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人々の予想を超えるエンターテイメントを提供していく・・・ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア 盛田厚プレジデント

「プレイステーション」ブランドでゲーム事業を行う株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は、1993年の創立以来、日本と世界のゲーム業界を牽引してきた存在です。

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人々の予想を超えるエンターテイメントを提供していく・・・ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア 盛田厚プレジデント
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―――ちなみに次はどのような可能性に向かっていきたいと考えていますか?

もちろんゲームが第一だと思います。しかし、我々の社名であるソニー・コンピュータエンタテインメントに、「ゲーム」という言葉は入っていないんです。エンターテイメントは必ずしもゲームのみではなく、現在はSNSや、ビデオ、音楽など、あらゆる娯楽が存在します。SCEJAとしても、今後は日本のユーザーの皆様にこういったエンタテインメントをプレイステーションプラットフォーム上で、より楽しんで頂きたいと考えています。

その上で、各々のエンターテイメントが紐付けられる楽しみ方をご提案したいと思います。このゲームを遊ぶときにはこの音楽を聞くとより楽しめます、この映画を見た後にゲームを遊ぶと違った楽しみ方ができます、という具合に、それぞれのエンターテイメントが関連付いている環境を作りたいですね。

―――すべてのエンターテイメントがプレイステーションに帰結するような考え方ですね。ひとつ良い流れになっているのが『マインクラフト』ですよね。あれは小学生にヒットしていて、可能性を感じます。

『マインクラフト』は弊社のスタッフはもちろん、「コロコロコミック」や「おはスタ」などにプロモーションで協力していただいたのですが、さすがにここまで盛り上がるとは想像していませんでした。小学館さんの主催する次世代ワールドホビーフェアでは、本当に小さなお子様も『マインクラフト』を知っていて、非常に驚きました。ここでもやはり、先ほどお話しした『ドラゴンクエストヒーローズ』と同様にコンテンツの力を感じましたね。

『マインクラフト』のようなタイトルがプレイステーションでヒットするのは嬉しいことですし、それが低年齢層にも受けていることはとても重要だと思います。私がかつてソニー製品を愛用していたように、今の子供たちがプレイステーションに慣れ親しんでくれるのは将来的にも良いことです。

恐らく今SCEに入社している若いスタッフは、幼いころからプレイステーションで遊んでいた層だと思います。そして、彼らが将来マネジメントの立場になったとき、新しく入ってくる人達が、「子供のころからプレイステーションで遊んでいた」と言ってくれるかが大事だと考えています。そういう意味でいくと、子供たちの層にもしっかりアピールしていかなければいけませんし、『マインクラフト』をPS4やPS Vitaでも遊んでくださるのはありがたい話です。

―――とはいえ、市況や店舗を見ると厳しい状況かと思います。そういう中で、SCEさんとしてはどのようなバックアップをしていきたいと考えていますか?

エレクトロニクス製品の場合は市場が分かりやすく規模も把握しやすいのですが、ゲームの場合どうすれば受けるのか、どうするとどれだけ売れるのかが読みにくい部分があります。また、市場自体がまだ30年程度の歴史しかないので、自分たちで作っていくしかないと考えています。

この大前提のもと、店舗の方々と一体となって盛り上げる必要があると思います。昨年は東京ゲームショウ(TGS)に出展したタイトルを地方のユーザー様に遊んでいただくため、TGSと同一の機材を使用して全国各地を回るイベントを行いました。そして、出展したタイトルは現地の店頭でも遊べるようにして、連動を図りました。こういった企画は今までもやってきましたし、これからも続けていきます。

『マインクラフト』もそうですね。単純に良いソフトが出て遊んでいただいて終わりではなく、各地の店頭でキャラバンを行って接触点を増やす環境を作らなければいけないと考えています。また、PS4やPS Vitaには“SHARE”機能やオンラインマルチプレイがあるので、上手く利用したリアルな大会を今後も開催したいです。一言で大会と言っても内容はさまざまですが、一つはゲームが上手いユーザーの方がスターになれる大会です。そしてもう一つは、上手い人だけが目立つのではなく、誰でも楽しめる大会も織り交ぜて人と人、地域と地域をつないでいきたいです。

私たちが目指すのは、コントローラーを持って遊ぶことが格好良いし楽しいと、多くの人に思ってもらえることです。大会はその施策のひとつになり得ると思います。

―――3月20日には中国でのローンチを迎えましたが、こちらの感触はいかがですか?

中国は非常にポテンシャルがありますが、他地域とは状況が全く異なる市場ですね。我々としても中国国内の法律遵守を前提に、慎重に取り組んでいきたいと思っていますが、最終的にはユーザーの方々に届くかどうかですので、現地のユーザー様が何を望んでいるかを見極めていきたいです。他のアジア市場で人気のあるタイトルを持っていくだけではなく、中国国内のクリエイターやタイトルが発展していくことが一番いいと思っています。

この目標は、今日明日なんとかなるというものではありません。焦るのではなく、着実に一歩ずつ前に進んでいきたいと考えています。

―――先日、任天堂さんとDeNAさんが業務・資本提携を結びましたが、この発表にはどんな感想を持ちましたか?

発表を受けて特別何かという事はありませんね。任天堂さんは玩具メーカーとして長年に亘り経営されてきたので、今回の判断にも確固たるものがあったのだと思います。日本のゲームをいかに発展させていくかが我々の使命であり、モバイルと専用機のボーダーがなくなるような形に持っていけたらいいと思っています。

―――分かりました。最後に、今後のプレイステーションビジネスへの意気込みをお聞かせいただきたくお願いします。

日本でPS4が発売されて一年が経ち、市場環境を気にされている方もいらっしゃると思います。今の日本市場を認識しないと先へ進めないのも事実です。一方で、特に日本ではエンターテイメントが多様化しているので、可能性も大いにあると思います。まずは多様性のある日本だからできることを、しっかりとやっていきたいです。

そのためには、プレイステーションを遊んで、愛してくれている方々の思いを忘れてはいけませんし、感謝の気持ちを持ち続けることです。そして、様々なユーザー様の声に耳を研ぎ澄まし、誰に対してどんな施策を打つべきなのかを見極めていきたいです。

また、ゲームで常に人を驚かせたいと考えています。ユーザーの皆様が「次のプレイステーションはこうなるだろう」「次のゲームはこうなるだろう」という予想を超えるものを提供し続けていきたいです。Project Morpheusも、その可能性のひとつです。

最後に、エンターテイメントと呼ばれるものがすべて融合された楽しみ方をプレイステーションで提供していきたいですね。ゲームを楽しむために、他のエンターテイメントも巻き込む。そうやって個々のボーダーをなくし、さらに時間や空間のボーダーもなくなる世界を作ることが、私の最終的な目標です。

―――本日はどうもありがとうございました。



●取材後記●

ビジネスは人である。人はビジネスである。そんな思いを改めて感じた取材でした。

初夏の商戦にむけて多忙な時間を割いてSCEJA盛田プレジデントへの取材は行われました。ひとつひとつの質問に対して真摯に回答をする姿をみて、そのように思いました。取材を通じて感じたことは常にフラットな姿勢で物事を受け止め、受け入れながらも、新しいチャレンジを重ねてきた人の現在の姿でした。

昨年9月のSCEJAプレジデント就任に際に報道された盛田家という名の重責というものではなく、多くの課題をひとつひとつ解明し、解決に導くという強い気持ちを持った経営者であり人でした。

ネットワーク、VR、インディーズなど多様な価値観が醸成されるなかで、これからもプレイステーション・ビジネスと盛田プレジデントの活躍に注目していきたいと思いました。ご協力をいただきましたSCE広報部ならびに編集スタッフの皆様に感謝を申し上げます。

■黒川文雄
くろかわ・ふみお 1960年、東京都生まれ。音楽ビジネス、ギャガにて映画・映像ビジネス、セガ、デジキューブ、コナミデジタルエンタテインメントにてゲームソフトビジネス、デックス、NHNJapanにてオンラインゲームコンテンツ、そしてブシロードにてカードゲームビジネスなどエンタテインメントビジネスとコンテンツの表と裏を知りつくすメディアコンテンツ研究家であり、行動するジャーナリスト。黒川メディアコンテンツ研究所・所長。「黒川塾」主宰。コラム執筆、コンテンツプロデュース作多数。ツイッターアカウント
《ユマ》
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