『ファイナルファンタジー』シリーズのイメージイラストでも知られる画家・イラストレーターの天野喜孝氏がなんと三味線用のオリジナルキャラクターをプロデュース! 10月23日、三味線の製造、修理を手がける有限会社小松屋は「天野喜孝 初プロデュース オリジナルキャラクター三味線制作発表会」を行いました。
「この業界は今、窮地に立たされています――」。そう語るのは、小松屋の代表取締役・小松英雄氏。幼年層や若年層に三味線の魅力をどうアピールしていくかは三味線業界が持つ長年の課題でしたが、三味線の販売台数は2000年頃を境に急落の一途。国内の販売台数は50年前と比べると1/10以下に減少し、三味線ファンの平均年齢は70歳程度だと推測されるそうです。
同社は、三味線ファンの世代交代が進まない理由を「三味線本体の価格の高さ」、「メンテナンス費の高さ」、「体験できる機会・場所の欠如」にあると分析。そのうち、前者二つの難点を解消するために、本皮に代わって胴に張り付ける人工皮"リプル"の開発に成功。大幅なコストダウンを実現しました。
また、イラストを印刷できるのもリプルの大きな強みです。小松氏は「三味線は日本が誇る一流の芸術品である」という理念を掲げており、それを聞いた専務取締役の赤澤美仁氏は「それなら一流のアーティストの作品が合わされば、より世界に誇れるものになるのではないか」と思い天野喜孝氏に依頼。その情熱に心打たれた天野氏が快諾したことで「天野三味線プロジェクト」が始まったと告げました。
ビデオレターでコメントを寄せた天野氏は「三味線のフォルムは女性的でおもしろい。しとやかというよりは激しさを感じさせるので、気持ちのいい赤を使ったくノ一をイメージしました。もしかしたら今後、アニメーションのキャラクターとして登場するようなこともあるかもしれない。どんな風に展開されていくのか、楽しみにしてください」と語りました。
赤い装束に身を包んだ妖艶な女性は、サソリ座にちなんで「シャウラ」と命名。高級タイプ(40万円・税別)、豪華タイプ(300万円・税別)の2モデルで11月10日より販売が開始されます。基本的には楽器ではなく伝統工芸品としての位置付けとのことですが、胴のシャウラが印刷されたリプルを一時的に貼りかえれば演奏もできるとのことです。
天野氏プロデュースによる三味線「シャウラ」は、2018年11月16日から18日にかけてロンドンで開催されるイギリス最大級のジャパンフェスティバル「Hyper Japan」に出展予定。2019年1月に銀座、秋葉原などで在日の外国人に向けてPRイベントを開催し、翌2月にはインバウンドマーケットEXPO2019に出展される予定です。
また、今後は天野氏をはじめとする日本の有名クリエイターたちが和をテーマにアートを紡ぐ「GIBIATE PROJECT」ともコラボレーションする予定とのこと。ゲームファンにはおなじみのアーティストの力が、三味線業界に新たな息吹を吹き込めるか注目です。
(C) 2017 komatsuya.
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