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自作パーツショップとして「PCでゲームをする楽しさ」広めたい―「G-GEAR」ゲームPCアワード受賞インタビュー

2年振りに開催した「ゲームPCアワード 2019」で見事ゲーミングPC部門で最優秀賞に輝いた、TSUKUMOのゲームPCブランド「G-GEAR」。盛り上がるe-Sports、変化する市場にどのように向き合っていくのか……後藤賢志代表取締役社長に受賞の喜びをうかがいました。

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自作パーツショップとして「PCでゲームをする楽しさ」広めたい―「G-GEAR」ゲームPCアワード受賞インタビュー
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イードがゲーム用PCと周辺機器の顧客満足度を調査する「ゲームPCアワード 2019」。本アワードのゲーミングPC部門で最優秀賞に輝いたのが、TSUKUMO(株式会社Project White)のゲームPCブランド「G-GEAR」です。同社の後藤賢志代表取締役社長に受賞の喜びをうかがいました。

2年ぶりの開催となったアワードということで、この2年間のブランドや市場の変化、そして盛り上がるe-Sportsについて、同社がどのように捉えているのかたっぷりとお聞きしました。



――受賞おめでとうございます。

後藤賢志氏(以下、敬称略)ありがとうございます。昨年度は実施されませんでしたよね。2年ぶりの受賞なので、驚いています。


――ここ数年で弊社のゲームメディア(Game*Spark)でも10代後半から20代前半の読者がかなり増えてきました。まだ知らないユーザーのために、あらためて「G-GEAR」のコンセプトについて教えてください。

後藤「誰もが安心・快適に使える製品作り」がコンセプトです。弊社のアイデンティティは自作パーツショップですので、製品化する際にはパーツ構成をもっとも重視します。安心・快適に使えて、なおかつお客様が求められる最新パーツをどのように組み込んでいくか、という点がポイントですね。特にパーツの型番がわかる点にこだわりをもっています。時にはこちらからメーカーさんにオーダーを出して、パーツを独自にカスタマイズしていただくこともあります。

――PCゲームを遊びたい読者が増えています。

後藤それは我々も感じています。ただ、よく言われるようにe-Sportsのブームが牽引しているかというと、そこは違うと思っているんですよ。

――おお、それは興味深い見解ですね?理由が知りたいです。

後藤e-Sportsの貢献がゼロかと言われると、そういうことではありません。ただ、e-Sportsの前にいくつか波があったと思うんです。まずスマートフォンがここ10年くらいかけて普及してきて、老若男女問わず世間でゲームが遊ばれる絶対時間が増えました。次にSteamが4年くらい前から日本のゲーマーの間でも普及し始めて、これまで非常にハードルの高かったPCゲームを簡単にプレイできるようになってきました。、そのためお客様がゲームをパッケージではなく、ダウンロードで購入する習慣が根付いてきています。この流れはコンソールでも同じで、海外のインディゲームをダウンロード購入で遊ぶ方が非常に増えました。こんな風に、ある程度下地ができていたのが大きいと思いますし、そこに2年前からe-Sportsのブームが到来したというのが我々の見方です。

――なるほど。

後藤いま、多くの家電量販店で親の世代を対象に、ゲームのイメージアップ作戦が行われています。まだまだゲームには社会的批判がつきまといますが、その一方でさまざまな大会があり、賞金も出るようになりました。サッカー選手のように、プロゲーマーという職業が定着しつつあるといえるでしょう。しかしそういった理由から、お子さんに高額なゲーミングPCをプレゼントされませんかという状況、そうした理解で良いのかどうか……。少なくとも我々は「e-Sportsが盛り上がっているからゲーミングPCが売れている」とは思っていません。

――御社としては、e-Sportsとどのように向き合っていくのでしょう?

後藤もちろん真剣に考えています。野球もゴルフも、プロになるような人は子どもの頃から練習をしていますよね。e-Sportsも同じで、子どものころから世界で通用するゲームに触れて、周囲とコミュニケーションをとりながら、親しんでいかないと、世界に通じるプロは出てきません。こうした考えから、弊社では「PCでゲームをする楽しさ」を広めるところに力を入れたいと思っています。具体的にはプロゲーマーやプロチームではなく、大会にスポンサードするというわけです。

実際、大学や高校のサークルで、学校から公認されている団体には、PCの貸し出しなども行っています。また、先日発表しましたが、弊社では横須賀市の「Yokosuka e-Sports Project」(※)というプロジェクトに賛同し、エムエスアイコンピュータージャパンとのコラボモデル「G-GEAR Powered By MSI」を提供することになりました。


個々のタイトルの達人ではなく、PCゲーム全体が好きだという層をどれだけ増やせるかが重要です。その中からプロゲーマーが輩出されていくのだと思っています
※e-Sportsに関わる人々によって地域コミュニティの活性化、および新たな文化が定着することを目的とした横須賀市のプロジェクト。音楽・スポーツ・エンターテイメント都市の発展を推進することで、子供たちが希望をもって成長し続けることができる街の実現を目指す。将来的には官民連携した新たな事業につなげ、大会の誘致やイベント開催したいとしている。横須賀市内の高等学校のe-Sports部設立も支援しており、希望する高校には無償で機材を貸し出す。

――例えば野球だと、全国各地で少年野球の選手に向けて教室が開かれていますが、そのゲーム版といったところでしょうか?

後藤いきなり小学生だと敷居が高いので、まずは高校生を対象にしています。専門学校でもe-Sportsコースを作られるところが増えていますよね。そことの接続性という点からも、まずは高校かなと。その次は中学、小学校と、段階的に考えていきたいですね。

その一方で『マインクラフト』のイベントを秋葉原で、親子を対象に行ったこともあるんですよ。ファミリー層とは縁遠い立地ですが、何十人ものお客様に参加いただけました。『マインクラフト』にはプログラミング教育的な側面もありますので、そうした機会を活用しながら、小学生にPCを触ってもらう機会を増やしていきたいですね。そうした取り組みが結果としてゲーミングPCのユーザーを増やすことに繋がると思っています。

――ゲーミングPCを購入されるユーザー層で変化はありますか?

後藤ゲームを遊ぶだけでなく、タブレットで絵を描いたり、3DCGをいじったりと、クリエイター志向のユーザーが増えました。そうした用途には高スペックなPCが必要で、結果としてゲーミングPCが選ばれるというわけです。弊社でも過去にゲームエンジンのUnrealEngine4推奨PCを販売したことがあり、非常に好評でした。来期からはUnity推奨PCの販売も行います。


余談ですが学生向けのPC販売では、ご両親の理解が重要です。NECや富士通といった大手のメーカーは知っていても、ショップブランドは認知度が低いんです。そうした方でも「東京ゲームショウでブースを出している会社のPC」というと、納得していただけます。東京ゲームショウでは、さまざまなブース向けに100台前後PCを貸し出しており、認知度向上とサポートの拠点も兼ねて、ブースを出展しているんです。

――たしかに、量販店で一般的に売られているPCとは、コンセプトが違いますからね。

後藤さらにゲーミングPCが売れているもう一つの理由がVRです。といってもVRゲームではなくて、「VRChat」ですね。仮想空間でコミュニケーションをとるのが楽しいんです。そのためVIVEが動作するPCが欲しくて、ゲーミングPCを選ぶというわけです。そうしたユーザーさんの中には、そこからBlenderでキャラモデルを弄ったり、Unityを触ったり……などと、クリエイティブ志向に流れていく方もいらっしゃいますね。そうはいっても、まだまだVRを体験したことがないお客様の方が圧倒的に多いので、いまだにVR体験イベントを無償で行っています。こんなふうに、ゲーミングPCのお客様はゲームを楽しまれる層と、VRやクリエイター層で大きく二つに分かれているイメージです

――自作パーツまわりの話で言えば、今年はRyzenをはじめ、AMD製CPUが元気でした。

後藤「久しぶりに自作しようと思った」というお客様もいらっしゃいますね。AMD製CPUのブームは3年前にもありましたが、当時はIntel製CPUの供給が潤沢でした。両者が競い合って市場が伸びた印象です。一方で去年からIntel製CPUの供給が減少したこともあり、AMD製CPUの注目度が急速に、高まっています。競争が高まると市場も活性化するので、自作パーツショップとしてはありがたいですね。欲を言えばRADEONにも頑張って欲しいのですが。

――アワードに話を戻すと、今回もサポートの評価が高いですね。

後藤これまでも、これからもサポートの重要性は変わりませんし、専門店ならではの強みが活かせる分野だと思っています。実際、ここ2年間でいえばネットショップ用・G-GEAR、eX.computer用・その他製品用と縦割りだったコールセンターを集約し、コミュニケーションを取りやすくしました。背景にあるのがWindows7から10への移行です。OSの自動アップデートがかかるようになった関係で、ドライバとの不具合が少し出てきているんです。こうした情報をいち早く共有して、サポートのクオリティを高めるために、組織改編しました。人数も去年と今年で倍近く増えています。今年は体制固めの年でしたが、来期から成果が出せると思います。


――ゲームをやるならデスクトップPCというイメージが強いですが、ゲーミングノートPCには、どのように取り組まれていきますか?

後藤市場シェア全体でいえばノートPCが8割くらいだと思いますが、G-GEARでは逆に8割くらいがデスクトップなんですよ。実際、自作パーツショップとしてのバイアスがかかっていると思います。「グラフィックボードが換装できますよ」などと、店員がお客様に対して、ついついデスクトップPCに誘導しがちなんですよね。ただ、近年のゲーミングノートPCの進化にはめざましいものがあります。数年前までのように、ノートPCはグラフィックス性能に限度があって、デスクトップPCと比較すると描画能力がぐっと落ちる……といったこともなくなりました。実際、海外のプロゲーマーもみな、専用のゲーミングノートPCを持って来日されるので、もっと認知度を高めていきたいですね。

――もう、そういった状況なんですね。

後藤数年前からそういう状況になっていますね。そのため移動時のバス内で、LANをつないで対戦ゲームを遊ばれているほどです。これに対して日本のプロゲーマーはあいかわらずデスクトップPC志向なので、そうした輪に入れないといった状況を耳にします。日本にも海外のゲーミングPC市場について、もっと正確な情報が入ってくれば、状況が変わっていくと思うのですが……。それに人間の視野角はけっこう狭いじゃないですか。これは個人的な印象ですが、A4一枚くらいの画面サイズが、集中して遊ぶには適しているんじゃないでしょうか。少なくとも、e-Sports=デスクトップPCという固定概念は避けるべきだと思います。

――G-GEARのノートPCでも最上位モデルでは4K OLEDパネルが搭載されていますね。

後藤ノートPCのパーツ構成比の中でも大きな比重を占めるものの一つにディスプレイパネルがあります。ただ、近年OLEDパネルと液晶パネルの価格差がどんどん縮まってきています。MacBook Proは昔からRetinaですし、Windowsノートでもそろそろ、フルHDモニタでは狭い……と感じられている人も増えているのではないでしょうか。ただ、今後は確実に4K OLEDパネル搭載モデルが増えていくと思います。ACアダプターの小型化や、USB Type-Cの普及でノートPCでもモバイルバッテリーでの給電が可能になったりと、ノートPCの追い風は吹いていますね。もっとも、ノートPCにはデスクトップPCと違って、排熱などの要素があります。自作パーツショップの立場からすると、筐体メーカーにさらなる放熱の工夫を期待したいですね。

――それでは、最後に今後の製品展開や抱負についてお願いします。

後藤今後もショップブランドの良さを活かした製品展開を続けていきます。最近ではマザーボードメーカーが自社ブランドのゲーミングPCを販売する時代にまでなっていますよね。こうした動きは市場全体の拡大につながるので、たいへん結構なことだと思っています。その上で弊社としては、さまざまなメーカーのパーツを組み合わせて、そこに保証とサポートをつけ、お客様に最適な一台を提供していくという路線を突き進めたい。それが自作パーツショップとしての使命であり、存在意義だと思っています。そんなふうに市場を活性化させていきながら、すべてのビジネスパートナーや、お客様に貢献していきたいですね。

《小野憲史》

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