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【ゲームニュース一週間】無菌室ハードという妄想、暴力表現という可能性

そろそろ本格的に暖かくなって欲しい3月第2週は米国NPOとテイク2インタラクティブ会長の発言が話題となりました。

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そろそろ本格的に暖かくなって欲しい3月第2週は米国NPOとテイク2インタラクティブ会長の発言が話題となりました。

米国のNPO「National Institute on Media and the Family」(NIMF)は「任天堂は“家族に優しい”評判を返上すべきだ」との発言を発表しています。
NIMFは青少年の健全育成を目的としたNPO団体で、Wiiで『MADWORLD』が発売されることに抗議。

「残念だが、任天堂は暴力ゲームにその扉を開いた。NIMFは任天堂が最初の方向性を見失わず、良質な家族のためのゲームを提供することを望む」とコメントしています。

テイク2インタラクティブの会長であるStrauss Zelnick氏は2009年度第一四半期の業績発表の際「DSやWiiといった任天堂ハード上でMレーティングのタイトルが評価される機会があると信じている。我々はこうしたタイトルを届けるのに適した会社だ」とコメントしています。

2009年はWiiにおけるハードコアゲーマー層向けのゲームに注目が集まる年ですが、それはレーティング関連の議論を巻き起こす火種でもあります。海外では高レーティング=過激な内容という認識があり、NIMFの発言は「年少のプレイヤーが多いWiiで高レーティングのゲームが発売されると、本来プレイしてはいけないはずのゲームを年少のプレイヤーが遊んでしまう」ことへの懸念だと思われます。この発言はWiiが広く家庭に普及しているからこそのものともいえるでしょう。

では、ハードウェアの側にレーティングを設けてはどうでしょうか。
ある一定層に向けたソフトしか発売されないハードウェアを作るのです。
例えば7-12歳向けゲームのみが発売されるハードウェアと、13-17歳向け、18歳以上のゲームが発売されるハードウェアをそれぞれ分けるのです。これらのハードウェアは互換性をゼロにしなければならないでしょう。「ハードウェアは同じだが年齢認証やペアレンタルコントロールで遊べるソフトを制御する」ような方式だと子供が抜け道を見つけてしまう可能性があります。ニンテンドーDSとWiiほどに異なっており、そもそもディスクやカートリッジが入らない、くらいが理想でしょう。こうすれば完全な無菌室ハードウェアが作り出せます。では、無菌室ハードウェアはWiiやニンテンドーDSのようなヒットになりえるのでしょうか。

ニンテンドーDSやWiiがムーブメントとなったのは「誰もが持っている」ところにあります。同じハードウェアで様々な年齢層が遊べる。それは皆が集うリビングルームにも似ています。これを分けてしまうということはリビングルームのない家と等しいのではないでしょうか。家族のそれぞれが自分の部屋で独自の時間を持つ。それは現代的ではありますが少々寂しい光景です。ハードウェアメーカーも企業ですから、あらゆる年代層に受けるものを目指します。

では、関係省庁が無菌室ハードウェアを買い上げて今のWiiやニンテンドーDSに匹敵する売上を保障するのであればどうでしょうか。売上は同じになっても、ムーブメントとはならないでしょう。自由意志を持つ人々が同じものを選んだことに意味があるのです。

本来、ハードコアゲーマー層向け=高レーティングではないはずですが、現在の海外ではこれが同一視されているような印象があります。

例えば『斑鳩』は紛れもないハードコアゲーマー層向けですが、その内容にはレーティングが必要なところは一切ありません。事実、筆者の手元にあるドリームキャスト版『斑鳩』は「全年齢」向けとなっています。暴力表現無しでハードコアゲーマー層向けということは十分成り立つのです。では、暴力表現はゲームに一切不要なのでしょうか。

暴力表現は禁断の果実であると同時に、多彩な可能性を生み出します。例えば『Fallout3』から恐ろしげなところが無くなったらどうでしょうか。重要なテーマともなっている核の恐怖は充分に表現できないでしょう。『MADWORLD』は「リアリティ番組(台本なしで素人出演者たちの反応を楽しむ)への風刺の側面もある」と評されていますが、主人公Jackが「狂気の殺人番組に出演」ではなく「楽しげで誰も傷つかない競技会へ出演」ではブラックユーモア的な風刺性は薄くなるでしょう。

暴力表現をもてあそぶのか、真摯に取り組むのか、作り手の姿勢には大きな意味があります。単に既存のものに取り外しの効く暴力表現を入れるのではなく、無くすとゲームが成立しないくらいにテーマに深く関わるものとする。それは優れた商品であると同時に作品という肩書きとリスペクトを得られるものになるのではないでしょうか。
《水口真》

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