だが今年のE3では考え方を大きく変える必要性に迫られた。EAブースに展示されたタイトル群の中に、ゲームデザイン的に挑戦的かつ刺激的なタイトルがいくつも見られたのだ。限られた時間だったため、すべてを遊び込むことはできなかったが、その中でも特に目に付いたタイトルについて紹介していこう。
まず最初に紹介したいのが、人気FPSシリーズの最新作「メダルオブオナー:エアボーン」だ。第二次世界大戦の欧州戦線を舞台に、連合軍の兵士となってドイツ軍と戦うというのが大枠の設定で、今回はタイトルどおり空挺部隊の一員となる。映画「遠すぎた橋」などの世界を追体験できる仕組みだ。
さらっと書いてしまったが、実際に空挺部隊をFPSで描こうとすると、さまざまな問題に突き当たる。まずゲームのスタート地点は都市の上空、輸送機の中になるため、そこから見下ろしても端が切れないように、マップがある程度、大きくなければならない。
次に空挺部隊なので、マップのどこにでも落下できなければならない。プレイヤーによっては教会の上などに降りてしまうかもしれないし、爆撃で破壊された建物の中に降りてしまうかもしれない。それでもゲームが進められるようにしなければならないのだ。これはゲームのスタート地点を任意にプレイヤーが決められることを意味している。
その後、マップごとに決められたクリア条件に向かって、プレイヤーが任意にルートを探索し、クリアできるようにしなければならない。つまり敵兵士群のAIシステムを相当作り込む必要がある。さらにマップの中を緊張感を持って探索できるように、ゲーム展開の緩急のリズムを相当作り込む必要が出てくる。これはオープンフィールドとはいえ、一本道の展開が多かった従来のFPSとは、レベルデザインの概念が根底から変わってくる。
これら、考えただけでも気が遠くなる作り込みが、このゲームではかなりきちんと行われている(ように見えた)。そのため、1回のマップを何度でも楽しめる、自由度が高くゲームとして完成度の高い内容になっている(と思えた)。
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