エンジニアのViktor Tóth氏らのチームがネズミに名作FPS『DOOM』をプレイさせるためのVR(仮想現実)装置を開発し、その詳細を公開しました。球体状のトレッドミルやパノラマスクリーンなどを組み合わせた特製の装置で、全てのハードウェア設計図やソフトウェアはオープンソースとして公開されています。
砂糖水を報酬に『DOOM』をプレイするネズミたち
プロジェクトの公式サイトによると、このVR装置はネズミが『DOOM』の世界を自らの足で歩き、武器を発射できるように設計されているとのこと。装置は、ネズミの動きを捉える球体状のトレッドミル、視界を囲むパノラマAMOLEDスクリーン、前足で引いて武器を発射するトリガー、そしてゲーム内での行動に応じて砂糖水を供給する報酬システムで構成されています。
このプロジェクトは過去にも初期バージョンが報じられましたが、今回公開されたバージョン2では、よりスムーズな動きを実現するボール駆動メカニズムや、広視野角のスクリーンが搭載されるなど、大幅なアップグレードが施されています。今回のプロジェクトに参加したネズミの名前は「トッド(Todd)」「コジマ(Kojima)」「ゲイブ(Gabe)」とのことです。
プロジェクトチームによると、ネズミたちが装置に慣れ、仮想環境を移動したり射撃のトリガーを引いたりすることを学習した段階まで到達したものの、ネズミが高齢になったため、本格的なトレーニングは完了していないとのことです。
また、海外メディアVICEが2022年に行った取材によると、神経科学者でもあるTóth氏がこのプロジェクトを始めたのは、イーロン・マスク氏の「Neuralink」(脳にチップを埋め込んだ豚)の発表に触発されたことがきっかけだったとのことです。記事では、この研究が将来的にはロボット義肢の開発などに役立つ可能性も指摘されています。
全設計図をオープンソース化、誰でも再現可能に
本プロジェクトは、3Dプリンターで出力可能な部品の設計図、回路図、制御ソフトウェアに至るまで、開発された全てのコンポーネントがオープンソースとして公開されています。これにより、他の研究者や開発者がこの研究を再現し、さらに発展させることが可能となっています。
これまで様々なデバイス上で動作報告がなされてきた『DOOM』ですが、この実験では「何で動かすか」という段階から、「誰がプレイするのか」という新たな次元へ。
この実験で用いられたVR装置のハードウェア設計図やソフトウェアは全てオープンソース化されているので、今後この研究を基にしたさらなるユニークな挑戦が登場するかもしれません。
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