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“圧倒的不評”の『The Day Before』を救いたかった…リリースまでの波乱の歴史と“カジュアルさ”が面白かった早期アクセス版の記録【プレイレポ】

愛せるところはありつつも、少なくない問題点がユーザーに受け入れられませんでした。

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“圧倒的不評”の『The Day Before』を救いたかった…リリースまでの波乱の歴史と“カジュアルさ”が面白かった早期アクセスの記録【プレイレポ】
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2023年12月8日、パブリッシャー・MytonaよりFntastic開発の新作ゲーム『The Day Before』が早期アクセスにてリリースされました。Steamでのユーザーレビューは「圧倒的に不評」というなかなか見ないほどの低評価になっており、「一体どんなゲームなんだ……」と気になっている人も少なくないのではないでしょうか。



本記事では、大きな期待と懸念を抱えてリリースを迎えた本作の波乱の歴史と、実際に遊んだ筆者のプレイ感想をお届けします。

いろいろありすぎた……リリースまでの波乱の歴史

本作が初発表されたのは、2021年1月のこと。謎のゾンビウィルスが蔓延し崩壊したアメリカを舞台に、生存者たちが物資を求めて殺し合うオープンワールドMMOサバイバル作品として紹介されました。



その後、2021年3月には初となるゲームプレイ映像や、泥の上を走るオフロード車がリアルにタイヤ痕を付けていく映像などが公開。「ほんとに遊べるの?」という疑念を持つユーザーはいつつも、着実に注目を集めていきます。



2021年10月には、PC版の発売日が2022年6月21日に決定。ウィッシュリストランキング上位に名を連ねる期待作として迎えられていましたが、配信およそ1か月前となる2022年5月上旬にはUnreal Engine 5への移行に伴い、2023年3月1日への延期を発表しました。

このあたりから、本作を期待するユーザーの間でも疑念が浮かび上がってきます。発売予定日ギリギリまで公開されている情報が不足しており、プレイ映像も本当のゲームプレイフッテージなのか不明であること、無給か有給かが曖昧な「ボランティア」でのスタッフ募集を実施していたこと、ロシアへのウクライナ侵攻によってロシアへのヘイトが高まり、ロシアのヤクーツクで創業したとされるFntastic(※現在はシンガポールが拠点であるとされている)への疑念の眼差しなどが重なり、本作は「怪しいゲーム」扱いになっていったのです。

そして2023年1月、本作にひとつの事件が起こります。それは、「The Day Before」という名称を商標登録していた人物からSteamに通告が行われ、ストアページが非公開になってしまったというものです。



後に、商標登録していた人物はゲームカテゴリとは無関係のカレンダーアプリ開発者であることが判明し、Fntasticよりも先に商標を登録したことがわかります。このカレンダーアプリは2017年頃にリリースされたため意図してタイトルを被せたわけではないようですが、商標登録したこと自体に悪意があったかどうかは不明です。Fntasticはついでに発売日を11月10日へと延期することも発表し(※商標問題とは関係なく延期予定だったと釈明している)、きな臭さが徐々に増していきます。

11月10日からの延期はもう行わないと宣言していましたが、最終的には12月8日へと延期。商標問題はこの時点で解決したようで、大きな波乱を見せながらもリリースまで漕ぎ着くことができました。



最高のマーケティングができなかったことについて謝罪しつつも、詐欺疑惑は事実ではないと宣言。しかしながら多くのユーザーには受け入れられず、発売日から1万件以上のレビューで低評価を下されてしまいました。

“サンドバッグ化”している面も?実内容に迫る

結論から言えば、『The Day Before』は良いところ・面白いところを確実に備えているゲームです。少なくとも筆者は、かなり気に入っています。本作をひとことで表すとしたら、「ポストアポカリプス・オープンワールド・のんびりゴミ拾いゲーム」。基本的なゲームの流れは、街に出ての探索。街にはNPCの敵となるゾンビに加え、他プレイヤーが操作する敵も存在します。

街でアイテムを拾ったら、街の特定地点から拠点に帰宅。持ち帰った物は売ったり保管したりできます。売って得たお金で武器や装備を整えていくことで、徐々に街に出るときに有利になっていきます。一方で、死亡するとすべてのアイテムをロストしてしまうので、高価なものを持っているほどリスクも付きまといます。

オフィシャルには「オープンワールドMMOサバイバル」と銘打っていますが、デザインとしてはいわば『Escape from Tarkov』や『Dark and Darker』などを始めとしたPvPvEジャンルの作品に近いもの。タイトルによってはいつ襲われるかわからない緊張感があるジャンルですが、本作の良いところは「ゲームバランスがゆるいところ」にあります。

街を歩いていれば、もちろん戦闘が発生します。『Tarkov』は一発の被弾が致命傷に繋がりますが、『The Day Before』ではノーアーマー・ノーヘルメットでも比較的体力の減りが遅く、一度銃撃戦になっても逃げを選択することができます。スタミナもかなり多いので、街をジグザグに走ればより逃れやすいでしょう。

出血などのデバフ要素もあるようですが、発生頻度は多くなく、軽い探索であれば致命的になることもありません。また、TPSであるが故に敵を見つけやすいという点もカジュアルに遊べる魅力に寄与しています。

街には廃車や木箱、バッグなどさまざまなオブジェクトが置いてあり、Fキーでのインタラクトでアイテムを漁ることができます。拾えるものの多くはガラクタですが、たくさん集めて売ればまとまったお金になり、良い武器や装備を買えるようになっていきます。

ガラクタはバリエーション豊かで、フレーバーテキストはユーモラス。これがとても良い味付けになっていて、「このアイテムにはどんなことが書いてあるんだろう?」と、さらなるガラクタ漁りの動機づけになります。

マップを探索してガラクタを漁り、持ち帰る。ガラクタを売って得たお金をコツコツと貯めて有利なアイテムを買い、それを装備してまた街に繰り出す。『Tarkov』でこのサイクルに中毒性を見出した人は多くいると思いますが、シビアなバランスに心臓が張り裂けそうになった筆者にとっては、難しすぎもせずゆるすぎもしない本作のカジュアルさが、非常に「ちょうどよい」ものだったのです。

『ディビジョン』的な寂れたNY風の都市も既視感はありますが魅力的で、Unreal Engine 5によって描かれる美麗なビジュアルは「居心地が良い」と感じます。だらだら探索するだけでなく、特定地点でアイテムを集めてくるというミッションも用意されているので、 一方で、入れる建物が少なかったり、インタラクトできるアイテムとそうでないものの違いがわからないなどの問題もあります。

しかしながら、最適化不足という問題も抱えています。ロケーションによって異なりますが、開けた場所などでは設定を変えても60FPSを下回るところが多く、改善の必要性は大いにあります。

「今後のアップデートに期待できるかどうかについては、筆者は期待しても良いと思っています。やっつけ仕事しただけものであったのであれば期待しようがありませんが、想像よりも基盤はしっかりとしており、本作を起動する理由になりえる魅力的なところも多々あります。」

この文は、本記事を執筆する最初の段階で書き留めておいたメモです。しかし、残念ながら財政難によってFntasticの閉鎖が決定したため、今後のアップデートはもう望めません。

本作は、期待を集め過ぎたという面があるかもしれません。PVで押し出されていた車両要素は現時点でなく、拠点からアクセスできるハウジング的な要素もまったく意味をなしていません。筆者は遭遇していませんが、拠点で預けたアイテムが消えてしまったり、チーターに殺されてしまったりと、少なくない問題を抱えています。



しかしそれでも、カジュアルに『Tarkov』的なPvPvEが遊べるゲームバランス、崩壊した現代的な都市という舞台設定、フレーバーテキストの良さによって集めがいのあるガラクタたちは、筆者にとってはどれも愛せるものでした。根幹の魅力は揺るぎなく、今後も問題点の改善やコンテンツの追加を行うことで化ける可能性は大いにあったと考えます。

正しく不満を訴えた人も多い一方で、冷やかし的なレビューや中傷を目的とした書き込みも多く見られます。プロモーションの力不足が招いたところもあり、“サンドバッグ化”して叩かれすぎている面もありと、一概に誰が悪いとは言いづらいですが、よくない道を辿ったのは間違いありません。

様々な情報が飛び交い、ゲーマーを良くも悪くも賑わせた『The Day Before』。思うところは多々ありつつも、一部プレイヤーにとっては想像以上に「愛せるところも多いゲーム」というものだったことが、本記事を読んだゲーマーに届けば幸いです。


《みお》
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