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5周年を迎えた「PS5」は、逆風の連続だった─ままならぬ情勢を乗り越え、辿り着いた販売台数と新展開とは

逆境に抗い続けたPS5の5年間とは。

ゲーム 特集
5周年を迎えた「PS5」は、逆風の連続だった─ままならぬ情勢を乗り越え、辿り着いた販売台数と新展開とは
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2020年11月12日に発売された家庭用据置型ゲーム機「PlayStation 5」(以下、PS5)が、記念すべき節目となる5周年を迎えました。

ゲーム市場の大きな転換期となった初代「PlayStation」から始まり、世界累計販売台数が1億6,000万台を突破した「PlayStation 2」、Blu-rayの再生も可能な「PlayStation 3」、PS2に次ぐ1億1,000万台の記録を持つ「PlayStation 4」と、歴代のシリーズも華々しい活躍を遂げており、PS5には後継機として大きな注目と期待が寄せられていました。

しかし、PS5がこれまでに歩んだ5年間の歴史は、華々しい活躍だけでなく、苦難に満ちた一面が色濃かったのも事実です。果たしてPS5は、どのような逆風に翻弄されたのでしょうか。

■「予約困難」から始まったPS5

PS5は発売前から、多くのユーザーから関心を集めていました。その理由はいくつかありますが、高いスペックを要求するAAAクラスの大作を受け止めるような、高性能機を求める需要があったことも大きな要因と言えます。

また、PS4ソフトとの互換性があり、前世代機のゲームも継続して遊べる利便性も、購買意欲を促す一因でした。もちろん、PSシリーズへの信頼が広く根付いていた点も外せません。

発売前からPS5の需要は相当高まっていましたが、最初の問題として立ちはだかったのが、予約の困難さでした。当時の予約受付は、各販売店も含めてほぼオンラインのみ。また、需要と供給のバランスが釣り合わないほどの人気ぶりだったため、予約開始直後に定員数を満たし、大半の希望者が予約できない事態に陥ります。

しかも、大勢の希望者が詰めかけたため、サイトではエラーが出たり、サーバーが一時的にダウンするといったアクシデントもありました。そのため、カートまでは入れられたのに、決済できずにやり直し……といった悲劇も生まれます。

単純に間に合わなかっただけなら諦めもつきやすいのですが、何度もアクセスを繰り返し、3歩進んでは3歩下がるといった空回りを味わった上で予約できないとなると、徒労感もひとしおです。人気の高さゆえの状況とはいえ、少なくともポジティブな展開とは言えません。

■発売日以降も入手難が続く

ただし予約がオンラインのみだったのは、PS5の販売方式自体に問題があったわけではなく、コロナの影響によるものでした。

PS5が発売される2020年11月から遡ること約1年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が2019年末に確認され、その感染はまたたくまに世界規模で広がりました。国内でも感染例が多発し、「こまめな手洗い・うがい」「マスクの着用」「密を避ける」といった対策も徹底されるようになります。

この「密を避ける」の一環として店頭受付が見送られ、予約受付がオンラインのみとなりました。これはPS5に限らず他の業種でも見られた措置だったため、一企業では手の打ちようがない逆風に他なりません。

しかも発売前の予約だけでなく、発売日以降の入荷についても、受付は長らくオンライン限定でした。また、先着方式から抽選販売形式に切り替えた店舗も多く、集中的なアクセスによる混雑は緩和されたものの、今度は“運がなければ手に入らない”という新たな壁が立ちはだかりました。

■供給不足の原因は世界的な情勢にあり

ゲーム機が発売日やその直後に品切れとなり、しばらく手に入らないという事態は、さほど珍しいものではありません。ゲーム史を振り返るまでもなく、そうした例は枚挙にいとまがないほどです。

しかしPS5の場合、入手しにくい期間の長さが異例とも言えるほどで、多くの店舗が、2年以上にわたって抽選販売を続けていました。それだけPS5の人気が高く、そして長く要望されていた──というのも間違いありませんが、供給が十分ではなかったとも言えます。

PS5の供給不足も、時代に翻弄された一面があります。コロナ禍の影響は生産にも及んでおり、流行に伴う工場の一時的な閉鎖や稼働率の低下などが看過できないレベルに達していました。これもPS5に限った話ではないものの、発売前から直接的・間接的な影響下にあったため、全般的に生産台数が伸び悩む要因となります。

ライバルとして語られることも多いニンテンドースイッチ(以下、スイッチ)も、同時期に供給が不足したこともありました。ただしスイッチは2017年に発売されたため、コロナが流行するよりも前に相当数の台数が普及しており、あらかじめ欲しかったユーザーの手元には一定量行き渡っています。

コロナ禍の時期にスイッチが供給不足に陥ったのは、家で過ごす時間が増えたことによる「巣ごもり需要」によるもの。自宅や自室での時間を活用したいと考え、新規層や2台目の購入を検討していたユーザーが関心を示した結果です。

巣ごもり需要で再点火したスイッチと、発売以降ずっと供給不足が続くPS5。どちらもコロナ禍の影響によって入手難となったものの、その明暗は分かれる結果となりました。



《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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