYSIS WARHEAD』など複数の大作タイトルで採用され、ゲームのUIやミニゲームの制作に使われています。Scaleform GFxではFlashを扱う技術者が求められることとなり、今までのゲーム業界とは異なる才能が出会う可能性も含んでいます。

そんな中、昨日「Flashコンテンツをゲームプラットフォームに展開する技術、ビジネス〜Scaleform GFx & Wiiゲーム実事例紹介〜」と題して、Scaleform Corporation、アドビシステム、ホームメディアの3社が主催し、Scaleform GFxの概要や実際の採用事例としてホームメディアのWiiウェア向け『こども教育テレビWii あいうえ・おーちゃん』が紹介されました。

既にScaleform GFxについては何度か紹介していますので、ここでは『あいうえ・おーちゃん』の事例を紹介します。

■資産を有効に活用するためにはこれしかなかった

ホームメディアは、Wiiウェアに参入するために設立された会社で、母体はリトルスタジオという会社です。リトルスタジオは、元々人気番組「ひらけポンキッキ」を制作していたスタッフが1983年に独立して設立された会社で、以前よりAdobe製品を用いて番組を制作していました。ゲーム分野では、ファミコン用の周辺機器を介して通信学習を行う『スタディーボックス』を福武書店(ベネッセ)と共同で展開していたこともあるそうです。

リトルスタジオ・町田氏


その後もゲームを教育に生かすコンテンツに関わっていて、CD-ROMで展開された「まいにちがたからもの」(旺文社)、「school bus」(アルク)、「ももんがクラブ」(ジャストシステム)など様々なコンテンツを制作、これまでにFlashゲームの資産を400以上蓄積しているそうです。

Wiiウェアでの制作を決意したのは「親子でコミュニケーションができるものを作りたい」という思いからで、当時は2007年11月頃。シリアスゲームの可能性が模索されていた時代状況も後押ししたようです。そこで、どんなプラットフォームがいいかと考えたときに可能性はWiiしか考えられなかったといいます。

過去の遺産を生かしながら最適なプラットフォームは


もちろんこれまでの資産を活かした形ということなので、FlashでオーサリングしたものをWiiで動かす方法を考えたそうです。ただ、アドビが提唱したばかりの「Open Screen」はまだ現実性がなく、「Flash Lite」のソースコードは金額的に断念、そうするとFlash以外のJaveやSquirrelといった言語で実装するか、自前でFlashを動作させる環境を構築するかというような選択肢しか無かったそうです。途方に暮れた時、昨年のCEDECで出会ったのがScaleformだったそうです。

考慮された選択肢




■Flashでゲームを構築するために

Scaleform GFxでFlashでオーサリングしたファイルをWii上で動かすことは出来ます。ただ、WiiならではのWiiリモコンを振る動作や、音声再生、動画再生といったことはScaleform GFx 2.0では出来ず、直接Wiiを動かすプログラムを書く必要があったそうです(現在の3.0では音声、動画ともに再生が可能です)。このため、WiiのハードウェアとScaleform GFxの間に、ゲームエンジンのようなプログラムが必要となり、この部分は自社で開発を行ったそうです。例えばFlashでオーサリングしたものから、音声を流したいなどの要求があった場合は、FSCommandを発行することでゲームエンジン部分が音声を再生するという形です。

苦労が大きかったのは、メモリの管理で、PCを想定して作られているFlashファイルを直接、Wiiで動作させるのは大変で、使用している画像や音声を最適なサイズに変換するといった作業があったそうです。Scaleform GFxはFlashのswfファイルから画像や音声を分離する機能があり、抽出されるTGAファイルをS3TCに変換してサイズを縮小して使い、MP3もシーンに合わせて再変換を行ったとのこと。

また、Scaleform GFxは使用するライセンスによってソースコードも提供されるそうで、ホームメディアでも一部出力部分を変更してメモリの節約を行ったということです。

ゲームの構造実演も行われたメモリ使用量との戦い


■Flashコンテンツをゲーム機に応用するために

Scaleform GFxというソリューションによって、Flashでオーサリングしたswfファイルを変換してゲーム機で動作させるのは容易になりました。ただ、Wiiリモコンのようなゲーム機固有の機能はFlashでは対応できない部分になりますし、ネットワーク対応でも直接ハードウェアにアクセスする必要が出てきます。Flashコンテンツを有効活用するという意味では、ハードルは大きく下がりましたが、まだもう少し超えなければならない壁もあります。

また、実際の開発現場から離れた部分で、自由にゲームやコンテンツ開発ができるウェブやPCと異なり、ハードメーカーを中心としたシステムが構築されているコンシューマーゲーム機ならではの、ライセンス契約の煩雑さや、SDKなどの情報が広く一般には公開されていないといった難しさもあります。基本的にコンシューマーゲーム機で開発をしたり、ゲームを販売する際には、それぞれのプラットフォームホルダーと契約を結ぶ必要があります。近年、そのハードルは下がっていますが、ゲーム業界以外の方が挑戦する際には違和感を感じる部分もあるかもしれません。

一方で、コンテンツではなく、Flashコンテンツを制作できる開発者という面では、ゲーム業界には可能性が眠っていると言えると思います。まだまだ日本のメーカーでは主流ではありませんが、フロムソフトウェアの『NINJA BLADE』はScaleform GFxを利用してUIを構築した例です。FlashでUIを制作することで、開発効率やローカライズの際の手間は大幅に削減されます。Flash開発者はゲーム業界には限られていることもあり、活躍できる場が多そうです。

Scaleform GFxの登場で、ゲーム業界とFlashなどのコンテンツ業界の垣根は大幅に下がると考えられ、それによって起こる人材の流動や、可能性の融合が楽しみになりそうです。
《土本学》

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