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人々の予想を超えるエンターテイメントを提供していく・・・ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア 盛田厚プレジデント

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人々の予想を超えるエンターテイメントを提供していく・・・ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア 盛田厚プレジデント
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「プレイステーション」ブランドでゲーム事業を行う株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は、1993年の創立以来、日本と世界のゲーム業界を牽引してきた存在です。そのSCEの中で日本およびアジア地域を統括するソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア(SCEJA)のプレジデントを務めるのが盛田厚氏です。盛田氏はソニー創業者の盛田昭夫氏の甥にあたり、ソニー入社後にMSXの営業を担当するなどゲームとの縁は浅からぬものがあります。

PlayStation 4が世界市場で順調な立ち上がりを見せ、課題だった日本市場でもラインナップが揃ってきて2015年はSCEJAにとって勝負の年になるのではないでしょうか。3月中旬、品川のオフィスで盛田厚プレジデントにお話を伺いました。

(聞き手 黒川文雄)



―――SCEJAのプレジデントに就任してから約半年が経ちました。「プレイステーション」を取り巻く環境が大きく変化しているタイミングに思いますが、どのように感じられていますか?

近年、「日本のゲーム市場は今後どうなっていくのでしょうか?」と聞かれる事が増えています。背景にはインターネットやモバイル端末の普及があって、従来型の家庭用ゲーム機だけの世界では無くなってきているという事があると思います。私はシンプルに、どんな端末であってもゲーム人口が増えていくのは良い事であると考えています。色々なデバイスを上手く融合して新しい楽しみ方を作っていきたいと、とても前向きに捉えています。特に日本市場は、長年ゲームに親しんできた背景がありますので、そうした遊び方が受け入れられる可能性が高いと思います。

SCEJAのプレジデントに就任して、確かに課題は沢山あると感じています。その一方で、やれる事も沢山あると確信が持てましたので、ワクワクしています。

―――これまでは気が付かなかった可能性も感じるようになったと。

私だけではなく、沢山のスタッフが頭の中で描いていたものが、技術が追い付いたり、環境が整ったりしたことで、実現できる可能性が高くなっていると思います。

―――技術的な進歩という面では、VR(バーチャルリアリティ)が注目されています。SCEでも「Project Morpheus(プロジェクト モーフィアス)」というVRシステムの試作機を開発中です。VRについてはどのように捉えられていますか?

VRという言葉自体は昔からあったものの、技術的に実現性が高まってきたのは近年のことです。「Project Morpheus」では、周囲をすべて仮想空間にして、自分自身がゲームの世界に入っている体験を味わえますが、まだ最終形ではなく、これからどのように広げていくかが課題になってきます。また、今の技術が完成形かというと、やはりまだまだ技術は進歩していくので、もっと先があると思います。

ただ、体験していただいたユーザー様やクリエイターの方々の反応は非常に良いですね。これまでも私たちは、エンターテイメントで人々を驚かせることを目指してやってきたのですが、実際にここまで驚いていただけたことは凄く嬉しいですね。クリエイターの方々が刺激を受けられたということは、新しい体験が生まれる土壌ができているということなので、私たちとしては新しい発想が潰れてしまわないよう、いかに刺激し続けていくかが大切だと思っています。

―――最近ではインディーのクリエイターを大事にされていて、VRの分野でもインディーズの才能を積極的に見出そうとされていますが、こちらにはどのような可能性を感じていますか。

技術を徹底的に追求しようとすると体制を整える必要がどうしても出てきます。一方で、より柔軟な体制のほうが新しい発想が生まれます。現在プレイステーションを支えていただいているクリエイターの方々も、元々はインディーに似た形で学生時代からゲームを作り始めた方が多いですよね。そういう意味で言うと、子供のころから様々なゲーム機に触れていたり、スマートフォンのゲームを遊んでいたりする人達が作るゲームの中には、今までの発想とは違うものがあると思います。我々としては、発想が生まれる土壌を作ることが重要だと考えています。

特にVRでは、リアルな見せ方ももちろん大事ですが、出来ることは沢山あるはずです。さらに言えば、用途をゲームに限る必要もないと思っています。ですので、様々な観点を持った方に参加していただきたいですね。プレイステーションは柔軟な発想を持つクリエイターの方々に育てていただいたので、今度は私たちがサポートしていきたいです。

ゲームの創成期に学生時代を過ごした



―――ここで盛田さんの経歴を教えていただきたいのですが、盛田さんは大学卒業後すぐにソニーに入社されたそうですが、学生時代はゲームやエンタテインメントに馴染みはあったのでしょうか?

私の学生時代は『スペースインベーダー』がちょうど出てきたころで、家庭用のゲーム機はまだ単機能で、しかも高価という時代でした。まだまだテレビゲーム以外のエンターテイメントが多く、それこそボードゲームとか、複数の人が集まって皆で楽しんでいた記憶があります。

また、当時はエレクトロニクス製品というだけでワクワクする時代で、ラジオやラジカセ、テレビといった製品自体がエンターテイメントだったとも感じます。私はそういった製品が身近にある環境だったので、ワクワクする機会も多かったです。

―――そんな学生時代を経てソニーに入社したわけですが、ソニー以外に選択肢はなかったのでしょうか?

もちろんあったと思います。ただ、私の学生時代を振り返ると平凡な人間だったので、高邁な思想や目標を構築していたわけではありません。そんな中、私の周りには小さなころからソニー製品があり、ワクワクさせてもらっていたので、ソニーに入ろうと考えたのです。

子供のころはプロ野球選手になりたいとか、普通の男の子と同じような考えを持っていました。学生のころも選択肢として思っていたことはいくつかありましたが、最終的には好きな会社に入ってみたいという思いが強かったです。

―――これは私も学生時代に感じていたことですが、やはりソニー製品、ソニーというブランドはみんなの憧れになっていました。

そうですね。憧れと言える感情を身近で感じられて、吸収できる環境にいたことは、今振り返ると、とても幸せでした。

―――ソニーに入社後は、MSXの販売に関わっていたと伺っておりますが・・・。

入社後に配属されたのが国内営業本部でした。当時はソニーがパーソナルコンピュータの販売を行うことになったころで、最初はSMCという製品の販売を担当していました。あのころはどうやったらパソコンが売れるかを毎日議論していて、たどり着いたのがゲームというコンテンツでした。そこで、次に販売を担当したMSX規格の製品ではゲームをたくさん出していこうという話になったのです。

―――当時はソニーショップや量販店への営業が主な業務だったのでしょうか?

はい。ただ、当時はまだ量販店にパソコンを取り扱うという発想があまりなかったので苦労しましたね。これは実際に言われた言葉なのですが、「テレビは5分で1台売れるが、パソコンは1時間かかる」という話は今でも印象に残っています。時間単価を考えると、非常に効率が悪かったのです。

パソコンを担当する営業スタッフは全国で約50人で、本部営業部の我々全員が日本全国を走り回って売るところから始まりました。月曜日に営業会議をして週次報告をすると、その翌日には全員が地方へ散っていきます。朝は営業所で勉強会、昼は販売店での勉強会、夜にはお客様を呼んでの勉強会という業務を金曜日まで繰り返して、土日は店頭に立って販売する。そして月曜日にまた報告に戻るという日々でした。

だから、入社直後に言われたのが「休みはないよ」でした(笑)。実際は休んだ日もありましたが、そういうつもりでいろと聞かされましたね。このくらいの気持ちでいないと導入できない製品だったんです。

もちろんそういう時代ということもあったのでしょう。それに新製品の立ち上げのときは誰もが同じ気持ちなのだと思います。私自身は関わっていませんが、初代プレイステーションの立ち上げのときは、皆燃えていたはずですよ。楽しんでいたとまでは言いませんが、実際の力以上の力が出ていたのではないでしょうか。

同じ時期に、任天堂さんがファミリーコンピューターを発売しました。私たちとしてはファミコンとも戦わなければいけなくなったのですが、一緒にゲームを売る仲間が増えたという面もありました。

しかし、ファミコンとMSXではコンセプトが違い、ファミコンは純粋なゲーム機、MSXはゲームも遊べるパソコンでした。そして最終的には任天堂さんが打ち出したコンセプトのほうが受け入れられる結果になったのです。



―――MSXは、残念ながらそういう結果になりましたね。

今振り返ってみると、MSXはマイクロソフトさんらが提唱し、パナソニックさんやソニーも賛同していた製品でしたので、各社が組んで失敗したというのは衝撃的でしたね。

―――その後はイギリスでも営業を経験されたんですよね。

国内営業は6年ほど勤めまして、その後「新しいところへ行きたい」という気持ちが強くなったのです。これも決して高邁な思いではなく、英語圏で仕事をしたいという漠然とした思いが中心でした。が、幸運にもイギリスの赴任のチャンスに恵まれました。

―――実際にイギリスで仕事をして、どのような印象を持ちましたか?

英語を話せない状態で行ったので、まずはコミュニケーションで苦労しましたね(笑)。ですがまったく新しい環境で、新しい仲間と仕事をするのは新鮮でしたし、ソニーというブランドを広めることにやりがいを感じていました。

―――現在PS4は2,020万台を販売しながら、一方で日本はまだまだ勢いに乗れていません。海外での勤務も経験した盛田さんにとって、日本と海外の市場の違いをどのように感じていますか?

自分自身の海外での経験も踏まえまして、海外と比較しても、日本は多様性のある市場だと感じています。それが良いところであり、同時に悩みどころで、スマートフォンのゲームも含め、娯楽が沢山の方向に伸びています。しかし、さまざまな娯楽が、それぞれそれなりの規模を持っているので、上手く繋いであげることが重要だと感じていますね。そして、そのキーワードになってくるのがネットワークだと思っていて、今までとは違うエンターテイメントを生み出せると感じています。多様性がある日本だからこその売り方というのは必ずあるはずです。

―――なるほど。

ネットワークを活用したマーケティングが日本で成功したら、今度は逆に海外へ向けて紹介できれば一番いいですね。

―――昨年末から今春にかけての日本市場のソフトラインナップを見ていると、PSファンが待っていたものが出てきたという印象です。ソフトだけで見ても、盛田さんが言うような多様性が出てきたのではないでしょうか。

我々がやらなければいけないことはいくつもありますが、まずはゲームソフトを揃えることが第一です。9月のSCEJAプレスカンファレンスで現在のソフトラインナップを発表したときは、「一戦必勝で戦っていくんだ」という思いでした。年末商戦ではソフトラインナップがこれだけ揃いましたというメッセージを打ち出しました。そして、2回戦に進めるだけの結果は残せたと考えています。そしてその2回戦が2月、3月で、とてもいい流れができていると思います。

2月末には『ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城』が発売され、PS4ハードの普及も牽引しました。そこで改めて、タイトルの力は強いと感じましたね。日本のユーザー様が望んでいるタイトルを出していくのが一歩目だと思います。もちろん次の施策も並行して考えていかなければいけませんが、まずは春商戦を乗り越え、好調に推移しています。



広がっていくプレイステーションの可能性



《ユマ》

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