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「フィギュア」はどうやって作られる? トップメーカーに密着したら、進化し続ける“職人技”がスゴかった!【フィギュア作り】

フィギュアがどのように企画制作されているかを知るために、インサイド編集部は『フィギュアストーリー』とともに「大人の社会科見学」を企画!フィギュアの企画・制作をひと通り行っている株式会社ウイングさんに協力いただき、制作現場の裏側を取材させてもらいました!

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原型師さんに訊く! フィギュア造形の極意とは?


全体の工程を教えてもらったので、次はさらに掘り下げて、各担当者の実作業を見せていただきたいと思います!


トップバッターは原型師のmakotoさん。美術系大学のご出身で、手原型で約10年、現在はデジタル環境で原型制作をされています。
美術学校で彫刻を学んだこともあり、デジタル環境でも彫刻のノウハウを活かした独特の創作をされているようです。

▲原型師のmakotoさん。創作のキャラクターをいかに「実在しうる存在」として立体化するか、その部分の解釈の難しさと試行錯誤に魅力を感じているそうです。

――まずは作業の流れを教えて下さい。

makoto:原型の作業はだいたい1枚絵の資料からスタートすることが多いので、企画担当者と打ち合わせをしたら、関係する資料を集めて準備をしっかりします。ファンがそのキャラクターをどのように見ているのか、キャラクターのバックボーンはどうなのか、世界観はどうなのか……。せっかくその世界観を立体化するわけですから、キャラクターだけでなく人間関係なども調べてから着手するようにしています。

▲実際の作業風景。

▲こちらのイラストを元に…

▲モニター上でデジタル原型を制作します。なおツールはホビー業界では一般的な「ZBrush」を使用しています。

▲後に3Dプリンターで出力されたものがこちら。

――元がCGキャラクターだった場合、そのモデリングをそのまま借りられたりはしないのですか?

makoto:基本的にはありませんね。CGキャラクターはゲームの中で見せたり動かしたりすることが前提なので、立体物としてはディテールが足りなかったりするんです。それに出力した時にパーツが薄すぎて成形できないこともあるんですよ。

――昭和のアニメキャラみたいに、顔の角度によって髪型が変わるようなキャラクターは、どのように処理をされているのですか?

makoto:そのキャラクターの最も「そのものらしく」見える位置の再現を優先しつつ、他角度から見ても全体的な形状に極力破綻が出ないように作っていきます。例えば『ドラえもん』に登場するスネ夫の髪型のような、一見単純に見えて正面と真横では見え方がガラリと変わるようなデザインのものは、全体の辻褄を合わせる事が本当に難しいです。

▲作業の第1段階は、3Dの人体模型をベースとした立体参考物の制作からはじまります。想像上のキャラクターやシチュエーションほど、まずはリアルな視点で捉える必要があるとmakotoさんは語ります。

makotoさんの原型制作はとてもユニークです。彫刻を学んでいたということもあり、その創作過程をそのまま取り入れて原型を制作します。

まずは人体模型でポーズの参考を作り、それから粘土を積んで手でこねるようなイメージでゼロから3Dモデルを作り上げていく。はじめは大雑把に、やがて細部を作り込み、完成へと至ります。

▲細かく作り込もうと思えばいくらでも作り込めるのがデジタルの強み。通常の1/7スケールフィギュアなら、1体が完成するまで3~4ヶ月、ディテールが多いものは半年ほどかかります。

▲細かい部分をていねいに造形するだけでなく、どんな体勢で、どこに力がかかっているのか、そういった部分までイメージして骨と筋肉のリアルな状態を立体に落とし込んでいきます。

▲フィギュアになったのはこちらのイラスト。イラストレーター「neco」さんのイラスト集「A-Z:Designworks」に収録されている一枚です。

――makotoさんは作業をするうえで、どのような部分を意識していますか?

makoto:イラストレーターさんの世界観やイラストの魅力が損なわれないよう、できる限りシワの一本まで再現しようとしています。
お仕事をさせていただいている身としては、これからも信頼を裏切らずがんばりたいですね。

◆ ◆ ◆
彫刻を創作する感覚でデジタル原型をこなすmakotoさん。
その創作方法は時にもどかしく感じることもあり、「モニターの中に手を突っ込んで、直接手でいじって造形したくなる時があります」と笑みをこぼしていました。



いよいよフィギュアが現実世界に降臨! 「3Dプリンター出力」に迫る


続いて訪れたのは株式会社ウイングさんの工場です。
ウイングさんはもともとプラチック製品の企画・製造・製造請負をしており、ホビー関連は比較的若い事業です。


▲工場内部。なお一部設備を間借りしているだけなので、写真に写っているこれらの機器はホビー事業には関係がありません。


フィギュアの工程段階としては「原型制作」の後。完成したデジタル原型を彩色に回すため、こちらの工場で3D出力します。

手原型の場合はすでに立体物が存在しているので3Dプリンターの出番はないのですが、デジタルデータで造形すると出力が必要になります。

それではさっそく3Dプリンターの仕事ぶりと出力されたパーツを見せていただきましょう。

▲こちらが稼働中の3Dプリンター。


▲内部ではまさに家庭用プリンターと同じく、ライトの部分が何往復もして素材を層のように重ねていきます。

▲出力されたばかりの状態。各パーツが角状になっています。なお右側のブロックは検出バーと呼ばれるもので、3D出力では必ず出るものとのこと。

▲出力されたパーツの余分な部分を落として磨いた状態がこちら。これを組み立てると原型になります。また出力できる範囲はA4サイズに収まるくらい。出力時間は1枚およそ7時間から8時間です。

▲組み立て済みの原型。サーフェイサーと呼ばれる、いわゆる下地用の塗装を施して細かなキズ等を埋めた状態です。

さて、おおまかな作業工程はわかったのですが、いくつか疑問が残ります。
なぜ角状に出力されるのか?
3Dプリンターを稼働させるまでにどんな作業が必要なのか?
そのあたりを担当者にうかがいました。

取材に応えていただいたのは、この工場で3Dプリンターの管理をされている小林徹さん。そのほかプラチック製品の企画・製造・製造請負方面で企画・開発をされています。

▲企画・開発担当の小林徹さん。もともと業務用のイメージが強かった3Dプリンターですが、イベント等で家庭用マシンが注目され初めた頃から気になるコンテンツだと一目置いていたそうです。現在はおもに、3Dプリンターを用いた出力をフィギュア主体に担当しています。

――出力されたパーツを拝見したのですが、なぜ角状になっているのですか?


小林:立体物を作ると、必ず凹凸による浮いた部分が出てしまいます。例えば丸みのあるパーツなら接地面以外の部分、髪のパーツならアーチ状の空洞部分です。
そういった「浮いた部分」をうまく成形するために余白部分も出力するんですよ。その余白部分を「サポート材」と呼びます。

ちなみにサポート材はロウのような脆い素材、パーツ部分は「ABSライク」と呼ばれる硬めの素材でできているので、ABSライク部分を残しつつ、サポート材だけを落とすことができるんです。

▲3Dプリンターの準備画面。そのほぼ真横から見た図。下から層を重ねるように出力するので、サポート材も一緒に出力しないとパーツを成形することができないのです。

――サポート材はどの3Dプリンターでも出力するものなのですか?

小林:出力します。ただしサポート材の素材が違っていたり、サポート材のつき方が変わったりします。

――以前、別のメーカーさんが3Dプリンターで出力したものをそのままガレージキットとして販売していたのですが、それは剣山の上にパーツが座っているような形状でした。

小林:そういった方式のサポートの物もあります。その方式だとコストが安くできるんです。でもサポート材を切り落とすことになるので、表面がデコボコになってしまうんですよ。


弊社が使っているマシンはサポート材を溶かして落とすタイプですから表明が綺麗なままなんです。


――出力されたものはどのような工程で処理されるのですか?

小林:出力されたばかりのものは熱を持っているので冷凍庫で冷やします。すると熱収縮が起こり、サポート材が剥がれやすくなります。そこで恒温槽という機械に入れてやると、熱が加えられてロウの部分のサポート材が綺麗に落ちるんです。あとは超音波洗浄と水洗いをして次の工程に送る感じですね。

▲3D出力の準備段階として、まずはパーツを並べたデータを作成。そのデータを小林さんが受け取って専用ソフトに入力すると、自動でサポート材の設定をしてくれます。そのデータをもとに3D出力が開始されます。

――素人目には万能と思われる3Dプリンターですが、今後の課題としてどのようなことが挙げられますか?

小林:マシンで使用している材料が、温度にシビアなのが悩みのタネですね。稼働中はつねに冷房を入れているのですが、それでも真夏の炎天下だとエラーを起こすことがあります。ちゃんと出力されないと言いますか……。材料費もそれなりにかかるので、そのあたりが解消されると気が楽ですね。

――難しい問題ですね。

小林:もちろん機種によっては問題なく稼働するものもありますが、弊社のマシンは高機能な分、とてもデリケートなんです。


◆ ◆ ◆
3Dプリンターを導入したのは1年半ほど前のこと。初対面した時、当時から3Dプリンターに詳しかった小林さんは「精度が高い、いいマシンが来たな!」と感動したそうです。

この3Dプリンターから、これからどんなフィギュアが世に送り出されるのか、いちホビーファンとしても楽しみです。

→次のページでは「彩色」に注目!
《気賀沢昌志》
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