2026年7月10日に60周年を迎えた、空想特撮シリーズ「ウルトラマン」。日本ヒーロー番組の代表格の一つであり、TV以外の様々なメディアでも展開されてきました。

ビデオゲーム分野も例外ではなく、家庭用機向けの中でも特に長く続き、根強い人気を誇る作品に、バンプレストから展開された3D格闘アクション『ウルトラマン Fighting Evolution(以下、ウルトラマン FE)』というシリーズがありました。

「ウルトラマン」シリーズを題材とした、非常に優れた作品だったのですが、記事執筆時点で最終作からまもなく20年。直接の代替になりそうなソフトもありません。要するに筆者は“ウルトラマンを3D空間で操作して戦えるアクションの新作”に飢えに飢えているのです。
そんななか、なんとマレーシアのインディーデベロッパーPassion Republic Gamesがやってくれました。同社が手掛ける、アリーナ型対戦アクション『GigaBash』に「ウルトラマン」らがDLCとして参戦したのです。さらに2026年7月10日には、「ウルトラマンゼロ」コラボDLCも発売されました。
前述のとおりウルトラマン新作アクションに飢えていた筆者はおもわず同作に飛びついてしまったのですが、「ゴジラ」や「ガメラ」まで参戦している同作が同様に気になってしょうがない方は多いところでしょう。
本特集ではそんな『GigaBash』について全DLCを購入したうえで、いち『ウルトラマン FE』ファンとして感じた作品の概要と魅力、 “両タイトルの違いも見ていきます。
特撮インスパイア満載!空想から生まれた対戦アクション『GigaBash』とは?

遡ること2022年8月にリリースされた『GigaBash』は、オリジナル怪獣&ヒーロー(※ゲーム中ではまとめて“タイタン”と呼称)が彩るアリーナ型対戦アクションです。

基本ルールは最大4人、見下ろし型のステージでキャラクター達が戦い、相手の体力を削り切った方が勝者となります。
ステージ中のビルといったオブジェクトは上り下り出来るだけでなく、破壊したり、武器にしたり、相手に投げつけたりと自由に活用可能です。

ギガエネルギー(ゲージ)をためて巨大化&パワーアップする「Sクラス」や、ステージを漂う「必殺技ボール」を取って発動する強力な「必殺技」といった逆転要素も用意されています。

また、本作はインスパイア元に「ゴジラ」をはじめとする特撮作品の存在があり、「ウルトラマン」から着想を得たキャラクターも登場。開発元は“子供の頃は「巨大怪獣になって市街地で暴れ回る」という空想に魅了されていた”と語っています。
ゲーム部分は、『怪獣大激戦 ウォー・オブ・ザ・モンスターズ』や『パワーストーン』といったタイトルから影響を受けており、この点は本作の起伏あるフィールドでワチャワチャ戦う部分から感じられるほか、特にパーティーゲーム的な雰囲気やパワーアップシステム周りは後者から濃く継がれているのかもしれません。
巨大特撮オールスター!?豪華キャラクターの乱闘がDLCで実現
Steam全体レビューで“圧倒的に好評”な本作ですが、リリース同年に「ゴジラ」がDLC参戦。翌2023年に「ウルトラマン」、2025年に「ガメラ」とコラボし、最終的には日本の巨大特撮が集うお祭り作品となりました。
執筆時点で総勢30キャラクターが揃い、「ウルトラマン」シリーズからは以下の7人がDLCとして参戦しています。
Ultraman 4 Characters Pack(一時、日本から購入不可だったものの、現在は可能)
「ウルトラマン」「ウルトラマンティガ」「バルタン星人」「カーミラ」
Ultraman: Rising DLC
「ウルトラマン&エミ(Ultraman: Rising)」
Ultraman Zero DLC
「ウルトラマンゼロ」「ウルトラマンベリアル」
ウルトラヒーローは合計4人、うち3人は他作品のゲスト参戦でも選ばれやすい、世代を超えた人気がある盤石のラインナップ。Netflixアニメから参戦の「ウルトラマン(Ultraman: Rising)」は大元こそ同じ「ウルトラマン」ですが、特徴的な体型と赤ちゃん怪獣「エミ」とのタッグで差別化されています。

一方ヴィラン側は合計3人、女性キャラクターの「カーミラ」が選出されたのは特筆すべきでしょう。ウルトラマン原作ACTゲームで女性プレイアブルキャラクターは貴重であり、『ウルトラマン FE』シリーズでも実現していませんでした。

本作で「ゴジラ」や「ガメラ」と共演できた一方、宇宙人である「バルタン星人」を除いて、ウルトラ怪獣が1体もいないのは気になるところ。既存プレイヤーからも要望があるため、今後のコラボに期待です。

今回の「ウルトラマンゼロ」「ウルトラマンベリアル」だけで見ても、家庭用機向けアクションの参加はキャラクター等身が低めな『HEROES' VS』のみだったので、本作で念願の原寸スケールでのプレイアブル化となります。

ちなみに、正式なコラボは果たせていないものの、「キングコング」風のキャラクタースキンや、海外版戦隊ヒーロー「Power Rangers」を彷彿させるDLCキャラクター「R.O.J.A.K」が登場しているのも注目です。
『ウルトラマン FE』と比べると?3D対戦ゲーム同士でも見える方向性の違い

『GigaBash』と『ウルトラマン FE』、両タイトルともに3D対戦ゲームという土台に特撮を落とし込み、ビル街などの巨大なスケール感を活かした戦闘は、共通の魅力を感じさせます。

しかし、今回の比較にあたり、『GigaBash』の各モードを遊んでみたところ、“ゲームコンセプトの比重”という観点で違いが見えてきました。
前述の通り、『GigaBash』は特撮作品から着想を得つつも、ゲーム面ではまた別の既存タイトルが源流にあります。

一方、『ウルトラマン FE』シリーズは、第一に原作として「ウルトラマン」があり、ゲームのシステムは3D対戦格闘をベースにしたオリジナル。“原作を3D対戦格闘ゲームの文脈でどう解釈するか”という模索がシリーズを通して見られました。

例えば『GigaBash』は多種多様なキャラクターが登場し、造形や特殊能力に個性が現れているものの、操作の独自性や特徴付けの範囲に留まっており、全員に最低限の強さが担保されている作りです。各種パラメータを意識したバランス調整は開発者インタビューでも明かされており、コラボキャラクターにもこの方針は見られます。

片や『ウルトラマン FE』はシリーズによって、原作要素を積極的に取り込んだり、映像で描かれた強さをそのまま再現したり、“ゲームバランスは二の次に、キャラクターらしさ”を優先している側面がありました。
その点で『GigaBash』は“特撮を元ネタにした対戦ゲーム”なのに対し、『ウルトラマン FE』は“原作ファン向け対戦ゲーム”というコンセプト。ここは競技性を意識したゲーム性と、キャラクターらしさを第一にしたゲーム性で分かれた部分なのでしょう。

また、カメラワークも『GigaBash』はステージを活用するシステムからか、視認性を重視した見下ろし型である一方、『ウルトラマン FE』はキャラクターを眺めやすい近~中距離のショットな点も違いと言えます。

『GigaBash』はリプレイ機能で過去の対戦を再生する際、UIの非表示やカメラ位置の調整が可能であり、スクリーンショット撮影には優れるものの、没入感ではリアルタイムで戦いながらの『ウルトラマン FE』に一歩劣ります。
細かい点として、『GigaBash』ではBGMがステージ毎に固定されている一方、『ウルトラマン FE』は対戦キャラクターに依存したBGMが流れる仕様です。

『GigaBash』に関しては、最大プレイヤー数やコラボ先の原作BGM使用料の観点で致し方ない側面もありますが、今後プレイヤー側でMP3を用意して自由に曲を切り替える“カスタムサウンドトラック”的な機能が実装されれば嬉しいところ。
総じて、『GigaBash』は“ゲーム性を前提にしたパーティー対戦アクション”、『ウルトラマン FE』は“ごっこ遊びもできる対戦アクション”、いずれも特撮を背景に、特撮への愛を持って作られているものの、目指した方向は、ジャンルの差以上に違う印象を受けました。
ソロプレイでどこまで遊べる?気になる『GigaBash』各種モードを一挙プレイ

『GigaBash』には対戦以外にも様々なモードや収集要素が実装されています。『ウルトラマン FE』シリーズでも各種1人プレイ専用モードが用意されていましたが、これらと比べた際のやり応えやボリュームも見ていきましょう!

まず紹介するのは「アーケードモード」です。こちらは1対1で9連戦するモードとなっており、最終ラウンドでは常に「Sクラス」の強力な敵が登場。途中で倒されても3ライフ分までコンティニューできるほか、残り体力などを基に換算したスコアが記録されます。

一般的な対戦ゲームの同名モードと概ね同じ仕様であり、これでしか解禁できない要素はない一方、ルールはシンプルなのでキャラクターの練習や力試しに持ってこいの内容となっています。

なお、普通に戦うだけでは満足できない、難しさを求めるプレイヤー向けには「命運モード」がオススメです。

こちらのモードはソロ/2人協力プレイで挑むことができ、残り体力を引き継ぎながら連戦。一定ウェーブ数を生き残る度に報酬として能力強化かギガエネルギー回復を選び、最終ウェーブを突破すればクリアとなります。

挑む内容はクラシック(50ウェーブ)/ミュータント(30ウェーブ)の2パターンがあるほか、ステージと選択できる報酬はランダムな一方、ウェーブ毎の敵構成は固定です。それぞれ後半になるほど敵が増えたり、強化されたりするため、なかなか一筋縄ではクリアできません。
一定ウェーブを突破するとキャラクターの特殊スキンが手に入るため、カジュアルプレイヤーも挑戦する価値があるモードですが、システム仕様からキャラクターの相性差を感じやすい点は要注意。

体力を温存して安全に戦いやすい遠距離攻撃、囲まれてもゴリ押せるハイパーアーマー攻撃、どちらかを持っていないキャラクターは苦戦しやすい印象を受けました(※クリアしてみたところ、クラシック/ミュータントともに手に入る特殊スキンは一緒の様子)。
その点「ウルトラマン」シリーズのゲストは遠距離攻撃が得意な傾向にあるため、これらキャラクターで攻略したいファンにとっては朗報と言えるかもしれません。

なお、対戦モードとしては、2~4人でお互いの体力を削り合うデスマッチ/チーム戦に加え、特殊ルールで戦う「どんちゃん対戦」が用意されています。

名前の通りパーティー要素を強めたミニゲーム集となっており、一撃即死のサドンデスをはじめ、相手を大穴やマグマ、氷湖に落とし合ったり、王冠を奪い合ったり、アイテムで攻撃し合ったりとルールは多種多様です。


筆者が特に好きなのは建造物を多く破壊したプレイヤーが勝つ「ランページ」。『ウルトラマン FE Rebirth』の同ルールを採用したミニゲーム「大破壊モード」を思い出して懐かしくなったほか、直接攻撃し合わない変則性が推しです。
なお、通常の「対戦」と「どんちゃん対戦」はオンラインでも可能ですが、世界中のランダムな相手と戦える「オープン対戦」は前者をベースにしたルールとなっています。

最後に、『GigaBash』には本作オリジナルキャラクターの物語を描く「ストーリーモード」が実装されています。シナリオは本体4本+DLC1本、計5本の独立した話が用意されており、それぞれ主役となるキャラクターは固定です。

イラスト付きのカットシーンが多数用意されているほか、ストーリー中は戦うだけでなく、特定のオブジェクトを破壊したり、防衛戦を行ったりと様々な目的が用意されており、どこか『ウルトラマン FE』の「ウルトラモード」を彷彿させる作りです。

サブクエスト(任意のミッション)を達成すると特殊な会話が発生し、クリア後にボーナスポイントが加算される要素もあります。
内容として、人類側は悲惨なことになりつつも、可愛らしい怪獣のリアクションが憎めないシナリオが多めですが、特に筆者の推しはDLC「Final Ascension」で追加された「ギガマン」のものです。

「ギガマン」自体、「ウルトラマン」から着想を得たキャラクターであることが明言されており、シナリオも「ウルトラマン」リスペクトを強く感じるものでした。

純粋に1人のヒーローの生きざまを描く物語としても魅力があり、本DLCで追加される「ギガマン」の強化形態「ガヤギガマン」の必殺技名が「ギガ・バッシュ」とゲームタイトルを回収している点もかなり熱いです。
詳述は避けるものの、シナリオ終盤の流れにワクワクする気持ちを抑えられず、筆者としては思いがけず“『GigaBash』を遊んで一番良かったと思った瞬間”となりました。

このギガマンのストーリーが収録されたDLCは、ストーリーのほか本作のオリジナルキャラクター2人(体)が収録されて1,380円。遊んだ後ならキャラクター4人(体)を収録した「ウルトラマン」や「ゴジラ」DLCに並ぶ価格設定にも納得感がありました。
一方で、本作オリジナルキャラクターのDLCということもあり、購入をスルーしてしまう人がいそうな点はかなり惜しいかもしれません。今後、パッケージ版などを販売する機会があれば、是非このDLCを同梱して欲しいです。
ちなみに、やり込み要素の一環としてプレイヤーレベルとキャラクター個別のレベルが設定されており、各モードを遊べば遊ぶほど経験値が蓄積します(※ストーリーモードのみキャラクターの経験値は蓄積しない様子)。

レベルに応じてギャラリーで閲覧できるコンテンツやキャラクターのスキンが解放されていくため、プレイヤーが様々なキャラクター・モードに触れていく促進剤として機能しています。

ただし、残念ながら「ウルトラマン」をはじめ、DLCキャラクターには本システムは実装されておらず、使い込んでも新たなスキンが手に入ることはありません。これらキャラクターを愛用する場合、リプレイ性はプレイヤー側のモチベーションへの依存度が強めと言えます。
おわりに―結論として

『GigaBash』の各要素の紹介は以上となります。結局、筆者の『ウルトラマン FE』を求める“ウルトラゲー欲は解消されたか”と聞かれると、正直なところ“楽しめたが別腹だった”というのが本音です。
先述の通りゲームとしての路線が違うため、“本作だからこそ実現できたであろう魅力”もあれば、“『ウルトラマン FE』でしか満たせない需要”も再確認できたのが個人的に今回の収穫でした。
しかし、「ギガマン」のストーリーモードの素晴らしさから、“Passion Republic Gamesが本気でウルトラゲーを作ったらどうなるのだろう”と興味がわいてきたのも事実。これもひとえに同スタジオの特撮愛が故になせる業であろうと感じました。
同様にウルトラゲーを求めているファンで、これまでの点を見て興味を持った場合は、2026年7月15日時点でニンテンドースイッチ/Steam(PC)版がセール中となっています。※Xbox One/ Xbox Series X|S/PS4/PS5/PC(Epic Gamesストア)版もあるが、こちらは未セール中。
なお、本作はモバイル版も予定されているだけでなく、告知には「ウルトラマン」DLCも含まれているため、より手軽に巨大特撮オールスターによる乱闘を楽しめるようになります。
開発元は『キングコング』や『パシフィック・リム』コラボも望む意向を明かしているため、本作の今後の展開に注目です。
















