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Shoot It! - #052 北京オリンピック公認のEスポーツ大会!

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Shoot It! - #052 北京オリンピック公認のEスポーツ大会!
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北京オリンピックの公認競技としてEスポーツ大会が開催されます。2月15日にCNNが報じたニュースによると、米国でGGL Global Gaming (GGL)というベンチャー企業を興したテッド・オーエン氏が中国のオリンピックオーガナイザーと正式に調印しました。GGLと中国インターネットゲーム協会(CIG)、OOOC(中国国際友好同盟、中華全国婦女連合会、中国文芸同盟など中国政府関連7団体)は北京オリンピック期間中の最初の4日間、8月8日から12日まで上海で『デジタルゲームズ』という国際トーナメントを協同開催します。また、そのプロモーションのために北京オリンピックの商標の利用が認められました。オリンピックの公式競技になったわけではありませんが、北京オリンピックの公認のイベントになったわけです。そこで今回は中国のEスポーツに対する考え方、GGLという企業についてまとめてみました。

日本では韓国のプロゲーマー事情がたびたび報道されます。しかし中国も盛り上がっています。中国のEスポーツ発展のきっかけは、2003年の11月に中国国家体育総局がEスポーツを「99番目の体育種目」として認定したことです。中国では1998年に麻雀も体育種目として認定しています。このことからも、中国が「体育」の定義としてブレインスポーツを含んでいることは間違いなさそうです。欧米でも「スポーツ」は広範囲の競技を示し、国際オリンピック委員会の公式種目にはチェスやコントラクトブリッジ(トランプ)なども採用されています。中国にとって「体育」は、日本の「体育」よりも欧米の「スポーツ」に近いと思われます。中国では「脳」も「体」のうちなのでしょう。

中国の経済、社会の急成長ぶりは日本でも多くのメディアが報道しています。それはITやブロードバンドの普及においても例外ではなく、オンラインゲームの広まりも同様です。実は中国のオンラインゲームのブームは台湾や韓国とほぼ同じ時期、1999年から2000年ごろです。すでに韓国ではプロゲーマーが活躍しており、2000年は韓国で『ワールドサイバーゲームズ(WCG)』が開催されています。このころ中国では台湾や韓国の企業が進出しており、中国政府は国産のオンラインゲーム産業の育成に乗り出していました。当時の日本の状況は、欧米製のPCゲームの平行輸入版を手に入れた、限られた人がオンライン対戦を楽しむ程度でした。Eスポーツどころかオンラインゲームの分野では、日本より中国のほうが進んでいたわけです。韓国と中国はゲーム産業、オンラインゲーム、Eスポーツにおいて国が積極的に関わっています。この部分、日本とはまったく異なります。

北京オリンピックでEスポーツが採用されるかもしれない。その噂は2003年から始まりました。先に述べた通り、2003年に中国国家体育総局がEスポーツを認定しました。この中国国家体育総局は、1998年3月に国家体育運動委員会を改組した組織です。この体育総局は産学協同で中国スポーツ界初の全国調査を実施し、国民のスポーツの認識向上と普及に取り組みました。そして、1998年11月に北京市が2008年オリンピック大会招致の申請書を提出します。これにより中国オリンピック委員会と中国国家体育総局のオリンピックへの取り組みが始まりました。その経緯の中でEスポーツを体育として認定したわけです。これは中国政府がEスポーツを他のスポーツ並みに重く見ている証拠です。ちなみに2007年にアジアオリンピック評議会が開催したアジア室内競技大会は中国のマカオで開催され、中国代表選手が金メダルを独占しています。

今回、北京オリンピック公認イベント『デジタル・ゲームズ』を運営するGGLは、5年前にサンタモニカで発足したベンチャー企業です。世界的規模のプロフェッショナルオンラインゲーム大会『Global Gaming League』を主催するほか、Eスポーツ情報を網羅するポータルサイト『GGL.com』を運営しています。米国内ではゲームタイトルごとの賞金付き大会を次々と成功させており、毎月延べ920万人のゲーマーが参加しています。GGLのスポンサーには日本でも知られているIT企業やコカコーラなどが名を連ねており、GGLは広告や大会運営で得た収益をEスポーツ分野に再投資しています。傘下にはゲーマー用ファイルダウンロードサイト『FILECLOUD』、ゲームプレイヤーのコミュニティの老舗『CLANBASE』などがあり、このほかにもスポンサー不足で閉鎖の危機を迎えたEスポーツ関連サイトを支援しているようです。世界のEスポーツの中心的存在とも言えそうです。2007年6月にはアメリカ陸軍が200万ドルでGGLのスポンサーになりました。アメリカ社会でもEスポーツが注目されていることの証左ですが、米軍がスポンサーとなっている企業に対し、中国がオリンピック関連の事業を認可するというのも興味深いところですね。

Digital Games のオフィシャルサイト。北京オリンピックのロゴがある


GGLの代表、テッド・オーエン氏の北京オリンピックへの働きかけは2006年から始まっていました。GGLは2006年にAOLとの業務提携が報じられており、その記事中で北京オリンピックへの働きかけや中国サイドからの好感触が伝えられていました。『デジタル・ゲームズ』はその努力が実った結果だといえます。開催地はオリンピック開催の北京ではなく上海ですが、上海ではオリンピックのサッカー競技予選のうち何試合かが開催される予定となっており、オリンピックに無関係ではありません。また、3日の中国国内の報道によると、北京五輪組織委員会が「いつかは上海を申請したい」語ったそうです。『デジタルゲームズ』が上海大会の先鞭を付ける形になるかもしれません。

『デジタルゲームズ』は今後、北米、南米、アジア、ヨーロッパ、中央アフリカの5ブロックで予選を行い、上海でグランドファイナルを行います。オリンピック"公認"であるだけに競技種目が気になるところです。今のところ公式サイトにゲームタイトルの発表はありません。サイト内の掲示板で「どんなゲームが見たいですか」という呼びかけについて300以上のコメントが寄せられています。実際の対戦ゲームの人気を反映して『コールオブデューティ4』という意見が圧倒的に多く、続いて『カウンターストライク』『クェイク4』『スタークラフト』『ニードフォースピード』などのタイトルが挙げられていました。主催者は「Sports、FPS、RTSのすべてをオリンピック精神に則って競技する」と明言しています。オリンピックの主旨に則るならリアルスポーツのゲーム版に落ち着きそうですし、アジア大会でもサッカーゲーム、バスケットボールゲーム、レースゲームで開催されました。戦争というテーマ、対人射撃というスタイルのFPSがオリンピック公認競技となれば、Eスポーツに社会の認識について一石を投じることになりそうです。

さて、北京オリンピックまであと5ヵ月になりました。世界のアスリートたちが代表権獲得を目指して闘っています。DGにチャレンジするEスポーツアスリートも闘っています。アジア予選では開催地の中国、プロゲーマーの韓国が優勢でしょうか。日本は昨年のアジア室内競技大会の予選が開催されず、いまだにオリンピック関連競技から遠い状態です。日本Eスポーツ協会準備会(JESPA)からはなにも発表がありませんが、淡い期待を抱きつつ、アジア予選の動向を見守りましょう。
《杉山淳一》

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