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「ゲーム=デスクトップ」の常識を覆した10年......MSIの「ゲーミングノートPC」は何が違うのか【MSI社長インタビュー】

「ノートPC部門」総合満足度 最優秀賞を受賞したMSIへインタビュー。かつて根強く存在した「ゲームをやるならデスクトップ」という常識を覆し、日本のユーザーから支持を集め続ける理由を聞きました。

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右:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社 代表取締役社長 江 富盛(Ricky Chiang)氏、 左:ノートPCコンシューマー営業部 E-Commerce 営業課 課長 田中 諒氏

マザーボードやビデオカードの開発で業界を牽引し、10年前よりゲーミングノートPCへ注力し続けてきたハイパフォーマンスPCブランド「MSI」。 イードが実施したゲーミングPCのユーザー満足度調査「ゲーミングPCアワード 2025-2026」において、MSIは「ノートPC部門」総合満足度 最優秀賞を受賞しました。

かつて根強く存在した「ゲームをやるならデスクトップ」という常識を覆し、日本のユーザーから支持を集め続けるMSIのゲーミングノートPC。今回は、自らもノートPC部署からキャリアをスタートさせ、現在日本市場を牽引するエムエスアイコンピュータージャパン代表取締役社長 江 富盛(Ricky Chiang)氏へインタビューを実施しました。

パーツの価格高騰や円安が続く厳しい市況を生き抜く「集中販売」戦略から、日本市場が求める「コンパクトで高品質」へのこだわり、驚きの「2.5日修理」を実現する自社サポート体制の裏側。さらに、今年後半に控えるヒットモデル『Katana』シリーズの日本復活や、大型アニメーション作品とのコラボレーションまで、「ゲーミングノートPCと言えばMSI」を目指す熱い展望と熱意について深く掘り下げます。

ゲーミングノートPCを展開して10年...「ゲーム=デスクトップ」の常識を変えた

――まずは、改めて「ノートPC部門」総合満足度 最優秀賞の受賞おめでとうございます。Ricky氏のキャリアはノートPCの部署から始まっているとのことなので、ぜひ感想をいただけますか。

Ricky: おっしゃる通り、私のMSIでのキャリアはノートPC部署からスタートしましたので、今回の受賞はノートPCチームにとっても、私自身にとっても特別な意味があります。非常に嬉しいですね。

10年前、日本でゲーミングノートPCを展開した時は、「ゲーミングPC=デスクトップ」というイメージが強く、当時はゲーミングノートPCという存在自体があまり信頼されていませんでしたから。

――Game*Sparkのコメント欄でも当時は「ノートでゲームなんてできるわけがない」という反応が多かったです。

Ricky: そもそも昔のノートPCは、薄型化や持ち運びなどの利便性を追求したもので、「ゲームのパフォーマンスはデスクトップほどの構成にならない」という印象が強かったのだと思います。この10年間は他社とも一緒にそうした市場環境を構築してきて、ようやく製品の優秀さが認められ、実を結んだ思いです。

市場全体で一緒に盛り上がり、ユーザー様からも「ゲーミングノートもいいな」と認められるようになったのは、MSIのノートチームとしても本当に嬉しいです。

もちろん、市場規模としてはゲーミングデスクトップが圧倒的なシェアを持っていますが、今ではPCを買う際にゲーミングノートも有力な選択肢として入るようになってきました。このようなトレンドの変化は、10年前には全然想像がつきませんでしたね。

――実際にユーザーの反応やセールス自体も大きく伸びてきているわけですね。

Ricky: はい。最初の10年前は駅前の量販店10店舗からスタートしたのですが、現在は郊外の店舗や東北・関西など、全国1,000店舗以上の量販店にMSI製品を置いていただけるようになりました。

この数年間で、MSIも他社も量販店でゲーミング体験エリアを作っていますので、エンドユーザーの方々には、実際にゲーミングノートPCに触っていただく機会が劇的に増えています。実際の展示に触れてもらうことで、「持ち運んで外でも遊べる」「デスクトップに負けない性能がある」という特徴を直に体験し、認識していただけた結果だと感じています。

日本市場が求めるのは「品質」と「サポート体制」―自社生産・自社運営だからこそ実現できる「2.5日修理」

――日本のユーザーがゲーミングノートPCに求めるものと、海外の他の国で求められるものとで、違いはあるんでしょうか?

Ricky: 明確な違いがありますね。機種によりますが、日本は「コンパクトで高性能なノートPC」が求められています。日本の販売データによると15インチがメインですが、海外では17インチや18インチの大型モデルがメインなんです。

そうしたニーズに応えるため、弊社は自社開発のクーリングシステムによって、小さなボディの中にも高い排熱性能・放熱性能を発揮できるよう工夫を重ねてきました。10年前から開発してきたこの冷却技術に対して、ユーザー様からも「他社より優れている」という深い信頼を持っていただけていると感じます。

また、日本市場は品質(クオリティ)に対してものすごく厳しい要求がされるマーケットです。他社は製品製造をOEMに委託することが多いのですが、弊社は自社工場を持っており、開発チームと品質管理、工場が一丸となってクオリティを追求してきました。中国・昆山(クンシャン)の生産工場では、入庫から組み立て、出荷まで自社工場内で3,000項目以上の厳しい検査を実施しています。

――製品そのもののクオリティに加えて、日本では購入後のサポート体制も強く求められますよね。

Ricky: おっしゃる通り、日本はサービスも重視される市場です。私は2019年に社長に就任した際、国内のリペアセンター(修理拠点)を根本から立て直しました。最近ではスケジュール管理を徹底しており、例えばお客様から製品をお預かりして修理を完了し、出荷するまで「大体2.5日」というスピードを実現しています。

――預けてからすぐ手元に戻ってくるわけですね。

Ricky: はい。入荷してから修理してすぐお客様に出しますので、この2.5日という計算は「家まで届く配送時間」も含めての計算です。東京の東陽町に面積400坪ほどのリペアセンターを構え、平日稼働で迅速に対応しています。構造を熟知している自分たちで設計・組み立てているメーカーだからこそできる強みですね。

――コールセンターも自社で運営されているとお聞きしました。

Ricky: 実は最も難しいとされるコールセンターも、リペアセンター内に自社部署として設けています。責任者は元エンジニアが務めており、製品構造を熟知したメンバー7名の体制で丁寧に対応しています。

また、最近はコンシューマー向けだけでなく法人(B2B)の両方でマーケットを展開しており、法人のコールセンターは一般ユーザー様とは回線を分けて受け付けています。

――少し話は変わりますが、ビデオカードのイメージが強かったMSIさんが、3年ほど前にはポータブルゲーミングPC(ハンドヘルドデバイス)も市場に投入されました。こちらの狙いとユーザーの反応はいかがでしたか?

Ricky: 当初は、メインのデスクトップやゲーミングノートPCとアカウントを共有し、外でも同じ記録を引き継いで遊べる「セカンドデバイス」として展開しました。

ただ、日本は家庭用ゲーム機(コンソールゲーム)の大国という特殊なマーケットでもあるため、実は帰宅後にモニターやキーボードと接続してそのままパソコンとしても使える「ミニPC」としての魅力も強くアピールしています。

現在、多くのメーカーの参入でハンドヘルド市場は急成長していますが、あの小さなボディの中で高い性能を最大限に発揮させるための最大の決め手は、何と言っても「クーリング(冷却)性能」です。私たちは、長年ゲーミングノートPCの開発で培ってきた冷却技術を余すことなく活かし、高いパフォーマンスと持ちやすいデザインを両立させています。

今後はデバイスの画面サイズがより大きくなっていく傾向にありますので、携帯ゲーム機をはるかに超える美しい画質とゲーム体験をお届けできるよう、さらに改良を重ねていきます。

異常な市場だからこその“MSIの集中戦略”―「光らないPC」を好む日本

――ブランドや製品展開についてお伺いします。今年は厳しい市況が続いていますが、他社と比較しても買いやすい価格設定や、シリーズの再編を行われた印象があります。その狙いを教えてください。

Ricky: 確かに今年は市場環境が少し異常なんです。PCパーツ自体、特にメモリやSSDなどストレージの値上がりの影響を強く受けており、第4四半期以降はさらに厳しくなる見込みです。為替(円安)の問題も深刻で、グローバル企業として日本の国内店頭価格を決めるのに非常に苦労しています。

デスクトップ市場で強みを持つサードウェーブさんの『GALLERIA(ガレリア)』など他社の方々ともお話ししますが 、どこも厳しい時期だと感じています。だからこそ、弊社は今期、製品の「集中販売」戦略をとることにしました。

かつてMSIのゲーミングノートPCは大体8~9シリーズほどありましたが、今年はパーツ値上がりの影響や、ユーザー様にとって分かりやすくするために整理しました。グローバルでは今まで通り8シリーズほど展開していますが、日本では5シリーズに絞って集中販売しています。

――日本市場に特化してシリーズを厳選されたわけですね。さらに、気になる新情報もあるとお聞きしました。

Ricky: はい。実は今年後半から、アジア圏で絶大な人気を誇る「Katana(カタナ)」シリーズを日本市場で復活させる予定です。

「Katana」は侍の文化からネーミングされた製品で、日本の方にも非常に親しみやすく、以前展開した際も大ヒットした商品でした。現在、グローバルの一部では配備を調整していますが、日本や台湾などアジア圏での人気は圧倒的ですので、ぜひ日本での復活発表を楽しみにしていてください。

――日本のユーザーと海外のユーザーでは、デザインやキーボードのLEDの光り方などの好みも異なりますか?

Ricky: 日本のユーザー様は、非常に落ち着いたデザインを好まれる傾向がありますね。RGBで派手に光るものを嫌う方も多く、単色の白や赤、あるいは「全く光らない方がいい」という声が非常に多いです。学校などの法人ビジネスでも「学生には光るキーボードを使わせたくない」という明確な要望が寄せられます。

私は台湾出身なんですが、台湾のユーザーともセンスがすごく似ていますね。台湾マーケットも光らないほうが好きなんです(笑)。逆に、欧米や東南アジアの市場では、派手に光るRGBモデルが大人気なんです。

日本では自作PCのケースやマザーボード、ファンでも「光らないタイプはありませんか?」「白だけでいいです」という問い合わせが本当に多いですね。そのため、弊社のノートPC製品では「MSI Center」のソフト内から、ユーザー様ご自身でLEDの消灯や発光パターンの調整が自由にできるように設計しています。

――PCのスペックという点で、「AI」への対応も注目されています。MSI CenterにもAI機能が搭載されていますが、ゲーミングPCでAIを活用するメリットや展望について教えてください。

Ricky: 現在、クリエイターやデザイナーの方々は生成AIを日常的に使われており、そこには圧倒的な計算パフォーマンスを持つパソコンが不可欠です。

実は弊社の社内デザイナーチームでも、以前はイメージを1つ作るのにかなり時間がかかっていましたが、生成AIで概略を作ってから後加工するワークフローに切り替えたことで、営業やマーケティングへの提案スピードと生産性が飛躍的に向上しました。このような仕事の効率化には、必ず強力なGPUの力が必要です。

今後はCPUとGPUを組み合わせて、生産性と創造性を向上させる「AI PC」の需要が確実に増えてきます。

現在、Intel様やNVIDIA様と一緒に、お客様へ「AIが普段の生活や仕事にどう役立つのか」を分かりやすく伝えるコンテンツ作りや店頭展示を進めているところです。5000番台、さらには今後の6000番台といった次世代GPUが登場すれば、今まで以上の可能性が広がっていくと考えています。

ノートPCに足りなかったのは、スペックではなく「電力(パワー)」

――ここまでのお話で、ノートPCでもやりたいことがほぼ妥協なく実行できる時代になったと実感します。この先、両者の境界はさらになくなっていくのでしょうか?

Ricky: デスクトップPCは筐体が大きく、300Wなどの非常に高い電源容量(パワー)をかけられるため、搭載しているパーツの性能を100%引き出しやすいというメリットが元々あります。

これまで多くのユーザー様から「ノートPCはデスクトップに性能で劣る」と思われがちだったのは、決して搭載しているCPUやGPUのパーツの質(素材)の問題ではなく、単純に「電力(パワー)」の問題だったのです。ノートPCには携帯性や薄型化が求められるため、本来は十分な電力を供給しにくい構造上の制約がありました。

しかし、今回展開している「Raider」などのハイクラス製品では、弊社独自の基板設計と冷却技術によってシステム全体で最大300Wもの高い電力をかけ、デスクトップと同レベルの圧倒的なパフォーマンスを発揮できるようにしています。実際に評価テストを行っても、同クラスのデスクトップPCに絶対に負けない結果が出ています。

私たちが伝えたいのは、「MSIのゲーミングノートPCは性能重視、品質重視である」という揺るぎないアイデンティティです。ノートPCの上でも、最適な選択肢と最高のゲーム体験を提示し続けたいと考えています。

――Ricky氏が考える「MSIらしさ」、そしてモノ作りへの原点についてお聞かせください。

Ricky: 先ほども述べたように、日本はものすごく品質を重視する国ですので、私たちモノ作りメーカーの原点として「いい品質のものをユーザーの手に届けたい」という考えは決して変わりません。

「品質がいい」というのはメーカーとして最低限クリアしなければいけない絶対条件であり、さらにそこへ「圧倒的な性能」をアピールして、お客様との強い親近感を作っていきたいです。単に製品を高く売って利益を上げるのではなく、製品を使ってくださるユーザーの皆さんに恩返しをして、感謝の気持ちを実感していただけるようなブランドでありたいと思っています。

アニメとの大型コラボも準備中! MSI ノートPCのこれから

――市場的には、近年PCとのコラボなども人気ですが、他業種やIPとのコラボレーションについてはいかがですか?

Ricky: 以前実施したメルセデス・ベンツ(Mercedes-AMG Motorsport)とのコラボモデルは日本でも大人気でした。実は日本、台湾、中国のアジア圏は欧米市場よりもベンツが大人気で、あの時は販売店などでかなり力を入れてプロモーションを展開しました。

さらに、今年後半からは日本のアニメ作品との大型コラボレーションが控えています!

弊社の開発チームや本社にも日本のアニメファンがたくさんおりまして、今回はなんと「3つのタイトル」と同時にコラボレーションします。ノートPCだけでなく、ビデオカード、マザーボード、ゲーミングデバイスの全ラインナップで展開するこれまでにない大規模なプロジェクトです。

すでにイメージ図面も確認しましたが、作品の魅力を活かした素晴らしい仕上がりになっていますので、ぜひ公式発表を楽しみにしていてください。

――それは非常に楽しみです! 近日開催予定のキャンペーンなどはありますか?

田中: 8月末から大型セールを行う予定で、同時に「えらべるPay(※)」などで使えるキャッシュバックキャンペーンを展開する予定です。例えば、1人1万円分を還元するような形で、好きな電子マネーで受け取れる施策を準備しています。弊社の公式ストアでもお使いいただけますので、ぜひご利用いただければと思います。

※PayPay、dポイント、au PAY、Amazonギフトカードなどの好きなスマホ決済や電子マネーのポイントを選べるデジタルギフト


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――最後に改めて、読者に向けて、メッセージをお願いします!

Ricky: デスクトップPCももちろん素晴らしいですが、日本のユーザーさんの心の中に「ゲーミングノートPCと言えば『MSI』」というイメージをこれからも作っていきたいです。

今回、Game*SparkさんのゲーミングPCアワードで「ノートPC部門 最優秀賞」を受賞できたことは本当に嬉しく、今後の活動の大きな自信になりました。これからはキャンペーンやリアルイベントなどを通じて、お客様と実際に会話できる機会を増やし、ユーザー様の生の声を聞いて製品開発やサービス改善の糧にしていきたいです。

MSIはこれからも、ゲーミングPCで最高の体験を追求することに加え、AIやクリエイティブ分野にも新しい可能性へと挑戦していきます。ぜひ今後のMSIにご期待いただき、皆さんのゲームライフを私たちと一緒に盛り上げていければと思います。引き続きよろしくお願いいたします。


ゲーミング体験の進化を止めず、常にユーザーの期待を超える製品を届けるMSI。これまでの10年間の歩みは、単なるPCメーカーとしての歴史にとどまらず、日本市場にゲーミングノートPCという新たな文化を根付かせてきた挑戦の記録とも言えます。次はどのような驚きを私たちに届けてくれるのでしょうか。MSIの今後から、ますます目が離せません。


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《Game*Spark》

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