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日本のインディーズゲームシーンを盛り上げたい!プロからアマまで多数のゲームが揃った東京ロケテゲームショウ

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ロケテゲームショウ全景。和気あいあいとした雰囲気に包まれた
  • ロケテゲームショウ全景。和気あいあいとした雰囲気に包まれた
  • 福島GameJamチームも参加し、30時間で制作したゲームを展示した
  • チーム・グランドスラムの面々
  • 来場者から熱心にメモを取る黒川氏
国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)同人・インディゲーム専門部会(SIG-Indie)は11月11日、板橋区グリーンホールで「東京ロケテゲームショウ」を開催しました。当日は30サークル(個人・団体・企業)が出展し、子どもから大人まで、約170名の一般参加者が来場。「ロケテ」の名にふさわしく、出展者と来場者がゲームを介して交流しながら、会場全体で盛り上がっていました。

日本にはコミケを中心に世界でも有数の同人・インディーズゲーム文化があり、「東方Project」などの著名タイトルもありますが、一般的にはほとんど認知されていません。また昨今のゲーム開発シーンでは、ユーザーテストを開発工程に組み込み、クオリティを向上させる例が一般的ですが、同人・インディーズゲームでは、こうした機会が乏しく、仲間内だけのテストプレイに終始しがちです。

そこで「ユーザーテストが主目的」「開発中のゲームを出展する」「会場での頒布や販売を行わない」という、きわめてユニークな同人・インディーズゲームイベントが2009年に開催されました。それが「秋葉原ロケテゲームショウ」です。秋葉原UDXで開催された本イベントは、場所の良さや同時開催イベントの存在、そして何より入場無料という「お得感」も手伝って、開催側の予想を遙かに上回る約1000名の参加者を記録しました。

そこから3年が経過し、場所と名称を変更し、ワンコインの入場料(100円)を新たに設置して開催された「東京ロケテゲームショウ」。そこでは趣旨は同じながらも、昨今のゲーム開発シーンの変化をふまえて、幾つかの変化が見られました。

■プロからアマチュアまで多彩な顔ぶれ

まず第一に、ゲームのプラットフォームがPCからスマートフォン、タブレットと拡散したことです。数は少ないながらもPlayStation Mobileでの展示もあり、同人ゲームがPS Vitaでオフィシャルにプレイできるのは、ちょっと隔世の感がありました。内容も2Dゲームだけでなく、3Dゲームの割合が急増。デスクトップPCだけでなく、ノートPCでも3Dゲームの出展が見られました。開発環境もXNAなどに加えてユニティが急増。こうした環境の変化が少なからず、同人・インディーズゲームの文化にも影響を及ぼしています。

二点目に感じられたのが、出展サークルの広がりです。その筆頭とも言えるのがチーム・グランドスラムで、メディアコンテンツ研究家の黒川文雄氏、『巨人のドシン』などで知られる飯田和敏氏、『バーチャファイター』などのサウンドを手がけた中村隆之氏、『ディシプリン*帝国の誕生』でアートワークを担当した納口龍司氏のユニットです。

同チームは「触って動かせる」レベルのプロトタイプデモを出展。ルールメカニズムなどはこれからで、まさにゲームのアイディアや方向性について、テストプレイをしてもらいながらコメントを集めていました。バリバリの商業シーンで活躍されているクリエイターがユニットを組み、こうしたイベントに出展するようになったことは、この3年間の変化を象徴しているといえるでしょう。

他に今年のセンスオブワンダーナイトで入選した『FullPowerSideAttack.com』がプレイアブル出展。スクリプト言語のHSPを用いたゲームコンテスト「HSPプログラミングコンテスト」は今回も健在。新たにHTML5+JavaScriptによるゲームエンジン「enchant.js」を用いたゲームコンテスト「9leap」も出展しました。このほかゲームエフェクトツールのBISHAMON(BISHAMONはまた、広くネット上でEffectコンテンストも実施中です)を擁するマッチロックなど、ミドルウェア企業の出展が見られたのも驚きでした。

一方で東京工芸大学や横浜デジタルアーツ専門学校の「らむねビン」や、専門学校HAL東京の「間に合いません。」、東京工芸大学の「EIGHTH TOWN」など、学生チームの参加も充実。加えてGlobalGameJam2012がきっかけで生まれた「きなこもち」が参加するなど、サークルの掘り起こしにも貢献したと言えそうです。

■会場全体が笑顔に包まれた幸せな空間に

そして三点目として感じられたのが、出展者と来場者の自然な交流です。一般的に即売会では商品販売が先にたつため、人気サークルほど来場者との交流が減る傾向にあります。しかもゲームはパッと見て価値が分かる漫画や映像と異なり、ある程度じっくり腰を落ち着けて、遊んでみなければ分かりません。いきおいゲームのデモプレイが必要になりますが、電源容量の問題から、なかなか全サークルが電源を使える即売会はありません。

しかし「ロケテ」を唄った本イベントでは、デモプレイを通した交流こそが主目的。誤ってブレーカーを飛ばすなどのトラブルを避けるため、事前にしっかりと持ち込み機材の計測が行われました。約170名という来場者も多すぎず、少なすぎずで、家族づれの姿もちらほら。誰もが楽しそうにプレイしている雰囲気が印象的でした。なにしろ会話のネタはゲームの感想をはじめ、会場にあふれています。

また出展サークルのぜろじげんは、同人ゲームをテーマとしたUstラジオ「ぜろじげんラジオ」で、会場から東京ロケテゲームショウ特集を配信。終了後は打ち上げ会場で出展サークルをゲストに迎え、ゲームのデモプレイなどの配信も行いました。東京ロケテゲームショウの公式ロゴもまた、出展サークルの小松菜屋さんが制作(小松菜屋さんは前回同様、会場でゲームを開発するライブコーディングに挑戦しました)。出展サークル自らが運営スタッフの一員として、イベントを盛り上げた点も特徴でしょう。

余談ながら総合受付と館内アナウンスには、秋葉原メイド喫茶のシャッツキステからエリスさんとミソノさんが特別参戦。よく通った、張りのある、つややかな声で案内が行われました。これもまた会場のムード作りに貢献していました。

ちなみにチーム・グランドスラムの飯田氏は、前回の秋葉原ロケテショウに一般参加したときから「次回開催時は自分たちも出展したい」という思いを強く持ったとのこと。ロケテショウのイベント会場全体が新しいゲームハードで、世界中で『ゲームを作る』という新しい遊びが始まった感じがしたといいます。実際に参加してみると「人生初ロケテで、予想以上に楽しかった」とコメントしていました。

また自身もコンテンツビジネスセミナー「黒川塾」を主催する黒川氏は、今後自分たちでも同人やインディーズゲームといった、フリーカルチャーを題材にセミナーを開催してみたいとコメント。そのためにもまず、自分たちでユニットを作って、ロケテゲームショウに参加したと話していました。

ちなみに会場では「次回があるなら参加したい」「即売会にあわせて年2回開催して欲しい」といったコメントも聞かれました。SIG-Indie世話人で東京ロケテゲームショウ準備会代表の七邊信重氏によると、時期は未定ながら次回開催も検討中とのことで、大いに期待できそうです。
《小野憲史》

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