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オンラインゲーム一週間『メテオス、ときメモ、A3……終わるオンラインゲーム、後発が苦しんだそれぞれの背景』

夏休みも本番。「Nea-Dea Online(ニアディアオンライン)」、「ブライトシャドウ」、「Secret Online(シークレットオンライン)」など様々な新作が登場する8月第一週ですが、その陰でいくつかのゲームが終了を迎えました。

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夏休みも本番。「Nea-Dea Online(ニアディアオンライン)」、「ブライトシャドウ」、「Secret Online(シークレットオンライン)」など様々な新作が登場する8月第一週ですが、その陰でいくつかのゲームが終了を迎えました。

キューエンタテインメントは、オンラインゲーム「メテオスオンライン」のサービスを2007年10月31日(水)に終了すると発表しました。「メテオス」は「星のカービィ」「大乱闘スマッシュブラザーズ」などで知られる桜井政博氏デザインのパズルゲーム。ニンテンドーDS版ではWi-Fi対戦が実装されていなかったため、マニアの間では、遠隔地との通信対戦ができる「メテオス」が希望されていました。しかしながら、現在のオンラインゲームの収益モデルは基本無料+アイテム課金となっており、パズルゲームとアイテム課金との相性も少なからず影響していたのではないでしょうか。

コナミは、オンラインゲーム「ときめきメモリアルOnline」において、2007年7月31日(火)にサービスを終了しました。恋愛ゲームの本家的存在「ときメモ」の世界がオンラインになった作品で、原宿に「ときメモ・カフェ『エコル』」を開店するなど、様々なプロモーションが話題となりました。「ときめきメモリアルOnline」においては、新規キャラクターがコミュニティに入りづらい場合があるなどの問題点がベテランプレイヤーから指摘されてきましたが、「ときメモ」シリーズのメインターゲットから男性が外れつつあることも大きいのではないでしょうか。「ときメモ」は当初、男子生徒が努力の末に女子生徒から告白を受けるという、男性ターゲットの作品でした。しかし、「Girl’s Side」以降は、主人公の女子生徒が男子生徒から告白を受けるという女性向けにシフト。2001年の「3」以降、男性向け「ときメモ」の完全新作がないこともあり(2006年発売のPSP版は新作ではなくPS版の移植)、新規の男性プレイヤーが育ちづらい状態にありました。現在のオンラインゲームは、プレイヤー人口などから見て男性主導。もしも「ときめきメモリアルOnline」のスタートが7年早かったとしたら、また違った結果が出ていたのではないでしょうか。

ガンホー・オンライン・エンターテイメントは、MMORPG「A3」において、2007年11月1日(木)にサービスを終了すると発表しました。「本物と錯覚するほどの社会性の高い仮想世界を築くため」、R-18(18歳以上指定)として2004年からサービスがスタート。2005年にR-18が解除され、2006年に「プロゲーマー」による賞金トーナメント導入が発表されるなど、様々な試みが行われてきた作品でした。大人のみがプレイできるR-18、上位プレイヤーが栄光を掴める賞金トーナメントなど、「選ばれた者」が手にできるフィーチャーが投入されてきたことを考えると、今回のサービス終了は、日本プレイヤー気質が「選ばれた者」に下した審判ともいえるのではないでしょうか。2004年〜2007年といえば格差社会が問題とされてきた時期でもあり、この辺りも無関係とはいえないでしょう。アフィリエイトやシェアウェアなど、「他者が成功すること」への強い風当たりが伝統的に存在する日本インターネットにおいて、「A3」のサービス終了は一つの教訓となるのではないでしょうか。

オンラインゲームを選ぶ基準は、ゲームの面白さだけでなく、ゲーム世界の安定性や民心と言ったものも含まれます。これは家やマンションを選ぶのにも似ている訳ですが、あまりにもサービス終了が連続するようであれば、ゲーム選びにおいて、これまでより安定性が重要視されることになるでしょう。安定性というのはサービスを続けた年月でしか獲得できないわけで、そう考えると先行タイトルの優位は永遠に覆せないこととなります。

サービス終了は仕方ないにしても、現時点で上述のような状況を打破するため、自社作品への誘導が行われています。今回取り上げた3作品にしても、「A3」では「「ラグナロクオンライン2」へのクローズドβテスト(正式サービス開始前に、人数を限定して行うテストプレイ)権がプレゼントされ、「ときめきメモリアルOnline」ではイベント参加者に「武装神姫」で使用できるポイントが贈られています。サービス終了の連続は、熱心なプレイヤーにこそダメージとなります。今後は、単なる移行推進ではなく、より柔軟なサービスが求められるのではないでしょうか。

《水口真》
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