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『イナズマイレブン』特許訴訟・・・両社の主張と争点

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初代『イナズマイレブン』タッチペンの操作でキャラクターを動かしていく
  • 初代『イナズマイレブン』タッチペンの操作でキャラクターを動かしていく
  • ドラッグすると移動に、タッチするとパスに(セガの特許より)
近年注目されるゲームと特許を巡り新たな動きがありました。

セガが同社が保有するタッチパネルを用いたキャラクターの移動に関する特許を侵害されたとしてレベルファイブを提訴。7日に東京地方裁判所にて初公判が行われました。セガは、レベルファイブの『イナズマイレブン』シリーズが同社の特許を侵害したとして販売額の10%相当として9億0308万7000円の支払いと製造・販売等の差止めを求めています。

訴状によれば、セガは昨年10月頃に『イナズマイレブン』シリーズが同社の保有する特許「第4258850号 画像処理装置およびその方法」(2009年4月30日発行)、「第4807531号 画像処理装置およびその方法」(2011年11月02日発行)を侵害していると判断。10月20日付でその旨を通知。法務担当者同士が特許内容の確認やライセンス条件等について話し合いを行なったといいます。しかし約9ヶ月間の交渉は平行線を辿ったことから提訴に踏み切ったとのこと。

問題となっている特許はサッカーゲームを念頭に、タッチパネルの画面上に表示されているキャラクターをドラッグ操作で移動させる方法に関するもので、ドラッグ操作の完了(指がパネルから離れる)以前にもその軌跡を用いてキャラクターの移動を始めるという点に特徴があります。この特許内容についてはウェブでも公開されています。

文面を読めば『イナズマイレブン』のタッチペンによるキャラクター移動の操作はこの特許に類似しているように思えます。しかし、訴状に添えられているレベルファイブとセガの法務担当者同士のメールのやり取りを確認すると、レベルファイブ側はゲームと特許内容について「特許は極めて基本的な内容を指し示していて、見た目は似通ったものもありますが、弊社のゲームではかなり高度な別な処理を行なっていると認識しています」と指摘しています。

レベルファイブは文章で『イナズマイレブン』のキャラクター操作の内容やフローチャートを提示していて、メール中では「この特許は、始点と終点を結ぶベクトルによってキャラクターの移動を決定しているのに対して、ゲームではドラッグ操作中に一定の間隔で座標をサンプリングすることで任意の図形を描くものとなっています」との旨が主張されています。また、特許ではドラックから時間を置いてキャラクターが追随するのに対して、ゲームではドラッグされた直後から追随するようになっています。さらに、ゲームでは常時AIによる制御がかかっていて、それにドラッグ操作を適応させる形で処理が組まれている点も特許と異なるとレベルファイブは主張しています。

無論、セガとしても、これらの文面を引用しながらも、特許と同様の内容が実装されている旨を述べています。

今後の争点としては、レベルファイブ側はそもそもの特許について新規性・進歩性が無いものとして特許無効審判を求めることになると思われます。12日に報道機関向けに発表した声明でも「特許と同様の処理をするゲーム及び特許は、セガ特許の出願前から現在に至るまで複数存在している事を確認しております」と述べています。また、特許が有効と認められる場合は特許と実際の実装が侵害に当たるものかどうかが判断されることになります。

次回の公判は2月25日に行われる予定。

なお、賠償金額の算出は『イナズマイレブン』シリーズの累計販売本数約300万本(エンターブレイン調べ)から、1本当たりの収益を製造原価やプラットフォームホルダーへのロイヤリティを除いて3000円と算出。総収益の10%としています。なお、訴状の中では各タイトルの販売本数について『イナズマイレブン』が36万5674本、『2』が114万5388本、『3』が89万0440本、『3 ジ・オーガ』が45万5558本、『GO』が43万4758本としています(初代『イナズマイレブン』のうち、特許成立前の販売本数25万1528本は金額の算出から省かれています)。
《土本学》

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