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テーブルトークRPG好きにはたまらない? ブラウザで遊ぶ本格ゲーム『英雄クロニクル』をプレイした

ゲームビジネス 開発

ケータイを主なプラットフォームとするソーシャルゲームが大ブレイクする一方で、よりじっくり遊ばせる性質の強い、ブラウザゲームの新作が相次いでいます。

その先駆けとなったのは、ドイツ最大のブラウザゲームといわれる『トラビアン』でしょう。続いて国産タイトルの『ブラウザ三国志』が大ヒット。今年も『ブラウザカルネージハート Programing Soldier』をはじめ、コンソールゲームの開発チームによる「ゲーマー向け」のタイトルが、続々とリリースされています。

いずれもソーシャルゲームと同じく、基本プレイ無料のアイテム課金によるビジネスモデルですが、PCのウェブベースである点が大きな違い。大画面を生かして、より複雑で、深みのあるゲームが楽しめます。

こうした中で「創造WebブラウザシミュレーションRPG」というキャッチフレーズを掲げた『英雄クロニクル』が、サクセスから新たにサービスインしました。

中核となるゲームシステムは、ターン制のシミュレーションRPGです。プレイヤーは世界を構成する5カ国のいずれかに所属し、自分の部隊を指揮して、他陣営と戦っていきます。実時間で3ヶ月(ゲーム内で3年)ごとにゲームが精算され、その時点で一番領土の大きかった陣営が勝利となります。現在サクセス公式サイト、ハンゲーム、mixiアプリの3つのサイトでIDを作成し、プレイできます。



■自由度の高いキャラクターメイクで妄想フルスロットル

本作の最大の特徴は、自由度の高いキャラクター作成でしょう。ポイントを割り振って能力値や特殊能力、スキルを自由に設定するスタイルで、組み合わせ次第で自分の望むキャラクターが作成可能です。中でも中核となるのが特殊能力で、特殊能力の合計コストがキャラクターの総コストとなります。それこそコスト度外視で、万能キャラクターを作ることもできます。

作成するキャラクターは詳細に設定することができる


ただしシミュレーションRPGだけあって、「質より数」がモノを言うゲームデザインになっているのがミソ。平均的なコストでメリハリのきいたキャラクターにするほうが、後々の使い勝手が高まるので、注意が必要です。

またゼロからキャラクターを作成するのが面倒な人向けに、いくつか質問を答えるだけで、自動的にキャラクターが作成される「かんたん作成」も選べます。実際、すべて自分で作り上げる「カスタム作成」はデータ量が多く、一度遊んでみないとわかりにくいので、最初は「かんたん作成」を選ぶ方が良いでしょう。

「かんたん作成」では質問に答えるだけでキャラメイクができる


また、パラメータやスキルだけでなく、外見のグラフィックやアイコン、決め台詞や捨て台詞、カットインのグラフィック、キャラクタープロフィールなどに至るまで、キャラクターの個性となる部分をプレイヤーが自由に設定できる点も魅力です。ゲーム内に画像データのギャラリーやアップローダもあり、自分たちで作ったグラフィックデータを、自由にダウンロードして使うこともできます。

■周りに必要とされるキャラクターを作って「絆」を上げよう

二つ目の特徴が「絆補正」です。部隊は最大10名で構成され、部隊コストの範囲内でキャラクターを選んで編成できます(ここでキャラクター作成時の「平均的なコストでメリハリのきいたキャラクター」が関係してきます)。プレイヤーはメインキャラクター(主人公)以外に、2人のサブキャラクターを作成でき、チュートリアルで登場する、5名のNPCも選択できます。

では残った枠はどうするか。実は同じ陣営に所属する、他のプレイヤーが作成したキャラクターを、お金を払って「傭兵」として雇えるんです。主人公以外はすべて傭兵で部隊を固めることもできます。傭兵はメイン/サブキャラクターやNPCと違ってレベルアップしませんが、その時点で必要なレベルの傭兵を、次々に雇い入れることができます。また同じ傭兵を再び雇用するときは費用が半額になります。

さらに、自分が作成したキャラクターが他のプレイヤーに雇用されると、「絆補正」が1ポイント加算されます。この「絆補正」はそのまま、戦闘時のボーナス修正となります。つまり自分が作ったキャラクターが、周囲から必要とされるほどに、自分の部隊もまた、強くなっていくわけです。

自分の作成したキャラクターに加えて傭兵を雇用して戦う


ただ、大量にリストアップされる傭兵の中で、自分のキャラクターを目立たせるのは大変です。そこでポイントとなるのが、キャラクター設定。アイコンやグラフィックにこだわったり、プロフィールを充実させるなどすれば、それだけ目にとまる確率も上がるというもの。いわばFacebookやLinkedInなどのSNSで、自分のプロフィールを充実させてフレンド数を増やし、リア充度を上げていくようなもの・・・とでも言えるでしょうか。

数多くのプレイヤーの中で目立たなくてはならない


■パーティ構成を生かした戦術を極める!

そして第3のポイントが戦闘です。プレイヤーは行動ポイントを1つ消費して、▽遠征▽探索▽訓練▽アイテム整備ーーのうち、1つを実行できます。ここで遠征を選択すると、他の陣営の領地に赴いて、他のプレイヤーが作成した部隊と戦うことになります。

戦闘は16×16マスの平面フィールド(高低差なし、地形効果あり)で行われ、最大10ターン。互いが交互に移動と行動を繰り返す、オーソドックスなスタイルです。勝利すると相手の勢力をそぎ、自陣営の勢力を増やせます。

陣地を整備したら、フィールドに出て、いざ戦闘


このときにポイントとなるのが、いかに部隊の個性を引き出して、最適な戦術を導き出すか。しかも一人用のシミュレーションRPGと異なり、本作では他のプレイヤーが作成した傭兵も加わるため、部隊構成が非常に多彩です。そのため戦術のバリエーションが、かつてないほどに広がります。あっと驚く部隊構成や、新戦術が眠っていそうです。

ちなみにプレイヤー対戦はできず、防御側はすべてCOMによる行動となります。遠征時には相手部隊の強さを示す部隊力や、部隊の総コスト、戦績などが確認できるので、最初は格下の相手から選択していき、なれてきたら徐々に格上の敵を選択していくと良いでしょう。戦闘後に得られる経験値は、各々の貢献度で変わりますので、 成長させたいキャラクターは温存させるのがオススメです。

なお、自部隊も他のプレイヤーの遠征目標となり、COMによって自動で反撃します。遠征時と防衛時では異なるパーティ編成が可能で、自領地の地形や、部隊の行動アルゴリズムも自由に設定できます。

このほか▽探索▽訓練▽アイテム整備ーーはクリックするだけで自動的に実行されるので、忙しいときに活用すると良いでしょう。なお減少した行動ポイントは2時間ごとに1ポイント回復するほか、課金で行動ポイントを購入したり、上限を上げられます。

ユーザーが選択できる行動


■期間限定で1回しかプレイできない「週末戦」はノウハウの宝庫だ

また、特殊な行動として「週末戦」があります。これは同じ陣営のメインキャラクターだけが自動的に9体 抽出され、即席の部隊を構成して、他の陣営と戦うというもの。総部隊コストの上限も解除される、まさにルール無用のデスマッチです。

週末戦はその名の通り、1週間のうち限られた期間でしか開催されず、期間内で1回しか選択できませんが、勝利すると通常の10倍の功績ポイントが入手できます。 他人が作成したメインキャラクターを自由に操って戦うのは非常におもしろく、またキャラクター作成の参考になります。同じパーティ構成で、他の9名 のプレイヤーがどのように戦ったか、ログを見ることもできるので、戦術の参考にも最適でしょう。

週末戦でバトルのコツを学んで行こう


これ以外にも本作には、多彩なクエストやアイテム、世界観やストーリー、ギルド、アイテムの合成、部隊ランキングや階級、プレイヤー間でのアイテム売買(バザール)、メッセージやコメント、掲示板 などによるコミュニケーションなど、さまざまな要素が幾重にも折り重なっています。(ギルドは近日アップデートで追加予定)

もっとも基本となるゲームの流れは、これまで説明してきたように「個性的なキャラクターを作る」「傭兵を雇うなどして、パーティを編成する」「遠征して戦い、陣営勢力を拡大させる」行為の繰り返しだと言えます。他のプレイヤーと頻繁にチャットしたり、時間を合わせて同時攻撃を行うなどの「張り付き系」ゲームではないので、空き時間にちょこちょこと楽しめそうです。

■アラフォーのゲーマーには懐かしいアナログ感

本作にはテーブルトークRPG(TRPG)や、80年代から90年代にかけてゲーム雑誌上で人気を集めた、読者参加型ゲームのテイストが感じられます。筆者もまた学生時代に、そうしたゲームを楽しんだアラフォー世代なので、懐かしく感じられました。

TRPGとはゲームマスターという進行役兼判定役のもと、プレイヤーがキャラクターの演技をしながら、冒険を進めていくアナログゲームのこと。読者参加型ゲームとは、一定のルールでキャラクターメイキング行い、主催者側に郵送して、結果を自動的にコンピュータ処理して判定するなどの企画です。前者は『ダンジョンズ&ドラゴンズ』、後者は「コンプティーク」誌上で人気を集めた『ロボクラッシュ』などが有名です。

中でもキャラクターメイキングは最たるものでしょう。TRPGのキャラクターメイキングは、時間を忘れるおもしろさがありました(本作の特殊能力リストは『GURPS』などを彷彿とさせます)。読者参加型ゲームは、そのキャラクターメイキングの魅力だけを取り出して、大規模参加型アナログゲームに変換した側面がありました。本作もまた、これらの魅力を現在の技術を用いて蘇らせたものだと言えます。

ゲーム開始後のメインキャラクターの作り直し は、少々ペナルティがきついのですが、サブキャラクターの作り直しは、比較的敷居が低くなっています。なれてきたらカスタム作成に挑戦して、こだわりのキャラクターを作ってみるのも良いでしょう。スキルや特殊能力を組み合わせて理想のキャラクターを作り上げ、部隊に組み込んで効果を試してみるのは、はまればどっぷりと楽しめるおもしろさがあります。なお、登場するNPCはどれも多彩なスキルや特殊能力を備えているので、参考にすると良いでしょう。

また、キャラクタープロフィールの充実ぶりは、TRPGのキャラクターシートを彷彿とさせます。当時はキャラクターのイラストを描き込んだり、中二病的な設定を書き込んだプレイヤーも多くみられました。決め台詞やカットインのグラフィックなどを自由に設定できる点は、TRPGの演技性にも通じるところがあります。TRPGと異なり、どれだけ「ウケ」に走ってもセッションは壊れませんので、ぜひ周りをあっと驚かせてみてください。

一方でコンピュータゲームの文脈で言えば、本作はユーザーが作り上げたデータが価値を生む、UGC(ユーザー・ジェネレーテッド・コンテンツ)の固まりという点が興味深いところです。オンラインゲームはすべからくUGCの要素を含みますが、それをここまで意識的に取り入れたタイトルは初めでしょう。かつてTRPGは決められたシナリオに沿って進み、プレイヤー間の勝敗がない点から「メタゲーム」とも呼ばれましたが、本作はユーザーにデータ作成を任せる点に自覚的な、「メタオンラインゲーム」かもしれません。

■ハマればおもしろいが、そこまで至る配慮がもっと欲しい

その上で、少しだけプレイして気になった点を上げてみます。おそらくキャラクターの「カスタム作成」で、膨大な特殊能力やスキルのリストにハマれる人なら、本作は天国のようなゲームでしょう。もちろん、そうした才能を持たない一般ユーザー向けにも丁寧な配慮が行われています。公式サイトでは、さまざまな解説も行われており、プレイヤーなら必見です。しかしゲーム内で間口を広げる行為を、もっと期待しても良いでしょう。

まずUIが煩雑で、ぱっと見て難しそうな印象を受けます。序盤のうちはチュートリアルをかねたクエストで、さまざまな機能を試せるのですが、どのボタンを押せばいいのか、わかりにくく感じられました。クエスト中は次にクリックするボタンやアイコンが、常に点滅するなどの配慮があってもいいでしょう。また戦闘中以外でも、クリック音や決定音、キャンセル音などのSEも欲しいところです。

戦闘中では魔法の効果がわかりにくいように思われました。一例を挙げると、ゲーム序盤からNPCが使用する「祝福の光」という魔法があります。周囲のキャラクターの威力を+5してくれる便利な魔法なのですが、この持続時間や効果がわかりにくいように思われます。効果が持続している間は、威力のパラメータが変化したり、色が変わったりなどの演出が欲しいところです(「増加の杖」なども同様です)。

最後にCOMのAIがもう少し優秀であれば、さらに戦闘がおもしろくなると感じられました。具体的にはキャラクター同士が、より連携して行動をとるようになるといいですね。逆に戦闘がCOM任せになる防御時は、連戦連敗が当たり前なのも残念でした。そのためCOM戦だけでなく、対人戦も遊びたくなってしまいます。逆に完全にCOM同士で行うランキングバトルなどがあっても、おもしろいかもしれません。

■ユーザーの作ったデータのさらなる活用に期待

今後のアップデート予定ですが、すでにメニューにも表示があるとおり、「ギルド」機能が加わると思われます。「絆補正」が高まるほどに部隊が強くなるので、こうしたコミュニティ内で傭兵の雇いあいも進むことでしょう。今はまだ漠然としている世界観や裏設定、ストーリーなども、徐々に明かされていくのではないでしょうか。また今は戦闘して終わりの「週末戦」も、そこから何か一工夫あればと思います。

その上で、運営側でチョイスするなどして、ユニークなキャラクターのプロフィールを紹介したり、キャラクターの人気投票などを行うなどして、戦闘&レベルアップ以外の要素を広げていってはどうでしょうか。ディープな遊び方だけでなく、もっとカジュアルにゲームと触れ合えるようになれば、もっと裾野も広がるでしょう。

pixivとの共同でイラストコンテストも実施中


今となってはゴミとわかっていても、なかなか捨てられないキャラクターシートの束のように、おそらく本作で一番価値を持つのは、プレイヤーが作成したプロフィールデータだと思います。この宝の山をうまく活用して、オンラインゲームの新しい魅力の提示を期待したいところです。。
《小野憲史》

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