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セカンドライフバブル、崩壊してもゲーム広告に影響なし 〜JOGA長沢潔氏インタビュー

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セカンドライフバブル、崩壊してもゲーム広告に影響なし 〜JOGA長沢潔氏インタビュー
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2007年6月28日に始動した日本オンラインゲーム協会、その中の分科会として、ゲーム内広告に関する分科会が設置されました。今回、同協会の理事をつとめる長沢潔氏(ジークレスト代表取締役社長)に、分科会の目的や今後についてお話しを聞きました。



―――今回、日本オンラインゲーム協会の分科会としてゲーム広告に関するものが設置されました。第一陣として立ち上げられたことは期待の高さということの反映かと思いますが、オンラインゲーム事業者にとってゲーム広告とはどのように位置づけられるのでしょうか?

オンラインゲームという業態は、月額無料・アイテム課金が主流になってきたことで、課金ユーザーは一部で大多数は無料となっています。収益化していく上で、一部に頼りすぎていた傾向があり、それ以外の部分もうまく収益化して全体的によくしていくことで、収益の全体最適をはかり、サービスの継続性を確保することでユーザーの皆さんにとっての価値もあげていけると考えています。

それとは別に、オンラインゲームの事業者は、ユーザーと事業者の直接的な関係の中で事業を展開してきたということもあり、第三者から見えにくいビジネスだった。しかし、広告というビジネスモデルを加えることで見えてくるものがあるんじゃないかと。単純にビジネスとしてではなく、ユーザーではない人たちに対してのオンラインゲームの認知のクオリティを上げていくためにも、そういう動きは必要でしょう。

―――広告を受け入れることでオンラインゲームの認知を高めていくという狙いがある、と。

それは副次的な効果ですね。最終的には収益を挙げていくことが目標で、会員規模を利用して収益化していくことです。

協会は側面支援的な役割で、メディアとして認識されるために必要な活動や数字のとりまとめをしていきます。どうしても出せない数字がある場合には、その数字を出さずにメディア化していく方法を検討したりもします。メディアシート的なものを作る必要があるかもしれません。

インターネット広告は数字がしっかりしていて、それが市場を広げてきた面がありますが、オンラインゲームではとれない数字も多い。個人的な感覚では、一つの世界に数万人がいて活動をするということで、マルチビジョンやビルボードに近いかなと思っています。オンラインゲーム広告の定義付けをきちんとおこなって、オンラインゲームの特性を前面に出した広告メニューのありかたを考えていく必要がある。

ネット以外の媒体では、テレビの視聴率にしてもビルボードにしても、実際に誰が見ているのかであったり、クリックとか購買は追えないわけです。でも、人数とか属性が正確でないにしてもメディアシートに載っている。購買に直接結びつけるというよりも、ブランディングですね。

―――「ブランディングに適していますよ」というのは、媒体的に数で売るのと比べて、クライアントへの訴求が難しそうですね。

事例の積み上げであったり、適性の認知がついてこないといけない。広告媒体としてある程度認知されるには時間がかかるでしょう。そうしていく中でメディアとしてできあがっていく。

オンラインゲームのビジネスはほとんどがB2Cですから、ユーザーをないがしろにすることはできない。あくまでプラスαとしてのゲーム内広告であり、極端に不利益をもたらす広告や、世界観を崩すようなものは厳しいでしょう。コンテンツによる向き不向きはありますが、極端な世界観の中ではリアルな商材は難しいかもしれません。

ジークレストでも、人材紹介系のクライアントにアルバイト紹介の広告を出してもらったことはありました。@gamesのユーザは10代が多く、インセンティブも加えて興味を持ってもらって、サイトに登録してもらったりしました。手前味噌だけど比較的綺麗な流れでしたね。

―――ユーザーの反応や、それに対するクライアントさんの評価はどうでしたか?

どちらも悪くはなかったですが、広告媒体として確立するだけのインパクトを与えるほどではなかったかもしれません。

―――オンラインゲームでの広告は、開発やオペレーションにコストがかかりそうですね。

カスタマイズが必要なのか、単純に載せるだけでいいのか。コンテンツによっても、制作コストが大きく変わってくるところですね。そこの負担をどうしていくのか。広告の価格に乗せておくのか、別途支払うのか。ここは検討を続けていく必要があります。ゲーム広告はある意味黎明期ですから、話し合いを重ねていく中で方向性が確立していくのかなと思っています。

クライアントソフトの変更となると大変ですが、ローディング画面なら差し替えやすい。公式サイトならよりネット広告に近い扱いもできます。なので、単純に「コストかかるよね」という風にはならない。多種多様な選択肢が存在するはずです。

オンラインゲームの特性については、ゲームそのものはイメージされやすいものの、広告媒体としてみた場合にどう捉えるかはまだこれからです。メディアとして成り立たせるには、代理店やクライアントにも認知してもらう必要がある。これまでは事業者とユーザーの間だけで会話を成り立たせていたところを、今後は一般的なメディアに使われる言葉にうまくコンバージョンさせてアナウンスしていくことが必要なのかなと思っています。

―――広告プラットフォームとしても大きく注目を集めたセカンドライフが、日本ではあまりうまくいっていないとの指摘が出始めています。これはオンラインゲームの広告にとって逆風になりませんか?

セカンドライフによって「3D世界を活かした広告」」がイメージとして認知されるようになったのは歓迎すべきだと思っています。セカンドライフの現状については規模感の問題もあると思うし、継続的に使われるような仕組みについてもまだ改善の余地はあるのかなと。

オンラインゲームには、セカンドライフよりも日本人の参加者数の大きいものがたくさんありますし、うまく埋められなかった溝をオンラインゲームの規模感で埋めていけるのかなと思います。ゲーム内広告の価値が落ちたということはないと思いますよ。

―――初音ミクのようにUGC(User Generated Content / 利用者が作ったコンテンツ)でブレイクした製品も出てきていますが、こういったUGCを活用したゲーム内広告というのはありえるのでしょうか?

どういったUGCを作ってもらえるようにするのか、自由度とかゲームバランスとかを考えると大規模改変が必要で、我々事業者がアイテムを作って出していくよりもかなり大きな話になってしまいます。また、自由度が高くなると付随する問題も出てくるでしょう。

ただ、厳密なUGCではないですが、ユーザーに能動的に動いてもらってクチコミをブーストしていく流れは作りようがあるかもしれません。以前、弊社のセルフィで展開したプロモーションではセルフィの衣装をプレゼントしたのですが、ユーザーはものがよければ広告と知っていても、着て、歩き回ってくれるんですね。「面白い」という分かりやすいインセンティブによって、クチコミを誘発する流れを作ることができるわけです。

ちなみに、利用者属性についてもイメージ先行のところがあるので、協会として、タイトルや事業者それぞれについて正確な理解をしてもらえるよう情報を出していく必要があると考えています。普及が進んでいくと、ユーザー層は「オンラインゲーム」で一般にイメージされるものとかなり違ってきます。たとえば弊社のバルビレッジは、コアユーザーには全く受けない。ライトユーザー層がターゲットになって、ユーザーの8割が女性です。オンラインゲームに慣れたユーザーというよりは、過去やったことがないユーザーがほとんどです。8〜9割が男性、という一般的なタイトルの傾向とはずいぶん違っています。

今後は、ステレオタイプというかイメージをいったん外して、オンラインゲームの媒体特性をきちんと立てていくことが重要ですね。

―――ありがとうございました。
《伊藤雅俊》

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