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【電脳遊戯資史料集】第2回 『R』へ至る鋼鉄の名馬達の軌跡(中編)

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『ポールポジション』によるレーシングビデオゲームの幕開けから11年。『リッジレーサー』の誕生によってその萌芽を始めたその系譜。ここでは、『R : Racing Evolution』にいたる2つの系譜の内、ドラマチックに世界を走り抜け、スタイリッシュに演出された「エモーション」の系譜を特にコンシューマ向けゲーム機向けのものに焦点を当てて振り返る。

1994年『リッジレーサー(PS)』
ゲームセンターにてその姿を現してより2年後、『リッジレーサー』はプレイステーションの同時発売ソフトとして再びその姿を現すこととなる。「システム22」基盤を導入することによって達成された、高性能グラフィックスワークステーションに匹敵する演算・描画性能。『リッジレーサー』の持つ表現力はこの「システム22」導入により可能になったと言っても過言ではなく、当時存在した家庭用ハードでは『リッジレーサー』の移植は不可能とされていたが、世に言う「次世代ゲーム機戦争」の始まりともいえるプレイステーションのリリースと、ともにその不可能が可能となる形でエモーションの系譜への第一歩が歩み出される事となる。

また、プレイステーションへの移植にあたってはローディング中にプレイ可能なおまけゲームとして「ギャラクシアン」が搭載された他、エクストラコース、ミラーコースなどのオリジナルコースの採用、更に敵カーや“ゴキブリ”の異名を持つ史上最強の「デビルカー」を操れるなど様々な仕様が盛り込まれていた。

1995年『リッジレーサー レボリューション(PS)』
その後継者として1995年に登場したのがプレイステーションオリジナル、『リッジレーサー レボリューション』である。不可能を可能とした前作の跡継ぎとしてリリースされた本作の最大の特徴は、やはり「本体と画面を2台用いての通信対戦機能」の搭載であるといえよう。今でこそ『アーマード・コア』シリーズや『カービィのエアライド』、さらにはインターネットを介した通信対戦などが実現されてはいるが、当時としては極めて画期的なことであった。なにしろメーカー御本人のサイトにおける「いかにすれば2P対戦が出来るか」というところに「対戦相手を1人連れてくる。(これ大事)」という注意書きがあるぐらいだ。いかにこのようなシステムがまだ新しいものであったかが窺えよう。

抜きつ抜かれつのデッドヒートを演出するバックミラーが追加され、ハンドリングに対応してフロントタイヤが動く他、様々な点で細部に改良が加えられている。また、都会を走る『リッジ』に対してリゾートを走る『リッジレボ』とも言われるように海岸や山など比較的自然の多い明るいイメージのコースが多いことも特徴である。

1996年『レイジレーサー(PS)』
『RR(リッジ)』、『RRR(レボリューション)』に続いて次は『RRRR』か?という噂があったかどうかはさておき、毎年プレイステーションの誕生日に発売されつづけたリッジレーサーシリーズの3作目がこの『レイジレーサー』となる。

本作の特徴はやはり「GP」モードに集約されると言えよう。全てのレースにおいて表彰台にあがることを目標に、レースによって得た賞金によって車をチューンしたり、時に買い換えたりして進めていく形を取っている。『リッジ』及び『レボリューション』においては元々がゲームセンターにおいて誕生したゲームであったため、用意されたコースをとにかく走れ、というゲームであったのに対して明確な家庭用ゲーム機向けのアプローチが組み込まれている。自らの車をカスタマイズできるという楽しみを組み込んだ反面車によって各コースのプレイ感覚が全く違ったものになってしまうという欠点もあった。

更に、『レイジ』のコースは、前作と比較してさらに起伏の度合いが増したものとなり、「立体交差」や「バンクカーブ」など様々な要素が増えている。それに伴い、勝敗の分かれ目はここにかかっているといっても言いほど、エンジン特性に基づいたシフトチェンジのタイミングが重要となっている。

1998年『R4 -RIDGE RACE TYPE4-(PS)』
プレイステーションも発売から4周年を迎えるに至り、デイトナUSA2等の業務用との差が開きつつある中でリリースされた『R4』。独特の操作感をもっていた『レイジ』とは異なり『リッジ』のそれに近いものとなっているのだが、ある意味において今後への反省を残す一本となった。メインコンセプトに「人それぞれのレーサー人生」、ビジュアルコンセプトに「現実(リアル)を超えた映像空間を走り抜ける」という事を設定し、レーサーの人生を演出した「グランプリモード」をゲームの中核に据えているのだが、バックにあるストーリーがどうしても弱く、極論単に流れに沿ってレースに臨む、ということになってしまっていることは否定せざるを得ない。クリアすると、レース結果によって使える車が増えるという仕組みでプレイヤーに対して目的設定を促すように作られてはいるが、登場車種は300種以上あるらしく、これを全て集めるには一体何周プレイしなくてはならないのだろうか。様々な能力値の違いに基づく多彩なマシン…といってもさすがに300種の全てがどこか他の299種にないメリットとデメリットを備えているとは考えにくい。新たなマシンを手に入れることによって以前のマシンの中には無意味になってしまうものもあるであろうし、それによって攻略法も通用しなくなる、さらにそれによってプレイ時間を食われてしまい、タイムアタックに挑戦する時間的・精神的スタミナを削がれてしまうなど弊害もまた大きかったのではないだろうか。

2000年『リッジレーサーV(PS2)』
プラットフォームをPS2に移し、PS2互換基板『System246』を使用してアーケードにもリリースされたのが『リッジレーサーV』である。『リッジ』がプレイステーションの同発タイトルであったことの韻を踏むように、今回もプレイステーション2の同時発売タイトルとして名を連ねていた。

プレイステーション2本体が発売される以前からアピールが重ねられた通り、数ある進化要素の中でも、目に見えてパワーアップを遂げたのはやはりグラフィックであった。車体と路面を飛び散る火花やテールスライド時のタイヤスモーク、半透明に透けるガラスなど緻密なディテールで描かれたビジュアルの数々は目を見張るものがあった。

本作においてもメインモードとなる「グランプリ」は、コースを転戦しながら勝ち進んでいくオーソドックスなスタイルで、多彩なコースや勝利条件が用意された中でバラエティに富んだ内容に。その他、特徴的な敵と対決する「デュエル」モードや画面2分割による2人同時対戦を行う「VSバトル」、そして「タイムアタック」、「フリーラン」など多彩なゲームモードを実装しており、またこれらはレースを勝ち進んでいくことによってモードが追加されるようになっている。「デュエル」モードでは、勝利後に相手の車を入手できるという『R4』におけるグランプリモードを継承した機構が残されている。

PSにおける初代『リッジ』より『リッジV』までの流れをみるにつれ、この系譜はやはりレーシングゲームに対して「爽快感」を求める系譜であると言い直すことが出来る。その最たる理由として『リッジ』において書かすことの出来ないテクニック、ドリフトの存在感の大きさがある。これをマスターしない限り、『リッジ』にて最速の走りには辿りつくことは不可能である上ギャラリーウケも非常によく、『リッジ』をたしなむ方々にとってまず最初の課題はこれをマスターすることとなっていたことだろう。しかし、ドリフトは実際のレースにおいては使えばよいというものではなく、むしろ派手なドリフトは最速の世界においては敬遠されてすらいる存在なのである。

レーシングシミュレータとしての方向性でなく、ゲームとしての面白さと爽快感。それを具体化してゆく具体的方策のひとつとして「ドリフトすることの面白さ」を選択し、「エモーション」の系譜を織りなした『リッジレーサー』シリーズ。紆余曲折はあったものの、間違いなく、様々な理想を掲げる多くのレースゲームの中で旗印を掲げつづけた旗手であると言えるだろう。
《織機 綺音》

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