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にじさんじ・舞元啓介とホロライブ・大空スバル―伝説的なタッグを見せた「あの頃」を振り返る【バーチャルタレント名鑑】

にじさんじ・舞元啓介とホロライブ・大空スバル、伝説的タッグと活躍を見せていたあの頃を振り返ってみました。

配信者 VTuber
にじさんじ・舞元啓介とホロライブ・大空スバル―伝説的なタッグを見せた「あの頃」を振り返る【バーチャルタレント名鑑】
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日本のインターネットカルチャーを牽引するVTuber/バーチャルタレントシーン。そのなかでもコアとなっているのがホロライブ・にじさんじの二大事務所です。

ホロライブは2017年9月に、にじさんじは2018年2月にそれぞれスタートし、両事務所合わせた所属タレント数は200人を超えており、当然これまでに何度となくコラボ配信してきました。

そんな両社タレントのコラボ配信でも、いまとなっては珍しい組み合わせ・ファンならば当然ご存知の黄金コンビまで、これまで4回に分け、計5組について執筆してきました。


今回書かせていただくのは、かつてにじさんじ・ホロライブの両事務所を盛り立てた最強タッグ「舞スバ」こと舞元啓介&大空スバルの2人についてです。

◆2018年、9月、2人の新人VTuberが出会ったその時

大空スバルさんは以前の記事でもご紹介したように、2018年8月23日Twitterにて初ツイート、同年9月16日にはYouTubeで初配信し、デビューを飾りました。

ホロライブ内では圧倒的なまでの活発さ・社交性・明るさを駆使して、ホロライブのメンバーらと様々に交流し、配信ではリスナーとの会話で笑いを生み出していく、「THE 陽キャ」なVTuber/バーチャルタレントとして知られています。

2018年当時の生配信アーカイブがYouTubeチャンネルでは表示されないため確認はとれないですが、初配信から元気いっぱいだったのは間違いないようです。

そんな彼女ですが、2018年8月当初はさすがに友人や友達と言えるような存在がいなかった時期です。同時期にデビューを果たしたホロライブ2期生らとも交流はありましたが、ホロライブを運営するCカバー社社長である谷郷元昭さんが「デビュー時は声優や二次元のコンテンツへの理解は乏しかった」と言葉を残しているように、スバルさんはマンガ・アニメ・ネットカルチャーについて全く知らないままにデビューしてきました。

他の4人は自分と比べるとネットカルチャーへの感度も高く知識は豊富、すこし気が引けるような状況だったかもしれません。

そんななか、「同じVTuberでスポーツが好き」という理由でフォローしていたとあるVTuberに声をかけました。にじさんじSEEDs2期生としてデビューしていた舞元啓介さんです。

舞元さんは2018年8月13日にデビューしたばかり。デビュー配信では「スポーツ観戦実況がしたい」と熱く語り、直後から欧州サッカー・UEFAスーパー杯の予習配信をしてみるなど、スポーツに関連した生配信をしていました。

サッカー、野球、ラグビー、バスケ、プロレスなど様々なスポーツを愛し、スポーツにまつわる配信をしてきた舞元さんですが、後年にこの時期を振り返った際に「デビューして1か月ほどで、実はVTuberを辞めようと思っていた」と話しています。想像以上に伸びない視聴者数にかなりのプレッシャーと焦りを感じてナーバスになっていた……そんな状況だった舞元さんに、スバルさんは声をかけたのです。

2018年9月22日に2人の初めてとなるコラボ配信、ペヤング激辛MAXENDの早食い対決が行われました。

応援役のスタンドや審判役に白上フブキさんが登場していますが、すべてがイラストのみ。2人が口々に「地獄みたいな絵だ」と声を出して笑いあいます。

映像の動きが少なく、スバルさんに至っては実質声のみの出演ということもあり、2023年のいま見るととてもローテクな印象がうけますが、2人の会話は初対面とは思えないほどにテンポが良く、体を張った対決内容ということもあって、現在でも楽しく見られる配信になっています。

舞元さんのデビュー日は2018年8月13日、大空スバルさんのデビュー日は2018年9月16日、スバルさんはこの配信に臨むまでに、初配信後に3~4回ほどの配信をしただけでした。

ちなみに2018年9月22日に配信されたこの配信は、「現在視聴できるもっとも初期の頃のスバルさんの姿」を捉えています。舞元さん含めてお2人の声も初々しく、舞元さんのビジュアルは旧バージョンのものです。

「別事務所」「声も知らない新人」「しかも女性」のVTuberからの急な誘いにオッケーを出した舞元さんもスゴイですが、にじさんじ側の運営スタッフは「やめておいた方がいい」というスタンスで、ホロライブ側のスタッフは「ノリノリだった」と後年明らかになっています。

◆始まった快進撃、それは前人未到の歩みへ

この後、舞元さんとスバルさんは何度となくコラボ配信…いえ、共闘していくことになります。

前述の早食い対決での罰ゲーム「全力舞元コピペ朗読」では、あまりの内容に「アカンなこれ…」「お互いの事務所からクレームが出る」「ライバー人生が本当に終わる」というレベルであったということなどがあり、謝罪会見を開いてみたり

ボツと考えていた企画を全部やろう!と2人で奮闘したり、舞元&スバルのタッグでふくやマスターさん&日ノ隈らんさんの2人に麻雀対決に臨んだり

【天鳳】舞スバvsふくやマスター&日ノ隈らん 麻雀対決!

舞元さんは同僚であるSEEDs組の社築さん、ベルモンド・バンデラスさん、個人勢として活動していた天開司さんらを引き連れて、スバルさんはホロライブの先輩・同期にあたる大神ミオさん、百鬼あやめさん、夏色まつりさんらを呼び、企画配信を共にすることもありました。

【#にじホロ雪山人狼】にじホロで学ぶ雪山サバイバル 舞元視点【Project Winter】
【Vtuber】第一回サムネイルへたくそ選手権【#サムネへたくそ選手権】

2019年5月5日にスバルさんの3Dお披露目配信があった際には、本人にも知らされていないサプライズゲストとして舞元さんが登場し、「来ないって言ってたじゃん!」と驚きながらも感謝を伝えつつ、「おじおじも3Dになったら一緒に遊ぼうね!」と元気に話しかけていました。

配信中にも「おじおじ!次は舞元力一だよね!?ラジオがあるので!ぜひチャンネル登録お願いします!」と宣伝したりするなど、「打ち合わせの段階で3Dの姿を見て泣いた」と直後のラジオで話しています。舞元さんはおろか、当時のリスナーも心動かされたところでしょう。

【オフライン】深夜ラジオ「舞元力一」#13

2019年8月17日に催された「REALITY FESTIVAL3」にて、天開さんが主催・企画・実況の「Vtuber甲子園」が配信されました。「Vtuber甲子園」は、舞元さん、スバルさん、にじさんじの椎名唯華さん、歌衣メイカさんの4名が、「実況パワフルプロ野球2018」で育成したチームを率いて対戦するという内容です。

にじさんじ・ホロライブ・個人勢を代表する4人による熱戦は大きな注目を集めることになり、翌年以降はにじさんじ内の大型企画「にじさんじ甲子園」へと進化し、にじさんじを代表する大人気企画へと成長しました。

【#Vtuber甲子園】リーグ戦
「VTuber甲子園 -優勝決勝戦-」2019年8月17日放送

2019年9月22日には1年越しとなる早食い対決が行なわれ、2人に加えて白上さんも食するという展開で配信を盛り上げています。

【祝一周年】ペヤング激辛MAXEND早食い対決!舞元啓介vs大空スバル withジャッジ白上フブキ【#舞スバ】

VTuber・バーチャルライバーが増え始めた2018年は、そもそも男女VTuberの交流がほとんど無い状態でした。

ちょっとしたことでトラブルが起きてしまえば、あっという間にマイナスイメージが定着し、シーン全体が沈んでしまうかもしれませんし、そもそも男性と女性によるコンビが物珍しいなかでトラブルが起こってしまった場合、その後シーンの在り方・考え方・捉え方に大きな影響を及ぼすかもしれません。

当時からスバルさんと舞元さんが口にしているように、ホロライブは「アイドル」を押し出したグループであり、現在に至るまで非常に多くの男性ファンがついています。にじさんじの男性ライバーが何か粗相をしてしまったら、ファンから大きなバッシングが起こる可能性は十二分にありえる……そういった可能性・不安がかなり大きく/厚くあった時代でした。

そんな不安が募っていた2018年から2019年にかけて、「なんぼのもんじゃい!!」とばかりに覆してみせたのが、他でもない「舞スバ」の2人でした。2019年以降は男女のVTuberが気兼ねなく交流しやすいムードへと変わっていくなかで、「舞スバ」2人のさまざまな活動は、VTuberが性別関係なくフラットに共演できる潮流に貢献していたのは明らかでしょう。

1年にも及ぶ共闘は、にじさんじ・ホロライブの両事務所、ひいてはVTuberシーンを盛り上げました。茨道を掻き分け、前人未到の領域を生み出した男女タッグとなったのです。

◆舞元・スバルに加わるしぐれうい 前人未到の2人は伝説へ

大空スバルさんのビジュアルを描いたイラストレーター・しぐれういさんがVTuberとしてデビューしたのもこの頃(2019年5月18日に初配信)であり、それまでのコラボネーム「舞スバ」に加えて「大空家」の3人としても活動することが増えていきます。

穏やかな口調とクリアな声色で現在は快活に活動する彼女ですが、当初は配信に馴れているとは言えない状態でした。そんななかにあって、アクティブ&アグレッシブな2人に感化されるように、ブレーキを一切踏まない勢いで2人の背中を押していくこともありました。

名作「ドリームクラブ」をプレイした際には、男性1人・女性2人の3人組ということもありセクシャルな部分に触れづらい舞元さんと、セクシャルな部分にも興味を持って見守る女性2人という構図となり、舞元さんはどうしてもひるんでしまいます。

そんな彼に対してういさんが「何をひよってんだ舞元!いくぞぉ!」と発破をかけるなど、終始ノリノリで地獄のような企画を楽しんでしまいました。

【#大空家】大空家で行くドリームクラブ【地獄】

舞元さんは、自分が好きだったキャラクター・ナオの外見が大空スバルに似ていることもあり、終始やりづらそうにしている様子。そんな舞元さんに釣られていつもと違ったムードのなかにスバルさん、そんな2人を横目にういさんが配信を引っ張っていく構図となります。

その後数多くの配信をこなしていく彼女ですが、穏やかそうな性格と裏腹にいつの間にか場をリードしていくことが多いのです。もしかすればVTuber・しぐれういさんの基礎はこの2人によって刷り込まれていたのかもしれません。

その後も雑談配信や学力テストで3人で競い合ったり、しぐれういさんが制作したバレンタインボイスをお互いに聞き、そしてういさんも即興で台本を読むなど、和気あいあいとした活動を3人で続けていました。

【#大空家学力テスト】春だ!殴り合いだ!真のバカは誰だ!

2020年4月からは「舞スバ」グッズが販売され、そのデザインはもちろんしぐれういさんが手掛けています。にじさんじ・ホロライブと別々の事務所に所属しており、しかも男女コンビでのグッズ販売は異例かつ異色の展開であり、現在まで彼ら2人しか成し遂げていない偉業ともいえます。

2020年7月22日、舞元さんは念願となる3Dお披露目配信を行ない、スバルさん・ういさんはともにゲストとして出演しました。「もう2年の付き合いになるのか」と感慨に浸る2人、間違いなく素晴らしい共闘相手だったといえるでしょう。

【3Dお披露目】34歳独身農家の3Dとは【にじさんじ/#まいもと3D】

そんな2人のコラボ配信は、実は2019年9月の1周年をひとつの節目として一気に配信が減っていくようになります。2023年1月下旬現在、2020年11月の2周年を祝う大空家ラジオを最後に、この2人組はYouTube上での配信を行なわれていません。

【#大空家コラボ】2周年企画!大空家ラジオ!【にじさんじ/舞元啓介】

2022年5月28日にしぐれういさんによるソロイベント「うい・おん・すてーじ -雨上がりの文化祭-」にてゲストとして2人が出演しましたが、このタイミング以外で2人が共演したイベントはありません。

2018年から2019年の1年に渡って共闘した2人の動きは、あるときを境にピタっと止まってしまったのです。

◆それぞれ歩み始めた自分の道と功績

その後舞元さんは現在に至るまで、にじさんじ内外・男女問わずさまざまなコラボ配信を行ない、場を仕切るMC力・司会力・掌握力に長けた男性タレントへと成長しました。

一方でスバルさんはオタクカルチャーと距離感があるがゆえの「常識人」「一般人」的な立ち位置がうまれ、明るいキャラクターでガンガンとツッコミを担う立ち位置を確立していきました。

周囲の同僚・タレントからもおおきな信頼を受け、さまざまな会話術や言動で企画を盛り上げるのに長けた2人の姿に、「友達が少ない」「引退を考えた」という言葉は今ではいっさい感じられません。

さきほど筆者は「共闘」と記しましたが、2人がなぜ共闘していたのかを考えればおのずと察する部分は多いと思います。

スバルさんは一緒に配信できる友人がほとんどいなかった。舞元さんは引退を覚悟するレベルで苦戦していた。何よりお互いにデビューしたてだったこともあり、是が非でも注目を集めたかった。

2018年のあの時期において、2人が話題作りも含めて手を組むには納得できる理由がいくつもあります。なにより2020年に入ると、社会状況がそれを許さなくなります。コロナ禍の影響でインドア需要が一気に増え、にじさんじ・ホロライブともに一気にリスナー・ファンが増加していったのです。

舞元さんはにじさんじを代表した公式番組で司会を務めたり、大型企画の発起人になることが多く、スケジュールそのものの空きを見つけるのが難しい状態に。スバルさんもアイドルとしての歌活動に加えて、通常の配信活動も旺盛なままで活動を続け、2人ともにコロナ禍というあまりに特殊な状況だからこそリスナーを掴むために躍起になっていきました。

2021年に入ると、両事務所ともに「事務所イベント・大型企画」に注力するようになり、舞元さん・スバルさんともに大型企画・イベントに欠かせないタレントだからこそ、スケジュールが全く合わないレベルにまで忙しくなっていった、というのは想像するにたやすいと思います。

年を経るごとに人気・実力を兼ね備え、スケジュールの空きすら見つけるのも難しくなった2人にとって、「共闘する」ことが難しくなった……活動が幅広くなっていくのはリスナーからすれば嬉しいことであり、できることが限られてしまう点では悲しいことでもあります。

2023年の夏はお2人ともに4周年を迎え、5年目のシーズンとなります。シーンの空気・あり方を変えた伝説の2人は、果たしてふたたび共闘することはあるのでしょうか?

「バーチャルタレント名鑑」過去記事はコチラ
《草野虹》

福島・いわき・ロック&インターネット育ち 草野虹

福島、いわき、ロックとインターネットの育ち。 RealSound、KAI-YOU.net、Rolling Stone Japan、TOKION、SPICE、indiegrabなどでライター/インタビュアーとして参加。 音楽・アニメ・VTuberやバーチャルタレントと様々なシーンを股に掛けて活動を続けている。 音楽プレイリストメディアPlutoではプレイリストセレクター(プレイリスト制作)・ポッドキャストの語り手として番組を担当している。

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