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【GDC 2009】ゲームデザイナーが未来を形作る次の10年!IGDA教育サミット基調講演

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【GDC 2009】ゲームデザイナーが未来を形作る次の10年!IGDA教育サミット基調講演
  • 【GDC 2009】ゲームデザイナーが未来を形作る次の10年!IGDA教育サミット基調講演
GDC2009で国際ゲーム開発者会議(IGDA)が主催するIGDA Educational Summitでは、ゲームと教育にまつわる様々なセッションが開催されていますが、キーノートとして、Institute for the FutureのJane McGonigal氏による「Learning to Make Your Own Reality: How to Develop Games that Re-invent Life As We Know it」と題する講演が行われました。

講演は「Are you optimistic about the future?(未来について楽観的ですか?)」という問いかけから始まります(会場の約9割が手を挙げる)。McGonigal氏は未来を形作るのは世界に300万人のゲームデザイナー(やデベロッパー、ハッカー)であるとして、その使命は「リアルな生活を再発明すること」で、ゲームデザイナーの将来にとってキーとなる5つのテーマを挙げました。

1. sustainable happiness
2. persuasive technology
3. the engagement economy
4. programmable reality
5. superstructing

まずは「sustainable happiness」という点で指摘されたのは、人々は 1)やりがいのある仕事をする 2)良いと思う体験をする 3)好きな人と過ごす 4)何か大きなものの一部である という時に幸せを感じるということです。「それらは正にゲームが有する特徴で、究極のhappinessを生み出すのはマルチプレイヤーゲームという結論に達した」とのこと。

続いて「persuasive technology」として述べられたのは、人々が考え、動き、行動する形を変える技術です。例えば家電の消費電力をリアルタイムに表示する「Google PowerMeter」のようなものは、情報を可視化することでユーザーに訴えかけます。また「World Without Oil」は代替現実ゲームと呼ばれるもので、石油のない世界をユーザー参加型でシミュレートしていきます。McGonigal氏はこうした、思考を変え、新しい様式を教え、日々の行動に繋げていくような、アジェンダを変える役割をゲームデザイナーは果たすことができるとしました。

3つ目の「engagement economy」は人々の力を合わせて一つの大きな力にするというものです。集合知という考え方ではWikipediaや予測市場のようなものがあります。スライドによればWikipediaは1億メンタル時間がかけて構築された(手法は不明)とのことですが、それは『World of Warcraft』に費やされた5日分に過ぎず、そのパワーは適切に誘導されれば物凄い力を持つと言えそうです。PCパワーを持ち寄って研究に利用する「Folding@home」や「GALAXY ZOO」といった取り組みが既になされています。今後10年のゲームデザイナーは「ファンジニア」(fun+engineer)であり「マスコラボアーキテクツ」という存在で、面白さをキーにして多くの人をコラボレーションさせていくデザイナーになるとしています。

「programmable reality」はリアルな世界がプログラム可能な世界になっていくという指摘です。黎として挙げられたのが「Nike + iPod」で、ナイキのシューズで走った記録がインターネット上で表示されるというものです。また「Citizen Logistics」は現実世界で携帯電話でメッセージをやりとりしながら、プレイヤーからプレイヤーへと物を運ぶという遊びです。こういった、画面上での動きをベースにしながら、現実世界のオブジェクトや物理的な環境、社会的な関わりを結びつけていくことが4番目の未来として挙げられたものです。

最後の「super struct」は壮大なテーマです。ゲームには長いタームを見渡す力があり、戦争・貧困・人口増加・犯罪・・・といった様々な世界的な危機について、世界中の人々が共に立ち上がるべく、MMOならぬ、MMC(Massively-Multiplayer Communities)を生み出していく必要があるという提案です。

発展途上国の子供の60%はゲームを遊び、先進国の子供の97%はゲーマーであると自身を考えているそうです。そう考えると、ゲームが未来を作るというMcGonigal氏の主張にも納得がいく部分があります。講演は全体としてポジティブで、時にはジョークを交えながら、ゲームの大きな可能性を示すものでした。スライドはslides @ avantgame.comにメールすると自動的に送られるとのことですので、ご興味のある方はどうぞ。
《土本学》

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