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【TGS2008】バーチャルワールド、オンラインゲーム、SNSの衝突―特別招待セッション

東京ゲームショウ2008も2日目を迎え、TGSフォーラムの特別招待セッションとして、Turbine社のCEO、Jim Crowley氏による「バーチャルワールド、オンライン ゲーム、SNSの衝突」と題する講演が行われました。

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【TGS2008】バーチャルワールド、オンラインゲーム、SNSの衝突―特別招待セッション
  • 【TGS2008】バーチャルワールド、オンラインゲーム、SNSの衝突―特別招待セッション
東京ゲームショウ2008も2日目を迎え、TGSフォーラムの特別招待セッションとして、Turbine社のCEO、Jim Crowley氏による「バーチャルワールド、オンライン ゲーム、SNSの衝突」と題する講演が行われました。

Turbine社といえば『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』(LOR)などのMMORPGを手がけるメーカー。バーチャルワールド、オンラインゲーム、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)がいかに関わるかについてゲーム会社ならではのビジョンが語られました。

Crowley氏はここ10〜15年でSNSがコミュニケーションを変えた、と指摘。その利用者には二極化が進んでおり、現在40代前後の「デジタル技術を学んできた」世代と、1995年以降に生まれた「ボーン・デジタル」世代が存在すると定義します。

「ボーン・デジタル」世代には生まれた時からゲームやインターネットが存在してきたため、デジタル技術を「学ぶ」ことなく使用。デジタル世界でパブリックな社会生活を営んでおり、会社がブランドを定義する従来のマーケティングでは通用しないといいます。

Crowley氏は現在のコミュニケーションツールであるSNS、バーチャルワールド、ゲームのそれぞれに関して長所と短所を挙げていきます。SNSは軽量で使いやすく、「21世紀の電話」(Crowley氏)ともいえる存在。「昔は親から“電話を止めて宿題をしろ”といわれてきたが、今は“SNSをやめろ”となっている」……とその普遍性を評価します。没入的ではなく範囲が限定されているのがCrowley氏の見るSNSの弱点。FacebookなどのSNSがゲームを引き込んだことを評価します。

バーチャルワールドは『セカンドライフ』などの仮想世界系サービスのこと。オープン環境であり利用者がコンテンツを作ることが可能。広告ベースの収益モデルと高い親和性を持つが、テーマとコンテンツ、“何をすべきか”という目的がなく、利用者は“もっとやることを欲しがっている”と指摘します。

ゲームは没入的でテーマがあり、これはSNSやバーチャルワールドが持たない利点。但し、「コンテンツのライフサイクルが短いためコミュニティを作りづらく、利用者の自己表現も制約されている」(Crowley氏)ことを弱点として挙げました。

これら3つのコミュニケーションの真ん中に存在するのがMMO。SNSとゲームが融合されており、没入型でテーマが存在。コミュニティを作ることができ、複数のビジネスモデルをサポートしており、SNS、バーチャルワールド、ゲームの利点を併せ持つものとして将来を有望視します。

Crowley氏はMMOを更に進化させたものとして「MMO2.0」という概念を提唱。コアとなるコンテンツの周囲にコミュニティが存在し、コミュニティがSNSやWebの世界と接続するというものです。

「ボーン・デジタル」世代は経験を共有したがっている”とするのがCrowley氏の分析。「Web-Aware」(Webを意識する)ことが「MMO2.0」の成功の鍵。「MMO2.0」では、ゲームの世界で起こったことがWeb2.0(双方向的・ユーザー参加型であることをキーとする新サービスの概念)のネットワークとリンク。SNSの上にゲーム世界が存在するという形が「MMO2.0」であるとのこと。

ここでTurbine社の「Web-Aware」の形、SNSとゲーム内部の情報を統合しようとする試みが提示されます。プレイヤー自身の顔写真やプロフィールの横に、その人が使っているゲームキャラクターの情報を表示。更にはプレイヤーが書いているBlogや投稿した動画へのリンク、友達のページへのリンクがまとめられており、ゲームの内側と外側が融合されたものとなっています。

こうした形式をCrowley氏は「ソーシャル・エコシステム」と表現。ゲームの内部とリンクしていながらもゲームそのものではないため、商品プロモーションの幅が広がることも利点とします。ファンタジーゲームの世界でコーラを売ることはゲームの世界観にそぐわないため不可能だが、ゲームとリンクしたSNSであればそれが可能であると例を挙げ、ゲーム内広告が陥っていた問題への解決策を提示します。また、『LOR』の世界をグーグルマップのAPIを使用して表示し、コミュニケーションに役立てるなどの手法も提案します。

新たな世界で鍵となるのは、ナチュラルにデジタル技術を使う「ボーン・デジタル」世代であり、彼らは経験を共有したがっている。そのためにSNSとゲームを融合させた「MMO2.0」が必要であるというのが今回の講演のまとめ。Crowley氏は「MMO2.0」の世界はどこへ向かっているのか分からないが、きっと豊かなものとなるだろう……としめくくりました。
《水口真》

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