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Shoot it! - #034 ゲームのための液晶ディスプレイ LCD-MF241X

アイ・オー・データ機器の液晶ディスプレイユニット担当をしている太田和宏さんからメールを頂きました。その内容は「新しい24型ワイド液晶デスプレイを発表します。ぜひ見に来てください」というもの。「特にゲーマーを意識したモード等を搭載したモデルです」と添えられていました。これは楽しみ。さっそく発表会にお邪魔しました。

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アイ・オー・データ機器の液晶ディスプレイユニット担当をしている太田和宏さんからメールを頂きました。その内容は「新しい24型ワイド液晶デスプレイを発表します。ぜひ見に来てください」というもの。「特にゲーマーを意識したモード等を搭載したモデルです」と添えられていました。これは楽しみ。さっそく発表会にお邪魔しました。




ボディはブラックとホワイトの二種類ある


太田さんにはこのコラムの第25回「最新のゲーマー用液晶ディスプレイを試す」でお世話になりました。最新機種を貸して頂くだけではなく、私が何度も送った質問メールにも丁寧に応えて頂きました。あの時、私は「液晶ディスプレイの性能は液晶シャッターの速度だけではなく、高画質回路に関する問題だ」と教わりました。そこで、もういちど液晶ディスプレイについておさらいしておきましょう。

ブラウン管式ディスプレイは、電子銃から光の三原色に対応したビームを発射して画面を照射します。これに対して液晶画面は光の三原色それぞれにシャッターを取り付け、その開閉で色の明るさを調整します。液晶ディスプレイは軽くて省スペースで省電力です。良いことばかりだと思いますが、実は弱点もあります。映像の反応速度がブラウン管より遅くなります。光の点滅と機械的なシャッター開閉の速度差が出てしまうからです。

初期の液晶画面は動きの速い映像を表示すると残像が出たり、にじんだりしました。アクション映画やアクションゲーム、スポーツ中継を楽しむ人は液晶を避ける人も多かったようです。しかし現在は液晶シャッターの速度が大幅に向上しています。液晶の反応速度という意味では、ブラウン管に遜色ない性能だと言えるでしょう。

しかし、それでもまだ液晶画面に納得できない人が居ました。アクションゲームのプレイヤーたちです。なぜか。それは液晶ディスプレイには「遅延」現象が起こるからです。液晶ディスプレイは映像の信号を受け取ると、その信号に忠実な映像を再現するために、高画質回路で画面を補正してからシャッターの開閉をコントロールします。この高画質回路を通すと、映像信号が画面に表示されるまでミリ秒の単位で時間差が生じます。これが「遅延」です。これはアクションゲームを極めようとする人にとっては重要な問題といえるのです。

画面に敵がいる。そこに向かって撃つ。しかし、画面にいる敵はミリ秒前の位置です。照準もミリ秒前の位置にあります。画面の敵に照準を合わせて撃ったとしても、ミリ秒で敵が動いてしまえば、誰もいないところに向かって撃つことになります。つまり、撃っても撃っても当たらない、というわけです。これはノンビリと遊んでいる人には気付きにくいことかもしれません。自分も相手も動きが緩慢ですから、当たらないということはまずありません。しかし、ゲームの上達者同士なら歯がゆく思うはずです。海外で賞金を稼ぐようなEスポーツプレイヤーにとっては成績に関わる深刻な問題です。ゲームプレイヤーにとって遅延は敵、つまり、遅延のある液晶ディスプレイは敵というわけです。

さて、話を戻しましょう。6月27日に発表されたアイ・オー・データ機器の新型液晶ディスプレイ『LCD-MF241Xシリーズ』には、アクションゲームプレイヤーのために「ゲームモード」を搭載しました。このゲームモードこそ、アクションゲーマーのために考えられた「遅延」を軽減する機能です。簡単に言うと、遅延を減らすために高画質回路の機能の一部をキャンセルし、入力された信号をできるだけ早く映像化させます。つまり、映像をきれいに見せるための処理を敢えて取り除きます。足し算ではなく引き算の発想です。



ゲームモードの紹介(スライド)



ディスプレイを作る技術者たちは、美しい映像を再現するために努力します。したがって、高画質回路はどんどん複雑になり、遅延していきます。LCD-MF241Xシリーズはゲーム専用ではなく、映像、画像関係の専門職にも耐えられる色表現力を持ちます。映画もハイビジョンも美しく表示できます。それだけの高画質回路を搭載しつつ、それらの機能の一部をカットする機能も搭載しました。ゲーマーに満足してもらうためにです。

太田さんに質問してみました。
「遅延を減らすために具体的にはどんな処理をキャンセルしているのでしょうか」
「うーん、それは企業秘密ですね(笑)」

もうひとつ意地悪な質問をしてみました。
「素人考えかもしれませんが、どうせなら、高画質回路そのものをキャンセルしても良かったのではありませんか」

太田さんは絶句しつつ、
「もちろん、高画質回路そのものをキャンセルしても映像を映せます。しかし非常に画質を損なう結果になるでしょう。私たちは遅延を減らしたい。しかし、快適に遊べる絵作りを目指しました。私たちはどちらも大切なことだと考えています」

私はこの答えには納得しました。このLCD-MF241Xシリーズをクルマに例えるならスポーツカーです。しかしサーキットを走る車ではありません。サーキットを走る車は限界まで速く走るために軽量化し、サスペンションを固くして安定させます。クーラーもオーディオも、シートや室内のクッションもすべて取り外します。これなら確かに速くなりますが、そのクルマでドライブしても楽しくないですね。快適装備を残しつつ、いかに速さを追求するか。そのバランスの答えがLCD-MF241Xシリーズのゲームモードなのでしょう。



アーマードコア4を使ってゲームモードをアピール



LCD-MF241Xシリーズはゲームモードの他にも、ゲーマーにとって快適な機能を持っています。例えばドットバイドット機能です。入力信号の解像度をそのまま表示します。せっかくの大型ワイド画面だから、解像度にかかわらず画面いっぱいに表示させたい。しかし、ゲーマーにとってはゲーム本来の画面を見たい。そこでドットバイドット機能は余計なことをせず、小さな解像度は小さなまま表示します。もうひとつ、これとは反する考え方ですが、ドット2倍ドット機能があります。小さな画面サイズのゲームを縦横2倍に拡大して表示します。これはPCからの入力のみに有効な機能です。この機能は昔の低解像度ゲームを拡大して楽しむことができるモードです。

入力系統にHDMI端子とD5端子があります。これはPS3とWiiとXbox360を同時に接続できることを示します。PC用にはD-sub端子、HDCP対応DVI-C端子、ビデオデッキと繋ぐコンポジット端子もあります。親子画面機能によって、これらの入力映像を自由に組み合わせて表示できます。子画面は16:9表示と4:3表示に対応し、サイズは3段階を選択可能。子画面は透過表示が可能です。対戦ゲームで相手を待っている間に別のゲーム機でロールプレイングゲームを遊ぶ。PCで攻略画面を参照したりチャットをしながらテレビゲームで遊ぶ。そんな楽しみ方もできそうです。



PS3、Xbox360、Wii、PCがすべて繋がっていた



しかしゲーマーにとって、LCD-MF241Xシリーズで何よりも重要なことは遅延を減らす努力です。発表会で展示されたLCD-MF241Xシリーズはまだ試作品で、量産直前までファームウェアのチューンナップ作業が続くそうです。出荷バージョンが完成したら、前回のようにお借りしてじっくり試し、またここでレポートするつもりです。
《杉山淳一》
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