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【CEDEC 2014】スマホの牽引で“バブル”が続く中国ゲーム市場、経営者と研究者の視点で見る

【CEDEC 2014】スマホの牽引で“バブル”が続く中国ゲーム市場、経営者と研究者の視点で見る

2014年9月5日(金) 19時31分

CEDEC 2014の2日目となる9月3日、立命館大学 映像学部教授の中村彰憲氏、崑崙日本株式会社 副社長の北阪幹生氏、株式会社アクセスブライト CTOの谷井貴宗氏による講演「中国ゲームビジネス最前線2014 第一線を見つめてきた経営者と研究者の視点から見る中国進出成功の鍵」が開催されました。

中国でゲームビジネスと言うと、「今から進出を考えても遅いのでは」とか、「文化的・政治的に受け入れられないのでは」といったイメージを持つ人も多いかもしれません。そういった点も含めて、中国ゲーム市場の現状が語られました。

聴講者も多く、まだ期待度が高い市場であることをうかがわせる


■中国ゲーム産業の概観

まず中村氏から、中国ゲーム市場の現状が紹介されました。2013年の中国ゲーム産業史上は1兆3,723億円。パッケージゲームは微々たるもので、ほとんどがオンラインやモバイルのセグメントです。またリーマンショックなどの影響もなく、10年以上も持続的な成長を続けています。

中でもモバイルセグメントの成長は目覚ましく、2012年には500億円強だったものが、2013年には2,000億円弱と、約3倍の伸びを見せています。スマートフォンの出荷台数推移を見ても、2013年は3億5,000万台で、タブレットユーザーを合わせると7億人とも分析されています。モバイルゲームユーザーの数も2014年上半期には3億6,800万人といったデータもあり、こちらも急激に伸びています。

中国のスマートフォンはAndroidが約8割と主流ですが、Google Playは提供されていないため、百度モバイルや360モバイルアシスタントといった、中国のゲームパブリッシャーがアプリを配信しています。日本の企業は、法律により中国で直接アプリを配信できないので、進出するには現地のパブリッシャーに作品を提供するという流れになります。

中国で最大のスマートフォンゲーム開発スタジオはTencentですが、同社は自社で配信プラットフォームを持っています。2位以下の開発スタジオは、人気タイトルを1作品に依存した企業が多い状態で、まだまだ群雄割拠の状態です。ちなみにDeNAは2.2%で10位にランキングされています。

中村彰憲氏
モバイルセグメントは特に急激な伸びを見せている


■中国モバイルゲーム展開で押さえるべき技術傾向

次に谷井氏より、中国モバイルゲームにおける技術的な課題が紹介されました。

中国のモバイル回線は、未だに2Gが残っており、日本比べるとかなり低速です。日本のゲームを中国に持っていくと、散発的にダウンロードがかかるので嫌われると言います。中国にはパケット使い放題のプランがないため、モバイル通信ではほぼゲームを遊ばないためです。通信環境はもっぱらWi-Fiだそうです。

Wi-Fi回線は割と早いものの、回線は不安定で、1日中ずっとネットに繋がらないというほど不安定なこともあるそうです。雨が降るとネットが繋がらないという、日本では信じられない現象もあります。この不安定な回線が、日本では見つからなかったバグを掘り起こすことがあり、わざと不安定な回線を再現したことで発見できたということもあったそうです。

もう1つの問題は、チートの使用です。チートツールは地下コミュニティで見つけるのではなく、ショッピングサイトで堂々と、しかも安価で販売されています。アプリを落としてインストールするだけでチートができてしまうので、購入者もかなりの数で存在するようです。

メモリ改ざんツールなどは、日本ではある程度の技術的知識がないと使えないものですが、中国では誰でも簡単にできるよう使いやすいツールができています。さらには携帯ショップでiPhoneのJailBreakをするような店があったり、Appleの脆弱性を突いてアプリ内課金を無料で行うようなものまであると言います。日本では逮捕者が出てほとんど使われていませんが、中国では当たり前のように横行しているため、ゲーム側にしっかりした対策が必要だとしています。

アプリの開発は中国の優秀な技術者を集めるのが最良だと谷井氏は言いますが、中国人は大企業や公務員に求職が殺到し、ベンチャーなど小さい企業には来ないのだそうです。人集めに必要なのは、中国人が好む飲み会。そして転職が多いことから、成長できる仕事を用意することが大事だと言います。

谷井貴宗氏
チートは取り締まりが少なく、日本よりもおおっぴらに横行している


■中国人ユーザーは日本企業に何を求めているか?

北阪氏は、中国のモバイルゲームユーザーの動向を紹介しました。現在はカジュアルゲームもヒットしているが、ハードコアゲームもヒットしており、中間はあまり見られないという2極化が見られるとしています。また全くお金を使わない人と、より多くのお金を使う人で分かれる、という点においても2極化しています。

ハードコアなゲームの例として挙げられたのが、『武侠Q伝』というカードバトルゲーム。トップ画面は様々なアイコンが並び、複数のキャラクターと装備品、さらには装備品を強化する要素があり、MMORPGのような多数の機能が含まれています。日本でイメージするカードバトルものとは大きくイメージが違いますが、実際のところ、こういったタイトルが人気なのだそうです。

中国ユーザーが日本企業に求めているものは、版権物、ゲーム性の高いタイトル、新奇性の高いタイトルだと言います。先に挙げられたような多機能なゲームではなく、日本ならではのクリエイティブの強いところで進出していくのがいいのではないか、とのことでした。

北阪幹生氏
『武侠Q伝』はMMORPGを思わせる多機能なカードバトルアプリ


■これから中国進出を推進するために

最後に3氏より、各視点からの課題が語られました。まず2013年12月20日、中国文化部がモバイルゲームの賭博製をタイトル名指しで批判し、忠告を受けたアプリからガチャや抽選するものがなくなるという事態が発生しました。これについて北阪氏は、「そもそもガチャはコンテンツとして長持ちしないという傾向がある。機能としては必要だが、ガチャを中心にした作りは難しい」と答えました。

クロスメディア展開を中国で行なう上で注意すべきことは何かという問いには、北阪氏が「より大々的にやらないと思ったほど効果は得られない。同時多発的に規模感をもってやるのが大事」と回答しました。

中国で家庭用ゲーム機が正式に展開するという発表があり、日本企業はどう生かすべきかという問いでは、谷井氏は「中国では高いという印象。ゲーム好きな人は、既に日本のゲームを持って遊んでいる」と答えました。また北阪氏は「会社としては様子見。コンシューマーゲームを遊んでいる人は並行輸入で入手していて、オリジナル版のほうが価値があると思われている。中国独自要素を入れないと、正式に販売されても北米版や日本版を買うのでは。ただ、それに対応できればチャンスがあるのでは」と語りました。

最後に、中国ゲーム産業で最も期待していることはという質問には、谷井氏は「最近は中国のゲームも面白くなっている。PCオンラインゲームやブラウザゲームは相当普及していて、その開発者が今はスマートフォンゲームを作っている。それが日本に来て流行れば、両国の距離が近づくのでは」と回答。北阪氏は「10年間常に思っているが、(ゲーム市場の)バブルがはじけない。大きく期待していることはないが満足している。日本と中国がこの業界同士で近づいて、日本のタイトルが中国でヒットできれば」と答えました。

利用環境やプレイヤーの感性には、日本と大きな隔たりはあるのは確かなようです。しかし市場としてはまだ伸び続けていて魅力的であることもまた確かで、講演者から“バブル”と評された状況が今後どうなるかも気になるところです。

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(Article written by 石田 賀津男)

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