人生にゲームをプラスするメディア

【Sales INSIDE】第4回 ゲームの自主規制区分に関して

ゲームビジネス その他

Sales iNSIDE第4回はゲームを販売する側に大きな影響がある、「ゲームの自主規制区分」に関して書きます。

新しいレーティングの導入

つい、数日前に発表されたニュースですが、

ゲーム規制:自主規制区分に「18禁」を導入 CESA、3月から

というニュースがありました。簡単に内容をまとめると、今まで「全年齢」「12歳以上」「15歳以上」「18歳以上」推奨という形で発売されたいたゲームソフトが、「全年齢」「12歳以上」「15歳以上」「17歳以上」のA〜Dという風に変わり、さらにZ区分として「18歳以上のみ」が追加されるという内容です。

今までとの最大の違いは、これまでは「●●歳」推奨(つまりそれ以下の年齢でも買うことは可能)がZ区分にのみ限り18歳以上購入できなくなるという内容です。つまり、タバコやお酒と同じように、一般家庭用ゲームでも「18歳未満に販売禁止」になります。この制度は3月1日からソフトのチェックが行われ、5月31日から実際に適用されるという問題です。

実はここに至るまで様々な経緯や問題ありました。それについて振り返ると共に今後予測される事に関してみて見ましょう。

「CESA」そして「CERO」の役割とは?

さて、そもそもこういったレーティングをしている「CESA」とは何者か?「CESA」とは「COMPUTER ENTERTAINMENT SUPPLIER'S ASSOCIATION」日本語にすると「社団法人コンピュ−タエンタ−テインメント協会」という協会です。この会社にはほとんどの大手ゲーム会社が参加しています。会長は現在カプコンの社長を務める「辻本氏」です。CESAが行う主な活動して有名なのは「東京ゲームショー」そして「CESA Game Awards」でしょう。実はこの団体に「任天堂」は参加していないため、東京ゲームショーに参加していないという経緯があります。(任天堂がなぜ参加してないかに関してはまた別の機会に)。

またこの「CESA」はいくつかの関連団体があり、ソフトウェアの著作権に関する団体「ACCS」、アミューズメントマシーンに関するイベントや環境整備を行う「JAMMA」、そして今回の自主規制区分に関する審査を実際に行う「CERO(PUTER ENTERTAINMENT RATING ORGANIZATION)」特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構などがあります。

ではこの審査を実際に行う「CERO」について詳しく見てみましょう。「CERO」は2002年6月に設立され、現在は以下の機器のソフトを対象に審査を行います。

株式会社セガ ドリームキャスト

株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント プレイステーション、プレイステーション2、プレイステーション・ポータブル

任天堂株式会社 ニンテンドウ64、ニンテンドーゲームキューブ、ゲームボーイ(カラー含む)、ゲームボーイアドバンス、ニンテンドー・ディーエス

株式会社バンダイ ワンダースワン(カラー含む)

マイクロソフト株式会社 Xbox、Xbox360

パソコンメーカー各社 パーソナルコンピュータ(対応OS: WINDOWS各種、MAC各種)

見ての通り任天堂のソフトも入っており、CESAの会員にはなっていないものの、CEROの会員にはなっています。

今までは、サイトに書いてあるとおり

http://www.cero.gr.jp/rating.html 表示する「年齢区分マーク」は、CERO倫理規定に基づいて審査され、それぞれの表示年齢以上対象の内容が含まれていることを示しています。ただし、表示された年齢により購入を規制するものではありません。購入の際、情報としてご活用頂くものです。

との事ですが、これが最初にお知らせしたように内容が5月31により変わります。

審査の基準とその問題点

では、今まで(そしてこれからも)どのような基準・方法で審査をしていくのか見ていきましょう。基本となるのはCERO倫理規定 (pdf 22.6KB)http://www.cero.gr.jp/regulation.pdfを元に行われています。表現の度合いによりレーティングが決まります。暴力表現・性表現・反社会的行為などが区分の対象となります(詳しくは上記のpdfをご覧下さい)審査方法ですが、一般の人を募集し、CEROによるトレーニングを受けた人が審査をします。メーカーから提出された1時間程度のビデオを3人で見て、その結果により区分を決めます。ちなみに審査料金は1本あたり会員で7万、非会員で10万円となります。また発足から2年間の間で、全年齢対象が66.9%、12歳以上対象が12.3%、15歳以上対象が13.4%、18歳以上対象が7.4%の比率でレーティングが行われています。

読んでの通り、この審査方法でよいのか?という疑問はあります。実際にゲームを遊んでいないし、メーカーが撮影したビデオを基準に判断しているため、暴力描写が強いところをビデオにしないという方法も現実的には可能です。また、あくまでも「推奨」のため、その効果の程は疑問です。

そう思った人たちは大勢いました。このゆるい基準に関しては遊ぶ側もメーカー側も特に不利益をこうむらないため良かったのですが、黙っていなかったのが自治体でした。最初に大きな動きが起きたのは2005年5月。カプコンより発売されている『グランド・セフト・オート3』を神奈川県が県青少年保護育成条例に基づく「有害図書類」に指定したのです。これにより、このソフトを神奈川県で18歳未満に販売するのは違法(罰則はないですが)になりました。

この動きを受け、千葉県や京都府などでも同じような動きが出てきました。いうなれば「CERO」には任せておけないという判断が下ったのです。ゲーム業界内で自主的にたちあげたレーティングが機能しなくなるのは遊ぶ側にとってもデメリットが大きくなります。今までは(まだ)ゲーム業界を知っている人たちが管理していたものが、全くそういった物に詳しくない人たちが判断をするという事実が生まれてしまいます。

このままでは当然よくないと、「CESA」も実質的に18歳以上のゲームソフトに身分証提示を求める自主規制策を2005年7月より実施しはじめました。しかしご存知の通り(というか誰も知らないという事実から)これが実際の店舗で実施されているかというと、ほどんどそのような現実はありませんでした。これはあくまでも、「販売自粛」という内容だったためです。

「CERO」の方では一番最初に記述した新しいレーティング(Z,A,B,C,D)を2005年12月に東京都が開催する「テレビゲームと子供に関する協議会」で提唱しました。これについて更に議論を重ね、「CERO」から自治体に報告をするという形で終了。この返答が遅れたため、東京・神奈川・埼玉・千葉の4都県で共同でゲームソフトの規制に乗り出すという発表が2006年1月10日に行われました。現在に至るまで、この発表以降、具体的な動きはまだありません。

そんな中、ようやく「CERO」が発表したのが、一番最初に記載したニュースになります。

新しいレーティングによる影響

昔、セガサターンでは「18歳未満禁止」のソフトが発売されていました。しかし、その当時はセガサターンのみで、またソフトの数もそれほど多くない事から大きな問題にはなりませんでした。しかし、今回は今までのソフトも対象になり、また数多くのハードが対象となります。

店舗側から見た場合に困るのが、身分証明書を求める手間と、18歳未満禁止のソフト販売エリアを専用に作ることです。これにより店でのレイアウトも大幅な変更になるところが増え、小さいゲームソフト屋などは扱う場所を作ることに困ったり、それこそ18歳未満禁止のソフトを販売しなくなる可能性があります。

また、審査方法も今まで通りという事で、「18歳未満推奨」ではなく「18歳未満禁止」(18歳未満への「販売自粛」から「販売禁止」への変更)に対する責任の大きさに果たして耐えられるか、また適切であるかが疑問です。もちろん、青少年の育成という名目があり、それを実施するのは大切な事であります。今回のレーティング導入により、自治体との問題が解決されることを願っています。このレーティング制度が失敗したら、いよいよ全国規模の自治体による管理が行われることになると思われます。

おまけ:現在「18歳未満推奨」に指定されているソフトは131本 http://www.cero.gr.jp/search/search.cgi?chkRT=18%BA%CD%B0%CA%BE%E5%C2%D0%BE%DD&name=&txtCP=&sort=7

任天堂ハードで発売されているソフトで「18歳未満推奨」に指定されているソフトは4本

・killer7 カプコン GC
・バイオハザード4 カプコン GC
・バイオハザード CODE:Veronica 完全版 カプコン GC
・バイオハザード Deadly Silence カプコン NDS

任天堂が販売しているソフトで、「18歳未満推奨」のソフトは0本

「15歳以上推奨」のソフトは1本GBA『ファミコン探偵倶楽部PART2 うしろに立つ少女 前後編』(「非合法な飲酒・喫煙」の表現により15才以上対象)

「12歳以上推奨」のソフトは3本。GC『メトロイドプライム2 ダークエコーズ』(「身体の分離・欠損描写」「殺傷」の表現により12才以上対象)、GC『突撃!!ファミコンウォーズ』 (「殺傷」の表現により12才以上対象)、GC『バテン・カイトスII 始まりの翼と神々の嗣子』(「出血描写」「虐待行為」の表現により12才以上対象)

となっています。
《土本学》

編集部おすすめの記事

ゲームビジネス アクセスランキング

  1. ニュース風の映像が簡単に作れる「アバターエージェントサービス×Live2D」―メガネっ娘アナウンサー

    ニュース風の映像が簡単に作れる「アバターエージェントサービス×Live2D」―メガネっ娘アナウンサー"沢村碧”が生まれた背景とは?

  2. インターネットから自由が消える……法学者 白田秀彰氏インタビュー

    インターネットから自由が消える……法学者 白田秀彰氏インタビュー

  3. ダイバーシティでVR『バイオハザード7』を体験するチャンス!ジャック・ベイカーの等身大フィギュアも登場

    ダイバーシティでVR『バイオハザード7』を体験するチャンス!ジャック・ベイカーの等身大フィギュアも登場

  4. 【TGS2017】中国産スマホゲームの日本進出を語る!「進出しない理由は無い市場」

  5. 技術と企画の幸運な出会い・・・NHN JapanとCRIのコラボレーション『倉木麻衣★ムービーパズル』

  6. VRの伝道師、GOROmanこと株式会社エクシヴィ代表取締役社長 近藤義仁氏が語る、国内におけるVR向けHMDムーブメントのこれまでとこれから―中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第46回

  7. 【TGS2016】二次元美少女に触れられるVRデモ、壊れる

  8. ゾンビになって映画を一足先に体験!?VR映像『BIOHAZARD VENDETTA : Z Infected Experience』5月24日配信

  9. デジタルハーツ、4Gamer.netを運営するAetasを8億円で買収

  10. 【インタビュー】KLabに訊くプロジェクト管理ツール「SHOTGUN」導入事例―管理業務の負担を半分に削減?!

アクセスランキングをもっと見る