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『鉄道ゼミナール -大手私鉄編-』発売記念!向谷実×津田洋介プロデューサー、スペシャル対談

『鉄道ゼミナール -大手私鉄編-』発売を記念して、タイトーの津田プロデューサーと制作に当たった音楽館の向谷実氏によるインタビューをお届けします。二人の意外なつながり、向谷氏の鉄道ファン歴から、肝心のゲームの魅力、そして、早くの次回作への野望など、とことん語っていただきました。

任天堂 DS
鉄道ゼミナール -大手私鉄編-
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■鉄道ファンだけではなく、ファミリーで楽しめるゲームに

インサイド: 『鉄道ゼミナール -大手私鉄編-』向谷さんのおすすめの遊び方は?

向谷: サバイバルは最後にとっておいてもらうとして、各社モードでふだん利用している鉄道会社をやってみたらいいと思います。プレイする人の各社に対する知識度がわかるようになってます。細かい解説はわざと出さないで、合ってるか間違ってるかだけ表示して、テンポ良く遊べます。次に総合検定で自分のレベルが初級、中級、上級かわかる。ステップアップとかではなくて、今の自分の理解度を把握して、そこから何度も遊んでスコアを上げてもらいたい。それからサバイバルに挑んでもらうと。

津田: 今作では、図鑑で用語のリングをどんどんクリックしていけるようになってます。そういう知識を満たせる部分も楽しいし、疲れたら向谷さんの音楽で癒して貰えます。それをもっと聴きたかったらCDを買っていただいて(笑)。

向谷: 今回はゲームの制約があった中で曲を収めた。もちろんそれも楽しめるんだけれども、音楽をさらに楽しんでもらうために、今回はヤマハA&Rさんとコラボレーションとして、サウンドトラックといいますか、もっと長くアレンジして3〜4分にして発展させてアルバムを作りました。向谷実やスーパーベルズは、「本当はこんな曲にしたかったんだ」という曲を収録しました。DSでゲームBGMとして成立させておいて、次に音楽家としても贅沢をCDでやってみました。聞き比べると楽しいと思います。

インサイド: ゲームに似顔絵が登場しますね。ご感想は

向谷: しょうがないなーって(笑)。僕が何も知らない間に決まってたんですよ。

津田: 実物よりも毒を落とした姿にしたつもりですけど。

向谷: メタボな姿でね……。まぁ、いいんじゃないですか(笑)。

津田: スーパーベルズさんは、野月さんご自身で描かれた絵なんですよ。向谷さんもあったんですが、ちょっと似過ぎちゃって、こどもが恐がりそうだったので(笑)、変更してもらいました。

向谷: だいたいね。このゲームを始める時に「カシオペアのムカイヤです」って出てくるんですよ。それって、意味が解る人いるのかなあって。いま、鉄道ファンにそんなこと言ったら、寝台特急の人かなって思われちゃうよね(笑)。

■ミニトレはおまけじゃない!

インサイド: 3500以上のクイズ問題は、どんな環境で制作されたんですか。

向谷: もともとDSの検定系のエンジンはタイトーさんが持ってたんですよ。

津田: そこに鉄道ネタをどう載せようかと。

向谷: 実際はそのシステムをウチでかなりカスタマイズしました。だから、かなりたくさん売れないと儲からない(笑)。それはともかく、鉄道の特殊性を表現するために、私たちがいろんなツールを考えています。音楽館には鉄道好きがたくさん居ますが、さほど鉄道が好きではなくても、ゲーム制作に執念を持っているスタッフにも恵まれています。彼らにいろんな表現方法のアイデアを出してもらいました。

津田: JR編では漢字が難しくてお子様が読めないという声がありまして、今回は難しい漢字に、ふりがなを付けるなど工夫しています。鉄道車両を軸に、鉄道の理解を楽しく深めていけるゲームになりました。

向谷: タイトー&音楽館のブランドイメージは、鉄道ファンも感心するような情報の量や正確性だと思います。ただし、けしてマニアックではなくて、裾のを広げられるような楽しいソフトを作ったつもりです。

インサイド: 鉄道マニア向けではなくて、その周りの人も楽しんで貰えるように。

向谷: そう。そのための表現方法のひとつとしてミニトレがあるんですよ。鉄道模型を始めるというとハードルが高いけれど、自由に線路を敷いて列車を走らせるという楽しみは感じてもらえると思います。知識欲は検定で満たされる。楽しむという意味でミニトレがある。そこが大手私鉄編の進化したところです。最近、いろいろな雑誌などでインタビューをさせていただいていますが、鉄道に興味のないかたでも、ミニトレを見るとおもしろがってくれるんですよ。

津田: ミニトレは鉄道フェスティバルに出した時もお子さんに好評でしたよ。ソフトを進めると電車がもらえるという仕組みです。JR編ではおまけ要素としてコラムが追加されていったんですが、今回はミニトレです。車両や建物、情景パーツが追加されます。ゲーム性があるワケじゃないけれども、並べて走らせるだけで楽しい。

向谷: ミニトレは、スタッフの中でも鉄道に余り興味のないチームのアイデアです。鉄道ファン側のアイデアではなくて、こういうゲームを作るならこんなモードがあったら面白い、という制作側の意見なんです。それを演出したのは鉄道ファン系のスタッフで。うまく連携できたと思います。ミニトレパーツの出し方やゲットの方法にもいろいろあるんですよ。

津田: おまけモードだと思われるかも知れませんが、ディテールにはこだわっています。実は容量を解決しようとした時、タイトー側のスタッフに技術的な相談をして、ポリゴン数を減らそうとしたんですが、これ以上は無理だといわれました。「この造りには愛を感じる」って。

向谷: チョロQだってBトレだって鉄道の現場の人が感心するくらいの出来なんですよ。だから手を抜くわけにはいかなかった。

津田: ミニトレインの車両は、シークレットを含めて6両×16社です。96種類あります。

向谷: シークレット車両のチョイスがなかなか渋いんですよ。東武は分かりやすいですよね。「ああ、これか」って。南海が渋いな。京成もかなりこだわりがあります。

インサイド: 車両選びは向谷さんが決めたんですか?

向谷: いえ、スタッフと僕とで選びました。ほとんど僕なんだけど、なかにはどうしてもコレ、っていうスタッフもいて、僕が反論したんだけど、多勢に無勢という(笑)。意外とチカラがなかった(笑)。いや、僕だって絶対に退かないってことはあるけれど、いろんな意見があるしね。民主的に多数の意見を尊重します。それが会社の方針(笑)。

■次はいよいよ地方私鉄編?

インサイド: 発売されたばかりで恐縮ですが、何年か経つとクイズの答えが変わりますよね。ダイヤが更新されたら特急の停車駅クイズの答えは変わるし、車両が更新されることもある。そうなると、2年ごとか3年後とかに、次のバージョンが欲しいなって思うんですが。

津田: その意味では、今回はROMですが、次回はデータを更新できるメディアがいいのかな、とも考えています。今回のゲーム制作がきっかけで下地ができましたから、今後はどういう形で展開できたらいいか……。

向谷: そうですね。これを種にして、ネット系に移してアップデートできたたらいいですね。例えば、「鉄道ゼミナール2010」とか。

津田: ハードも変わっていくでしょうから、次も考えていきたいと思います。

インサイド: JR編、大手私鉄編と来たら、向谷さんの野望としては、日本の全鉄道を制覇したいですよね。第三セクターとか路面電車とか中小私鉄とか(笑)。

津田: 国鉄編とかね。

インサイド: ノスタルジックなところで国鉄編も売れそうですね。国鉄の回顧専門の雑誌もありますしね。

向谷: 国鉄編は資料がないんだよなあ。クイズを作っても合ってるかどうか検証する人もいないしなあ(笑)。

インサイド: 地方私鉄はどうですか。大井川鉄道のSLの問題もほしいな、とか、黒部峡谷も楽しそうだな、とか。

向谷: 中小私鉄は興味ないこともないんですよね。以前、南部縦貫鉄道のシミュレータを作った時も、いい仕事をしたなあと自分でも思いましたし。廃止されたあとも映像が残せたし。でも、すべて網羅するとなると、作るのたいへんだあ。うちで「Railfan」というWebサイトを作っているので、そこに参加している中小私鉄でくくるという手もありますが……。銚子電鉄のクイズをすべて解くと濡れせんべいが貰えるとか……いや、それって面白いのか(笑)。

インサイド: 東急旧7000系などは全国の地方私鉄に譲渡されていますから、その写真を集めて「静岡鉄道はどれ」なんていいんじゃないですか?

向谷: そういえば、取材の帰りに熊本電鉄で遊んできたスタッフもいたなあ。東急旧5000系の青ガエルが現役なんですよね。両側に運転台を付けて。ことでんとか、面白い電車はいっぱいありますよね。

インサイド: 興味アリですね。期待しています!

向谷: いやぁーちょっと待って(笑)。

津田: とりあえず大手私鉄編が売れてくれないと(笑)。

向谷: 地方私鉄は少人数でフル稼働してる会社が多いだろうから、話に乗ってくれるかなあ。あと、資料が揃っているかどうかとか。第三セクターでも元々国鉄だったところと、そうではないところで全然違うんですよ。

津田: 今回、JR編、大手私鉄編、と、あるカテゴリのすべて収録という方向性でしたが、今後は変わるかも知れませんね。お客様のご意見を聞きながらですが。

向谷: 時々ね、わたらせ鉄道や上毛電鉄について知りたい時があるなぁ。自転車を載せてもいい時間帯は何時から何時まで、とか。昔ながらの鐘が鳴る踏切警報機を使ってる場所は、どの駅から何番目の踏切でしょう、とか。関東鉄道もいいよなあ。守谷の駅って列車は2両なのに、何であんなにホームが長いんだ、とか。将来は8両の列車が走るのかなあ。東急田園都市線もはじめから10両のホームで作ってたけど、最初は2両だったしね。

津田: そういうわかんないことを聞いて嬉しいものなんですか?

インサイド: すっごく嬉しいですが(笑)。

向谷: うれしいよね(笑)。でも、やるなら「行ってみたくなる」ようなソフトがいいな。昔、レイルファンでやったみたいに、観光名所情報とかURLも入れで作った奴があるんですよ。

インサイド: 全国が難しかったら、地方ごとでも。あ、でもそれじゃ売れないかな。やっぱり全国じゃないと。

津田: そう、結局、そこは重要ですよね。

向谷: でもさ、こんな鉄道会社でコンテンツなんかできるわけ無いよ、っていうところで作るからいいんじゃないかな。十和田観光電鉄とか水間鉄道とか言われても解らないよね。でもそれを知ってもらうきっかけになる。

津田: うーん、広電くらいなら俺もわかるけど。

向谷: 水島臨海鉄道とかね(笑)。やり出したら全部やりたいね。海外編もね。シベリア鉄道とか、アメリカ横断鉄道とか。バイカル湖駅で売ってるピロシキはいくら? とか(笑)。で、ほんとにやるの? 中小私鉄編?

津田: えっ……。

向谷: 中小私鉄編。

津田: 誰がですか?

向谷: ウチとタイトーさんがですよ! (笑)

津田: タイトーさんがねー(笑) 「大手私鉄編」が売れたら考えますけどねー。

向谷: 今のウチにやっておいたほうがいいかもよ? 地方の鉄道って廃止になっちゃうかもしれないし。

津田: えー(笑)。


鉄道ファンとしてはぜひ地方私鉄編も欲しいところ。日本の鉄道をクイズで制覇したいですね。そのためには『大手私鉄編』の売り上げが重要だとか。鉄な皆さん、これからも「タイトー&音楽館」ブランドを応援しましょう!

《杉山淳一》
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