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Unityで広がる個人制作者の世界・・・人気アプリ開発者二名によるトーク

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講演は田村幸一氏(右)と山村達彦氏(左)の掛け合い形式で行われた
  • 講演は田村幸一氏(右)と山村達彦氏(左)の掛け合い形式で行われた
  • 合計34万DLを達成した『デカルトの塔』は田村氏の処女アプリ
  • だらだらいつまでも遊べる『無限ダブルアップ』
  • 『湯けむりかきわけ温泉娘MAX』はパズル部門で1位を獲得
  • テラシュールウェアのサイトには技術情報も満載
  • 田村氏の講演で触れられたAppbank Network
Unityの開発者向けカンファレンス「Unit Japan」では、プロのゲーム開発者だけでなく、同人やインディゲーム開発者にもスポットライトが当てられました。

4月16日に行われたセッション「僕らがUnityで個人開発を始めた理由」では、Tokyo 1minuteの田村幸一氏と、テラシュールウェアのプログラマで、今年からユニティ・テクノロジーズ・ジャパンでも勤務中の山村達彦氏が登壇し、個人開発者の視点からUnityとの関係を語りました。

田村氏はネット業界で働くモバイル系の非プログラマで、昨年『デカルトの塔』『無限ダブルアップ』という2本の無料アプリを発表しました。プログラミングはMSX以来という田村氏でしたが、ゲーム開発者コミュニティとのつながりでUnityに触発され、週末を費やして処女アプリ『デカルトの塔』を個人開発。実質30時間かけて作ったアプリが、いきなりiOSだけで34万DL(2013年4月現在)を達成してしまいました。

一方で山村氏が所属するテラシュールウェアはメンバー4人からなるインディーズで、『湯けむりかきわけ温泉娘』シリーズなどをリリースしています。メールやスカイプなどでコミュニケーションをとり、ネット上でデータをやりとりするバーチャル開発で、有料・無料アプリに加えて、アイテム課金も実施中。アプリ開発で主要な生計を立てている、小さくてもれっきとしたパブリッシャーです。

講演は田村氏と山村氏の掛け合いで進行し、それぞれ事前に用意されたトピックに対してツッコミ合うという、「二人パネルディスカッション方式」で展開。ぶっちゃけ話や生々しい話も飛び出し、会場を沸かせました。また聴衆にはプロの開発者にまじって、同人・インディゲーム開発者や、本業とは別に趣味でゲーム開発を行っている開発者も見られ、Unityの開発者コミュニティの広がりを感じさせました。

■開発にどれくらのお金と時間がかかった?

いきなり直球ストライクなトピックですが、山村氏は「湯けむりかきわけ温泉郷MAX」では開発期間が2ヶ月くらい。一人月で15万円くらいを見積もっていると語りました(人数と期間をかけ算してみてください)。一方で趣味の範疇で開発を続けている田村氏には「人月」という概念は存在せず、Asset Storeで50ドルのブロックを購入した程度。もちろん両者ともにApp Storeのライセンス登録料が発生しましたが、逆に言うとその程度でアプリをリリースできたことになります。

■個人開発ってどれくらいの収入? オススメのマネタイズ手法は?

田村氏は正直「マネタイズはほとんど考えていなかった」と語りました。それでも「アプリ紹介サイトのAppBankで紹介してもらえる」という理由で、同社のアドネットワーク「AppBank Network」でバナー広告を掲示。34万DLの威力もあり、そこそこの広告料が稼げたと言います。

これに限らずアドネットワークはクライアントとの調整なども不要で、手切れが良いため、インディ向きのマネタイズ法ではないかとコメント。一方で広告モデルに向いたゲームデザインを意識する必要があると分析しました。「何時間も遊びこんでもらえるゲームより、毎日数分でも継続して起動してもらえるように、ユーザーを飽きさせない工夫が必要だと思います」(田村氏)

一方、テラネットワークスでは無料アプリ+広告モデル、有料アプリ、アイテム課金とアプリごとに異なるマネタイズを展開しています。現在は「4人でかつかつ、食べていけるか否か」という状況で、そこそこマネタイズはできていると言います。また今後はリワード広告についても意欲を示していました。

山村氏はマネタイズについて「できることを全て実践すること。そのための導線を考えること」が必要だとコメントしました。もっとも、一番大切なことは「まずアプリをダウンロードしてもらうこと」で、そのためにはマネタイズだけでなく、宣伝にも力を入れる必要があると注意を促しました。

■アプリを公開したことで何か変わったか?

「10歳の子どもが自分もゲームを作りたいと言い出した」・・・田村氏はそう語ります。もともとゲームは「スペシャリストが金と時間を費やして創る物」というイメージがあったという田村氏。まさかC言語すら使えない自分が、一人でゲームを作ることになるとは、思ってもみなかったとのことで、環境の変化にただ驚くばかり。いわんや、カンファレンスで講演することになるとは夢にも考えなかったといいます。こうした業界を取り巻くパラダイムの変化を身をもって知ることができたのが、一番の変化だとまとめました。

もともとSEとして活躍していた山村氏も「B2Bでは手応えがなかった」と言います。これがブログを書いたり、アプリを作って公開したことで、自分の世界が広がりました。自称「ジャムお兄さん」として、さまざまなゲームジャムに参加する過程で、人脈も拡大。気がつけば3月からユニティ・テクノロジーズ・ジャパンで働くことになったといいます。「まさか自分がUnityの中の人になるとは」(山村氏)。このように、良いセルフプロモーションの機会になったとも話しました。

■モチベーションの維持はどうするの?

山村氏は「一般に開発期間が延びるとモチベーションが落ちるし、作業効率も落ちる。できるだ早く作ることが大事で、そのためにはUnityが効果的」と語ります。そのうえで▽作業時間を決めておく▽中間制作物を公開して、周囲から感想をもらう▽マイルストーンを決めて期間内に作りきる▽多少ゴミコードでも動けばOK--といったテクニックを披露しました。このあたりは商業開発も同人・インディーズも変わらないといえそうです。

田村氏もこれには同意で「個人制作やホビープログラミングはゲームを完成させることが目的で、作ること自体に意義がある。完成させることを最終目的におき、そのために手間やリソースを減らせるような手段を選択するべき」と語りました。

また田村氏は商業でも趣味でも「楽しみながら作ること」が重要ではないかと強調しました。あるゲームジャムに参加した際に、企業の取締役から「最近はゲームを作る楽しさを十分に感じられないまま、現場に投入される新人も多い。会社の経費で彼らを参加させたかった」ともらされたこともあったといいます。これには山村氏も同意で「テラシュールウェアとして独立したことで、『当てなければ生活できない』プレッシャーもあった」と補足。ゲーム作りを楽しむことは大事だと話していました。

■個人開発でもAsset Storeを使った方が良いか?

Unityの特徴の一つが、大量のグラフィックデータやツール、プラグインなどがAsset Storeで流通していること。プロのゲーム開発現場で使われているような定番ツールも少なくありません。しかし、両名ともに「個人開発だからこそ使うべきだ」とコメントしました。50ドルで買ったダンジョンの素材を転用したという田村氏は「それだけの金額でも格段に見栄えが良くなります」と指摘。これに対して山村氏も「AssetStoreで購入すると、開発時間を減らすことができて、モチベーションを保ちやすい」と補足しました。

ちなみに田村氏は、指定位置までオブジェクトを移動させる「iTween」(10ドル)を紹介しました。サンプルコードも多く勉強になるそうです。一方、山村氏は新着アセットをRSSフォードに登録しているとのこと。セール情報も配信されるため、欲しいものリストを作っておくと便利だそうです。またUIツールの「NGUI」は両者共に必須のアセットで、田村氏は他にビジュアルスクリプト言語の「Play Maker」がオススメとのこと。山村氏は「知識があれば何とかなる。必要に感じたら購入する」と話していました。
《小野憲史》

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